区分マンション2戸とアパート1棟を持ち、次の手を考えている方にとって、Airbnb投資は「リスクが読みにくい」という印象があるかもしれません。ただ、そのリスク感の根拠が業界の通説をそのまま受け取ったものなら、一度立ち止まる価値はあります。
実は筆者自身、最初に地方観光地の物件を試算したとき、「稼働率が低くて話にならない」と判断して都市型物件を優先しました。後から競合数と初期コストを加えて再計算したところ、実質利回りでは地方案件のほうが上回っていた——という経験があります。「数字を見ていたつもりで、一番大事な変数を抜かしていた」という失敗です。
「都市部なら稼働率が高い」——その計算式に競合数と初期コストは入っていますか
宿泊需要の絶対数は都市部のほうが多い。数字としては正しい。ただ、東京23区でAirbnb用物件を取得しようとすると、物件コストだけで数千万円規模になることは珍しくなく、競合するAirbnb物件や格安ホテルの数も膨大です。稼働率が高くても投下資本に対するリターン(実質利回り)が伸び悩むのは、この初期コストの重さが主因です。
「需要が多い=儲かる」という等式は、競合数と初期投資を加えた瞬間に崩れることがあります。
地方観光地隣接エリアで利回り計算式が「素直に動く」のはなぜか
地方の観光地周辺や自然体験エリアは、初期投資を相対的に抑えやすく、「そのエリアでしか泊まれない体験」という希少性がAirbnbの評価に直結しやすい構造があります。東京のビジネスホテルと競合する物件より、「ここにしかない」を売りにできる物件のほうが、1泊単価を高く設定できる余地があります。
モデルケースとして「地方観光地隣接、年間稼働率55〜65%、1泊単価1万5,000〜2万円」で試算すると、想定利回りが10〜15%のレンジに入るケースがあります。あくまで立地・物件仕様・運営体制によって大きく変わりますが、都市型物件の高コスト構造と比べると「計算式の変数が少ない」という感覚は持ちやすいと思います。
「出口が読めない」——ただし物件の構造次第でその前提は変わる
Airbnb投資へのもうひとつの懸念が「撤退しにくい」というものです。RC造の区分マンションと比べれば、流動性で劣る場面があるのは事実です。ただ、投資対象の構造によっては、この前提自体が変わります。
PACOが手がけるトレーラーハウス型投資物件(木造2×4構造)は、土地に固定しない形式のため、理論上は移設・転用が可能です。土地を押さえたまま建物を動かせる、あるいは用途を変えられるという選択肢は、出口戦略を重視する投資家にとって無視しにくい要素です。一般的な民泊物件では持ちにくい「撤退の選択肢」が、構造設計の段階から組み込まれているイメージです。
既存ポートフォリオに「1棟だけ混ぜる」と何が変わるか
すでに区分マンションとアパートを持つ方がAirbnb投資を加える意味は、「稼働率の季節変動」と「単価の変動性」という、これまで持っていなかったリスク・リターン特性を組み込める点にあります。家賃収入は安定しているが天井が見えている、という感覚があるなら、稼働と単価で可変する収益構造を1棟混ぜることに分散の意味が出てきます。
初期投資については、トレーラーハウス型の場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。既存資産との比較で「次に入れるべき規模感か」を判断する際は、この幅を前提に複数パターンの試算を組むことをお勧めします。
最初の一手は「検討エリアの稼働データを取る」、それだけでいい
まず動くべき一歩は、検討エリアのAirbnb稼働データを取ることです。AirDNAなどのツールで、同エリアの平均稼働率・平均単価・季節変動のパターンが確認できます。感覚や通説ではなく、エリア固有のデータを手元に置いてから判断する——それが、数字に厳しい投資家の動き方だと思います。
PACOでもAirbnb評価4.8の運用実績を持つ物件のデータを、開示できる範囲でお伝えしています。「このエリアで本当に回るのか」という疑問を数字で検討したい方は、まずそこから始めてみてください。
よくある質問
地方のAirbnb物件は、閑散期にどれくらい稼働率が落ちますか?
エリアや物件コンセプトによって大きく異なりますが、観光地隣接エリアでは繁忙期60〜80%に対して閑散期30〜40%まで下がるケースも想定されます。試算を組む際は「年間平均稼働率」と「閑散期の最低稼働率」を別々に見ておくことが重要です。繁忙期の数字だけで年間収益を概算すると、実態とのギャップが出やすくなります。
トレーラーハウスは「建物」として減価償却できますか?
木造2×4構造のトレーラーハウスは、要件を満たす場合に減価償却資産として扱われるケースがあります。ただし構造・設置状況・税務上の判断によって異なるため、具体的な処理は必ず税理士に確認してください。既存の不動産投資と組み合わせる際の所得圧縮効果については、ケースによって大きく変わります。
既存の融資枠への影響はどう考えればいいですか?
アパートローンなど既存の借入がある場合、新たな融資審査では総借入残高と年収の比率(返済比率)が確認されます。トレーラーハウス投資では事業融資・ノンバンク活用など複数の調達パターンが検討されるケースがありますが、既存融資との兼ね合いは金融機関によって判断が異なります。現在の借入状況を整理した上で、複数の金融機関に条件を確認するステップが現実的です。