相続で引き継いだ郊外の土地。固定資産税の通知が届くたびに「何かしなければ」と感じながら、具体的な一手が見つからない——そういう状況の方からの相談が、ここ数年で明らかに増えています。先日も55歳の方から「親が残した150坪の土地があるが、固定資産税が年12万円かかっていて、このまま塩漬けにするのが怖い」という話を聞きました(モデルケース)。選択肢は複数ありますが、「どれが正解か」より先に「どれが現実的か」を確かめる順番が大事だと感じています。今回は主な選択肢を並べながら、向き不向きを整理してみます。

「とりあえず売って定期預金」——その安心感の正体と、失うもの

土地を売却して現金化し、定期預金に預けるのはシンプルな選択肢です。ただ、2025年時点で定期預金の金利は高めに見ても年0.5〜1%程度。売却益に課税(譲渡所得税)されることも加味すると、手元に残る額は想定より限られるケースがあります。

それ以上に見落とされがちなのが、「土地という資産を手放すことで、将来の相続対策の手段も同時に失う」という点です。「売れば終わり」の安心感は本物ですが、その後に使える手が一つ減る、という現実は頭に置いておく価値があります。

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REITや株式は「土地活用」とは土俵が違う

REIT(不動産投資信託)や株式は、手元の現金を運用する手段としては有力です。ただ、今回の出発点は「すでに持っている土地をどうするか」なので、比較の前提がずれます。土地を売って得た資金でREITを買う流れは理屈の上では成立しますが、相続税対策の観点からは不動産現物を保有し続けるほうが評価額の圧縮効果を見込みやすいとされています(税務上の扱いはケースによって異なります。必ず税理士にご確認ください)。

市場の値動きに連動するREITや株式は流動性が高い反面、価格変動リスクも伴います。「地代に近い安定収入が欲しい」という方には、性格が異なる選択肢と考えておいたほうがよいでしょう。

アパート経営が向く土地と向かない土地——判断を急ぐと後から修正が効かない

賃貸アパートや賃貸マンションを建てる土地活用は長年の定番です。相続税評価額の引き下げ効果が想定される点、安定した家賃収入が見込める点は確かな強みです。ただし、建設費は近年大幅に上昇しており、モデルケースでも数千万〜1億円超の初期投資が必要になるケースは珍しくありません。

私が以前、郊外のアパート経営について調べていたとき、「竣工後5年で周辺に同規模の物件が3棟建ち、想定入居率を大きく下回った」という事例を複数目にして、需要調査の重要性を改めて認識しました。人口減少が進むエリアでは、竣工後10〜20年のスパンで入居率が読みにくくなるケースもあります。初期投資が大きい分、判断を急ぐと修正が効きにくい点は覚悟が必要です。

「撤去できる構造物」が地方の遊休地に合う理由

トレーラーハウスは、車輪を持つ構造物として「建築物」ではなく「車両」に分類されます(※設置条件・設備接続の状況等によって行政判断が異なる場合があります)。建築確認が不要なケースがあり、比較的短期間での設置が可能です。また、将来的に撤去・移設できるため、土地の転用や売却時の選択肢が残ります。アパートを建てると30〜40年は土地の使途が縛られますが、トレーラーハウスはその縛りが緩やかです。

PACOが手がけるのは木造2×4構造のトレーラーハウスで、Airbnb等での宿泊施設(PACO Stay)として運用するモデルです。1台あたりの初期投資は概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します(モデルケースであり、実際の費用は変動します)。想定利回りはケースによって異なりますが、宿泊需要のある立地での運用で年10〜20%程度という試算例も見られます(前提:稼働率60〜80%、1泊15,000〜20,000円の場合。立地・運用状況により大きく異なります)。

一方で、宿泊施設の収入は「毎月ほぼ一定の家賃」とは性格が違います。稼働率は季節・立地・口コミに左右されるため、変動を受け入れられるかどうかが、この選択肢に向く人と向かない人を分ける最初の判断軸になります。

選択肢を並べると、問いが変わってくる

「最良の土地活用」は存在しません。あるのは「この土地の条件と、自分のリスク許容度に合った活用法」です。定期預金は安全だが収益性は低い。アパートは実績があるが初期投資と需要の読みが重い。REITは手軽だが土地そのものを生かせない。トレーラーハウスは柔軟性があるが稼働率の変動を受ける——それぞれに向き不向きの理由があります。

55歳前後で相続した土地を抱えているなら、まず「この土地で何が現実的か」を確かめることが先決です。固定資産税の負担額、土地の面積・形状・インフラ状況、周辺の人の流れを整理するだけで、選択肢はかなり絞られてきます。

最初の一歩は「3つの数字」を手元に揃えること

①毎年の固定資産税額、②土地の公図・面積、③周辺の賃貸需要や観光動向——この3点を手元に揃えた上で、税理士・ファイナンシャルプランナー・各活用業者それぞれに話を聞いてみると、比較の精度が上がります。1社だけの提案を鵜呑みにせず、複数の視点を集めることが、この段階では最も費用対効果の高い動き方だと思います。

よくある質問

トレーラーハウスを設置するのに、どんな土地条件が必要ですか?

一般的には、ある程度の面積(目安として50坪以上)と、車両が搬入できる道路幅が必要です。電気・水道・排水の引き込みが可能かどうかも確認が必要になります。市街化調整区域でも設置できるケースがあるとされていますが、行政の判断によって異なります。具体的な土地条件については、各自治体への事前確認と専門業者へのヒアリングをあわせて行うことをお勧めします。

相続税対策として、トレーラーハウス投資はアパート経営と比べてどうですか?

アパート経営は、建物の建設によって土地の相続税評価額が下がる「貸家建付地評価」の適用が想定される点で、相続税対策として長年使われてきた手法です。トレーラーハウスは構造や設置状況によって税務上の扱いが異なるケースがあり、同様の評価減が適用されるとは限りません。相続税対策を主目的にされる場合は、必ず税理士に個別の状況を確認した上で判断してください。

郊外の土地でも、Airbnb運用は成り立ちますか?

立地によります。近隣に温泉・山・海・観光地・キャンプ需要などがある場合、都市部にはない「非日常体験」を提供できる強みが生まれることがあります。一方、特段の観光資源がなく交通アクセスも限られる土地では、稼働率の確保が難しいケースもあります。まずAirbnbや宿泊サイトで周辺の類似物件を検索し、稼働状況や価格帯を自分の目で確認することが、最初の判断材料になります。