iDeCoもNISAも始めた。それでもなんとなく足りない気がする——そのモヤモヤを抱えたまま、土地活用という選択肢を調べ始める方が増えています。先日、まさにその状態で相談に来てくださった方がいました。以下はモデルケースとして紹介します。

「親の口座から固定資産税が引き落とされているのを、5年間ほぼ気にしていなかった」

Kさん、32歳の会社員、年収550万円。数年前に地方の祖父から土地を相続しましたが、「親が管理しているし、まあいいか」という状態が続いていました。久しぶりに帰省して登記簿を確認したとき、初めて数字と向き合ったそうです。

年間約15万円の固定資産税。5年で75万円。iDeCoの掛け金を同じ期間積み立てた金額とほぼ重なると気づいたとき、「積み立てではなく、ただ払い続けていた」という感覚が生まれたと話していました。

正直に言うと、私自身も似たような経験があります。取材で知り合った地主の方に「固定資産税の通知書、毎年どこに置いてますか?」と聞いたら「引き出しの奥」と即答されて、思わず苦笑いしました。Kさんの話は、珍しいケースではないと思っています。

アパートも駐車場も「ここでは難しい」と分かるまで

Kさんが最初に検討したのはアパートでした。ただ、土地は最寄り駅から車で20分ほどの郊外。建設費の見積もりは5,000万円近く。「この立地で空室リスクを抱え続けるのは怖い」という判断は、率直だと思います。

次に月極駐車場を検討しましたが、地元の知人に聞くと「そこら中に空き地がある」とのこと。コインパーキングも初期投資に対して回収期間が長すぎると判断し、候補から外れました。「何かしたい、でも何が合うか分からない」という状態が続いていました。

「撤去できる構造物」という発想が、地方の遊休地では選択肢になる理由

私がKさんにお伝えしたのは、木造2×4構造のトレーラーハウスをAirbnb等で短期宿泊運用するというモデルです。PACOでも実際にこの形態を扱っています。

アパートとの最大の違いは可逆性です。撤去すれば土地は元の状態に戻せる。地方でも、観光需要のあるエリアや車でアクセスしやすい自然系スポット周辺では、短期宿泊の需要が都市部とは異なる形で存在するケースがあります。「大きな建物を建てなくていい」という点が、Kさんには響いたようでした。

「収益が出ながら課税所得が下がる構造があると、初めて知った」

Kさんが最も驚いていたのは税の話です。会社員でも不動産収入があれば確定申告が必要になりますが、その際に構造物の減価償却費を経費として計上できるケースがあります。

モデルケースとして——木造トレーラーハウス1台、耐用年数内で償却、年収550万円の給与所得者が不動産所得と合算申告した場合——という条件で試算すると、収益が出ながら課税所得が下がるという構造になることがあります。「iDeCoは所得控除で節税するけど、これは収益を得ながら所得を圧縮する動き方なんだ」とKさんは話していました。ただし効果は個人の税務状況によって大きく異なります。必ず税理士にご相談ください。

「実際いくらかかるか」に正直に答えると、幅がある

初期投資について、PACOのトレーラーハウス投資では1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。「990万円で始められる」とは断言できませんし、するべきでもないと考えています。

想定利回りはモデルケースで10〜20%とされることがありますが、立地・稼働率・運営体制によってケースごとに大きく異なります。Kさんには「まず周辺の宿泊需要を調べること、次に融資条件の確認」という順番をお伝えしました。融資条件次第では自己資金を抑えたスタートも検討できるケースはありますが、それも個別に金融機関との相談が必要です。

「数字で見た」という状態にするだけで、数年後の選択肢が変わる

Kさんはまだ実行には至っていません。今は地元の観光需要を調べながら、税理士との相談を予約しているところだそうです。それで十分だと思います。

遊休地を「どうしようか」のまま置いておくのと、「試算してみた」という状態にするのでは、2〜3年後の判断の質がまるで変わります。焦って動く必要はありませんが、固定資産税だけは毎年静かに続きます。まず土地の現状と周辺の宿泊需要を調べてみることが、最初の一歩になるかもしれません。

よくある質問

会社員のまま土地活用を始めることはできますか?

会社員の方でも不動産収入を得ること自体は可能です。ただし、年間20万円を超える所得が生じた場合は確定申告が必要になります。また、勤務先によっては副業規定の確認が必要なケースもありますので、事前に就業規則をご確認ください。

地方の土地でも短期宿泊の需要はあるのでしょうか?

立地によって差が大きく、一概には言えません。観光地や自然スポットへのアクセスが良いエリア、車移動が主な地域などでは、都市部とは異なる形で宿泊需要が存在するケースがあります。周辺のAirbnb掲載状況や稼働率を事前に調査することを強くお勧めします。

トレーラーハウスは建築確認申請が必要ですか?

一定の条件を満たす場合に建築物として扱われないケースがありますが、設置状況や自治体の判断によって異なります。随時連結・移動が可能な状態を維持することが要件となる場合が多く、設置前に専門家や自治体への確認が不可欠です。法的な判断は個別にご確認ください。