「相続で土地が増えたが、何をすればいいか分からない」「固定資産税だけ払い続けるのも限界」——こういった声を、法人経営者の方からよくいただきます。株や投信はすでに動かしている。でも不動産、特に遊休地の活用となると、途端に手が止まる。今回はそのリアルな疑問に、順を追ってお答えします。

「とりあえず駐車場」は無難な選択か、それとも意思決定の先送りか

結論から言うと、「無難」ではなく「意思決定の先送り」に近いケースが多いと感じています。月極駐車場の収益は1台あたり月5,000〜15,000円程度が相場で、都市部でなければ稼働率も読みにくい。固定資産税を賄えればいい、というスタンスならありですが、資産効率を意識する経営者にとっては物足りない選択になりやすいです。

実は筆者自身、最初に取得した土地でコインパーキング業者に打診したことがあります。当時の試算では表面利回りが3〜4%台にとどまり、「これなら別の使い方を探そう」と判断を変えました。後から気づいたのですが、そのとき「選択肢を並べる前に業者に連絡してしまった」という順序のミスが、余計な時間を生んでいました。選択肢を比較してから動くことをお勧めします。

不動産未経験でも動けるのか——管理の「外注範囲」を先に決める

「不動産経験ゼロ」と「不動産を動かせない」は別の話です。重要なのは、自分が何を管理するのかを事前に整理すること。建物管理・集客・予約対応をどこまで任せられるかで、経営者としての関与度は大きく変わります。

たとえばPACO INVESTのような形態では、Airbnb等を活用した宿泊事業としてオペレーションが伴走する仕組みになっています(PACO Stayという運用フェーズです)。「手離れが悪い投資は本業に響く」という視点は正しいので、どこまで外注できるかを最初に確認するのが先決です。

減価償却による所得圧縮、どのくらい現実的か

慎重に話すべきところですが、正直に言います。トレーラーハウスのような構造物は「建物」として減価償却の対象になりうるケースがあります。法定耐用年数の枠内で毎年一定額を経費計上できるため、高所得の経営者ほど所得圧縮効果が想定されます。

ただし、効果の大きさは取得価額・法人か個人か・他の所得構成によって大きく異なります。筆者の感覚では、税理士に具体的な試算を依頼する前に「こういう構造の投資があります」と見せるための情報収集として、まず概要を掴んでいただくのが現実的な順序です。個別の節税効果は必ず専門家と確認してください。

地方の土地に投資するリスク——「安く買って高利回り」が成立する条件

地方立地の最大のリスクは、需要の薄さと流動性の低さです。観光需要や交流人口に依存する宿泊型の運用は、立地が収益のほぼすべてを決めます。「安い土地を買って高利回り」という話は、集客できるかどうかに全てかかっています。

筆者がPACOの案件を見るときに必ず確認するのは、Airbnbの周辺競合稼働率と、車でのアクセス性です。木造2×4構造のトレーラーハウスは移設・撤退が比較的しやすい点が特徴の一つですが、「撤退できる」ことと「稼げる」ことは別の話。1台あたりの初期投資は概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、その回収シナリオは現実的な稼働率で複数パターン試算することを強くお勧めします。

最初の一手は「土地にかかっているコスト」を数字で出すこと

遊休地の活用に「絶対の正解」はありません。ただ、意思決定の精度を上げるために最初にやるべきことは一つ——「今の土地にかかっているコスト」を正確に把握することです。固定資産税、維持管理費、機会損失。この3つを数字で出すだけで、「何もしない」という選択肢が最も高くつくと気づけるケースがあります。

そのうえで、駐車場・アパート・宿泊施設・太陽光など選択肢を並べ、それぞれの初期投資・想定収益・撤退コストを比較する。焦らず、でも「保留」という名の先送りには気をつけながら、一つずつ潰していくのが現実的な進め方だと思っています。

よくある質問

法人名義の土地でも活用できますか?

法人名義の土地でも活用スキームを組めるケースはあります。ただし、法人が建物を保有するのか個人が保有するのかで、減価償却の恩恵を受ける主体が変わります。法人税対策を主目的とするなら法人での取得・運用が検討される場合が多いですが、具体的な判断は必ず税理士や法律の専門家と連携して進めてください。

トレーラーハウスは「建物」として登記できますか?

トレーラーハウスの法的扱いは構造・設置状況によって異なります。固定基礎がない移動可能な状態では「車両」扱いになるケースもあれば、設置状況次第で建築物として扱われるケースもあります。この判断は自治体や設置条件によって変わるため、事前に行政確認を取ることが不可欠です。投資判断の前に必ず確認すべき項目の一つです。

想定利回りはどのくらいで試算すればいいですか?

宿泊型運用のモデルケースでは、想定利回り10〜20%程度で試算されることがありますが、これはあくまで特定の前提条件(立地・稼働率・客単価など)の下での数字です。実際の数値は立地や運用状況によって大きく異なります。保守的に見るなら稼働率50〜60%のシナリオでもキャッシュフローが回るかどうかを、筆者は最初のチェックポイントにしています。