区分マンション2戸とアパート1棟を保有しながら「次の一手」を探している方が、遊休地活用に目を向けることがあります。ただ、いざ試算しようとすると初期費用の内訳が見えにくく、利回り計算の前提がブレやすい。今回は、その数字を正直に並べてみます。

「何に対する利回りか」を整理しないと、比較がズレる

利回りを語るとき、最初に問うべきなのは分母です。土地をすでに保有しているケースと、土地込みで考えるケースでは、利回りの見え方が大きく変わります。

区分やアパートを持っている方なら、この感覚はすでに身についているはずです。遊休地活用でも同じ問いが成立します。「建物コストだけに対する利回り」なのか、「固定資産税などの機会コストも含めた実質利回り」なのか。前提をそろえないと、どんな数字を並べても比較になりません。

モデルケースの試算を、前提ごと眺めてみる

以下はあくまでモデルケースです。立地・仕様・付帯工事の内容によって数字は大きく変わります。

前提条件

・土地:地方都市郊外の自己所有遊休地(固定資産税:年間約12万円)
・トレーラーハウス:木造2×4構造、1台設置
・初期投資総額:1,200万円(本体・基礎工事・電気・水道引込・外構を含む概算。物件仕様や立地によって990万〜1,500万円程度のレンジで変動するケースが多い)
・運用:Airbnb等の短期宿泊(1泊1.5万円×月稼働15泊を想定)
・清掃・管理費:月3万円
・固定資産税:月1万円換算

月次収支の内訳(モデルケース)

・想定月収:1.5万円×15泊=22.5万円
・管理費・清掃費:▲3万円
・固定資産税(月割):▲1万円
・想定月間手残り:約18.5万円
・年間手残り:約222万円

初期投資1,200万円に対する表面利回りは約18.5%(年間手残り÷初期投資)。ただし稼働率は立地・季節・プラットフォーム評価によって大きく変動します。仮に稼働が月10泊に落ちると月収は15万円、手残りは11万円程度、利回りは11%前後まで下がります。「15泊」と「10泊」のどちらを現実的と見るかは、自分の立地調査と運用体制の設計次第です。

減価償却は節税の話ではなく、キャッシュフロー設計の話として読む

木造2×4構造のトレーラーハウスは、建物の法定耐用年数の枠組みで減価償却できるケースがあります(税務上の取り扱いは個別の状況により異なるため、税理士への確認を推奨します)。モデルケースの1,200万円投資であれば、一定期間にわたって課税所得を圧縮できる可能性があり、年収800万円クラスの給与所得者では所得税・住民税の圧縮効果が想定されるケースもあります。

ただし、減価償却はキャッシュが出ていかない帳簿上の費用です。手残りキャッシュと節税効果を合算した「実質リターン」で他のアセットと比較しないと、数字の土俵がそろいません。アパート経営をすでにされている方なら、この感覚は腹に落ちているはずです。

出口コストを試算に入れ忘れると、利回りが2〜3ポイント変わることがある

区分やアパートは、売却時の価格目線がある程度立てやすいアセットです。一方、トレーラーハウスを活用した遊休地は、「土地の売却価値」と「建物の撤去・移設コスト」を分けて考える必要があります。トレーラーハウスは移動・撤去ができるため、土地の売却判断を建物に縛られにくいという特性があります。ただし移設・撤去には数十万円規模の費用が別途かかるケースがあり、出口コストとして試算に織り込んでおくことが現実的です。

筆者自身、最初に試算したとき撤去コストを丸ごと抜かしていて、後から気づいて試算をやり直した経験があります。利回り計算に慣れている人ほど「建物は売れるもの」という感覚で動くので、「撤去費用」という発想が抜けやすい。意外な盲点です。

「やるかやらないか」の前に、今の遊休地にかかっている固定費を一度出してみる

遊休地活用は「土地をすでに持っている人にしか取れない選択肢」という側面があります。まず手元の遊休地にかかっている固定資産税・管理費の年間合計を出してみてください。それが何もしない場合の「静かなコスト」です。

その数字とモデルケースの収支試算を並べたとき、はじめて「やるかやらないか」の判断軸が見えてきます。利回りの高さより先に、「今の放置コストをどう見るか」が出発点だと考えています。

よくある質問

トレーラーハウスの初期費用は、総額でどのくらい見ておけばいいですか?

物件仕様や立地によって異なりますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース)。ただし本体価格だけでなく、電気・水道の引込工事、外構・駐車スペース整備、申請費用などの付帯コストが立地によって大きく変わります。「本体価格+付帯工事込みの総額」で比較しないと見積もり間のズレが生じやすいため、複数案件は総額ベースで並べることをお勧めします。

Airbnb運用の稼働率は、どの程度を現実的な水準として見ればいいですか?

立地・季節・評価点によって変動するため、一概には言えません。Airbnb上で評価4.8以上を維持している物件では、リピーターや口コミ経由の予約が増えるケースもある一方、閑散期には月10泊を下回る局面も想定されます。法人月極利用との併用など、複数シナリオの稼働計画を持っておくことが現実的な対策です。

既存のアパートローンがある状態で、追加融資は受けられますか?

金融機関の審査は既存の借入残高・返済比率・物件の収益性・申込者の属性を総合的に見るため、一概には言えません。年収800万円クラスであれば属性評価はある程度期待できますが、既存ローンの残債が多い場合は融資条件が絞られるケースもあります。事前に取引実績のある金融機関に融資可能額の目線を確認してから事業計画を組む順番が、現実的です。