区分マンションもアパートも回っている。でも次の一手が見えない——そんな状況、数字を読める人ほど陥りやすいと思います。「今さら同じアセットを積み増してもな」という慎重さが出てくるのは、むしろ正常な感覚です。先日、まさにその局面にいた相談者のKさん(38歳・会社員、モデルケース)の話を聞く機会があり、土地活用と利回りの関係を改めて整理しました。

「次のアパート」を探し始めたら、計算が合わなくなった

Kさんは年収約800万円のサラリーマンで、区分マンション2戸と地方の木造アパート1棟を保有。毎月の手取りキャッシュフローは12万〜15万円ほど安定していました。ところが次の物件を探し始めたところで壁にぶつかります。「表面利回り8%の物件でも、融資条件が厳しくなって実質利回りが5%台に落ちる。管理費・空室・修繕を引いたら手元にほとんど残らない」というのが実感だったそうです。

今の市場でよく起きる構造です。金融機関の評価が厳しくなった分、自己資金を積まないと融資が通らず、レバレッジ効果が薄れる。Kさんの感覚は正しく、「同じやり方の繰り返し」では数字が成立しにくくなっていました。

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「想定利回り10〜20%」を見て、最初に怪しいと思った

Kさんが次に調べ始めたのがトレーラーハウスを使った土地活用でした。ただ、最初は懐疑的だったと言います。「想定利回り10〜20%というモデルケースの数字を見たとき、正直、怪しいと思った」と。これは私も同じ反応でした。実は私自身、最初に資料を読んだとき「宿泊単価の前提が甘すぎないか」と思い込んで、稼働実績データを確認する前に一度棚上げしてしまった経緯があります。数字の出どころを確認せずに判断しかけた、小さな反省です。

それでもKさんが「調べてみようと思った」理由のひとつが、「建物ではなく車両扱い」という固定資産税の構造でした。基礎を持たないトレーラーハウスは、設置状況によっては固定資産税の対象外になるケースがあります(自治体の判断によって異なるため、個別確認が必要です)。アパートの固定資産税と都市計画税が年間でいくらかかるか身に染みているKさんには、ここは素直に刺さったようでした。

「撤退できる設計」が、数字に厳しい人に響く理由

Kさんが次に確認したのは出口戦略です。アパートは築年数と構造によって売却評価が大きく落ちますし、買い手もなかなかつかない。一方、トレーラーハウスは土地の賃貸借契約が終われば移動できる設計です。土地を購入せず地主に地代を払う形で設置するケースが多く、「出口が詰まりにくい」という点がKさんには刺さりました。

ただ、「移動できる=リスクがない」ではありません。移送費・再設置費・移転先の確保など、実際のオペレーションには手間とコストが伴います。試算するなら、それらを組み込んだうえで判断するのが正確です。

試算してみたら、「思ったより変数が読めた」

Kさんが試算した前提はこうです。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジ(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により変動するモデルケース)。宿泊運用を想定し、稼働率60〜70%のケースで月間売上が成立するかどうかを確認しました。

PACOの木造2×4構造モデルでは、Airbnbの評価が4.8前後で安定している運用実績もあるとのことで、Kさんはその稼働データを見ながら「根拠がある数字かどうか」を自分でチェックしていました。あくまでモデルケースであり個人差があることを前提にしつつも、Kさんは「アパートより読みやすい変数もある」と感じたそうです。たとえば、宿泊単価は地域の観光需要と連動するため、エリア選定の段階で一定の検証ができる点が、空室率の読みにくい住居系とは異なると感じたようです。

「規模拡大」ではなく「分散の一枚」として置いたら腹落ちした

最終的にKさんが出した結論は、「規模拡大ではなく、分散の一枚として検討する」でした。アパートと区分で作ったベースの上に、稼働率や収益構造が異なるアセットを乗せる。それが「次の一手」の位置づけです。

印象に残ったのは、「全部を入れ替えようとは思っていない」というKさんの言葉でした。既存のポートフォリオが回っているからこそ、新しいアセットを試せる余白がある。その余白の使い方として、異なる利回り構造を並べて比較することは十分に意味があると感じました。

次の一歩:「実質利回り」を管理費・空室・修繕込みで計算し直す

まず自分の既存ポートフォリオの実質利回りを、管理費・空室・修繕込みで正確に出し直してみてください。それと並べて、別アセットの利回り構造を条件ベースで比較する。その作業だけで「次の一手」の輪郭がかなり見えてきます。Kさんもまだ検討段階です。いきなり動く必要はありません。焦らず、数字で考えていきましょう。

よくある質問

既にアパートローンがあると、トレーラーハウス投資の融資審査は不利になりますか?

既存の借入状況によって融資条件は変わりますし、金融機関によってトレーラーハウスをどう評価するかの基準も異なります。「不利になる」とも「関係ない」とも一概には言えません。担保評価の考え方が不動産ローンとは異なるケースが多いため、複数の金融機関に打診して条件を比較するのが実際的なアプローチです。

想定利回り10〜20%という数字は、何を前提にしていますか?

宿泊運用の場合、稼働率・宿泊単価・運営コストの組み合わせで大きく変わります。10〜20%はあくまでモデルケースの幅であり、稼働率が低い月や閑散期には下振れするケースも想定されます。「想定の前提条件が何か」を確認したうえで、自分の試算に落とし込むことが重要です。保証される数字ではありません。

土地を持っていなくても、トレーラーハウスでの運用はできますか?

地主から土地を借りて設置するケースはあります。ただし、賃貸借契約の内容(期間・更新条件・解約条項など)がリターンの安定性に直結します。「土地を借りる=リスクが低い」ではなく、契約の中身を慎重に確認することが前提です。