iDeCoもNISAも始めた。でも「これだけでいいのか」というモヤモヤが消えない——そういう相談を受けることが、最近増えています。先日も、そんな感覚を抱えた知人の30代前半・会社員の方(以下、モデルケースとして整理します)から話を聞く機会がありました。話が進むうちに「遊休地の活用」という切り口が出てきたので、そのやりとりをベースに書いておきます。個人を特定できる情報は省いています。

「損してないから、まあいいか」——その感覚が一番じわじわ効いてくる

この方の実家には、地方に20〜30坪ほどの更地があります。もともと祖父が農地として持っていたものを、転用・相続という流れで引き継いだそうです。特に何も建っておらず、毎年固定資産税を払い続けているだけ。「損してるわけじゃないし、まあいいか」とずっと先送りにしていたと言っていました。

年収550万円で老後を意識し始めると、「この土地、ただ持っているだけでいいのか」という疑問が出てきたようです。資産として持っているはずなのに、毎年コストだけが発生している。土地を持っている方には、この感覚は共通するところがあるのではないでしょうか。

正直に言うと、私自身も以前、「保有しているだけで何もしていない」状態の資産を長く放置してしまい、後から「あの数年が一番もったいなかった」と感じた経験があります。「損していない」は「得もしていない」と同義なのに、なぜか安心してしまうんですよね。

「活用」と一口に言っても、選択肢ごとに前提条件がまったく違う

最初に検討したのは駐車場でした。初期費用が少なく、撤退もしやすい。ただ、立地が郊外のため、需要があるかどうかが読めない。月の収益を簡単に試算してみると、固定資産税を差し引いた手残りがかなり薄くなりそうだと気づいたそうです。

次に出てきたのが賃貸アパートです。ただ、この方はまだ住宅ローンを組んでいないこともあり、建物への新規融資が重なることへの抵抗がありました。「ローンを増やすことに、まだ心の準備ができていない」というのが率直なところだったようです。

「動かせる建物」という発想が、30代の心理的ハードルを下げた

「トレーラーハウスという形もあります」と伝えたとき、「キャンプ場みたいなもの?」という反応が返ってきました。簡単に補足しておくと、木造2×4構造で建てられたトレーラーハウスは、宿泊施設やグランピング施設として運用できる形態のひとつです。PACOが扱っているのもこのタイプで、Airbnb等での運用実績があります。

関心を持ったのは「動かせる」という点でした。将来的に土地の使い方が変わっても、建物を撤去・移設できる可能性がある。長期計画がまだ固まっていない30代には、この「可逆性」が心理的に合いやすいようです。固定の建物を建ててしまうことへの抵抗が薄れた、と言っていました。

数字を並べて初めて「現実の話」になった——モデルケースで試算してみると

ある程度方向性が見えてきたところで、一緒に簡単な試算を整理しました。あくまでモデルケースです。実際の数字は立地・仕様・付帯工事によって大きく変わりますので、その前提で読んでください。

想定条件:地方郊外・観光需要のある立地、トレーラーハウス1台。初期投資は概ね990万〜1,500万円のレンジ(物件仕様・サイズ・付帯工事により上下)。稼働率が一定水準を確保できた場合、想定利回りは10〜20%程度になるケースもあるとされていますが、これはモデルケースであり、個人の状況や運用方法によって大きく異なります。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートを検討できる場合もあるようです。

税務面については、木造建物であれば減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれるケースがあります。ただし「税務メリットを主目的にした意思決定は、後で想定外が出やすい」と私からも念を押しました。税理士への確認は必須です。節税はあくまで副次的な話として位置づけておくほうが、判断がぶれにくくなります。

「まず固定資産税の通知書を引っ張り出してみます」——それで十分な一歩

相談を終えて、その方が言ったのがこの一言でした。大げさに聞こえるかもしれませんが、遊休地の活用を検討するとき、手元にある数字を整理することがすべての出発点になります。通知書を見れば、毎年いくらのコストが発生しているかが明確になる。それだけで「なんとなく持っているだけ」という状態を客観視できます。

今すぐ動く必要はありません。ただ、「なんとなく保有しているだけ」の状態にも、機会コストというコストは発生しています。30代で気づいたなら、焦らず、でも少しずつ選択肢を広げていくことはできるはずです。

よくある質問

遊休地の広さはどのくらいあればトレーラーハウスを置けますか?

設置に必要な面積は仕様やサイズによって異なりますが、数十坪程度から検討が始まるケースが多いようです。ただし、接道条件・用途地域・ライフラインの引き込みなど、広さ以外の条件も判断に影響します。まずは現地の状況を整理することが先決です。

融資審査は通りやすいのでしょうか?

トレーラーハウスは建物としての扱いが金融機関によって異なるため、通常の不動産担保融資とは審査の見方が違うことがあります。融資条件や自己資金の割合は個々の状況によって大きく異なりますので、複数の金融機関に相談してみることをおすすめします。「融資が通る」という前提で計画を先行させるのは、リスクがあります。

節税目的でスタートするのはアリですか?

減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれるケースはありますが、節税効果だけを主目的にした土地活用は、キャッシュフローや出口戦略を見落としがちです。「節税は副次的な恩恵」として位置づけ、事業としての収支が成り立つかどうかを先に確認することをおすすめします。税務面は必ず税理士にご相談ください。