iDeCoとNISAを走らせながら「老後2,000万円にまだ届かない」と感じている30代の方から、Airbnb運営の相談を受けることが増えています。共通しているのは「民泊は都市部じゃないと稼げない」という前提で物件を探し始めていること。この記事では、その前提をいったん外したときに見えてくる数字の読み方を整理します。
「都市部が有利」というイメージはどこから来たのか
Airbnbで検索すると、東京・大阪・京都の物件が上位に並び、口コミも豊富です。「需要が多い=稼げる」という印象が定着するのは自然なことです。ただ、需要が多い場所には供給も集まります。都市部の民泊市場は競合が密集しているため、差別化のためにインテリアや設備への追加投資が発生しやすく、そもそも物件取得コストが高い分、利回りを圧縮する要因が最初から積み重なっています。
正直に言うと、私自身も最初は「都市部に1棟」を探していました。ところが試算してみると、物件取得費が高いせいで想定利回りが3〜4%台に収束してしまい、そこで初めて「競合が少ない地方で単価を取る」という発想に切り替えた経緯があります。
地方・郊外の物件が競争から自由になりやすい構造的な理由
競合が少ない地方・郊外では、Airbnbの検索結果で上位表示されやすく、需要の絶対数は都市部より少なくても、その需要の多くが自分の物件に集まる構造になりやすいです。
現在運用中の2棟はいずれも地方の郊外立地ですが、Airbnbの評価は4.8を維持しています(2025年時点)。口コミには「自然の中で静かに過ごせた」という声が多い一方、「他に選択肢がなかったから必然的に選んだ」という書き込みもあります。後者は少し笑えますが、競合不在の強さをそのまま表しています。
加えて、地方は土地コストを抑えられるケースが多く、同じ規模の初期投資でも収支構造が変わることがあります。
「稼働率が低いと詰む」は本当か——試算で確かめる
都市部有利論の根拠としてよく挙がるのが「稼働率の安定感」です。確かに都市部のほうが年間を通じた需要は厚いですが、重要なのは稼働率の絶対値よりも、1泊あたりの単価と変動コストのバランスです。
モデルケースとして「地方の遊休地に設置、宿泊単価1泊15,000円、月間稼働率50〜60%(15〜18泊)」で試算すると、月の宿泊売上は概ね22万〜27万円前後になります。立地・季節・諸経費により大きく変動するため、あくまで一例です。都市部で稼働率が高くても、競合対策の費用や消耗品費が積み上がれば、手残りは思ったより変わらないケースもあります。
節税の数字は「耐用年数の違い」を知ると読み方が変わる
年収550万円の会社員(32歳・モデルケース)が民泊収入を得ると確定申告が必要になりますが、そこで機能するのが減価償却です。木造建物の法定耐用年数は22年ですが、トレーラーハウスは「車両」として扱われるケースがあり、耐用年数が短くなる場合があります。税務上の取り扱いは必ず税理士に確認してください。
PACOの木造2×4構造のトレーラーハウスを例にすると、初期投資の金額が大きい分、減価償却による所得圧縮効果が数年間にわたって継続するケースがあります。給与所得と合算して課税所得を圧縮できれば、節税と副収入を同時に取りにいくという目的に近づく可能性があります。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されることが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します。
試算表を自分で作ることが、最初の判断材料になる
「都市部が有利」という前提を外すと、地方・郊外立地の民泊投資は「競合が少ない」「土地コストを抑えられる可能性がある」「減価償却の効果が出やすいケースもある」という別の読み方ができます。ただし、すべての立地に当てはまるわけではなく、立地選定は慎重に行う必要があります。
まず前提条件を自分で決めた試算表を作ってみてください。どこがリスクでどこが読めるのかが整理され、投資判断の土台になります。
よくある質問
地方の民泊物件は、オフシーズンの集客が難しくないですか?
オフシーズンに稼働率が落ちること自体は避けにくいです。ただ、Airbnbのアルゴリズムは稼働実績と口コミ評価を重視するため、繁忙期にしっかり評価を積み上げると、次のシーズンに向けた露出が上がりやすくなります。オフシーズンの補完策として、テレワーク需要を見込んだ月額固定の長期利用者を取り込む戦略も選択肢の一つです。
住宅ローンがない状態でも、民泊投資向けの融資は通りますか?
融資審査の条件は金融機関によって大きく異なります。会社員の安定収入は評価されやすい属性ですが、民泊事業への融資は事業融資として審査されるケースが多く、物件の収益性や自己資金比率も判断材料になります。複数の金融機関と、民泊投資に詳しいFPや税理士への相談を並行して進めることをお勧めします。
確定申告はどのくらいの手間ですか?初めてだと不安です。
民泊事業の収入がある場合、毎年確定申告が必要です。初年度は減価償却の計算や経費按分の整理が必要なため、税理士に依頼する方も少なくありません。節税効果の最大化と申告ミスのリスク軽減を考えると、初年度は専門家に頼るのが現実的な選択肢です。費用は発生しますが、申告内容の精度が上がることで、結果的にコスト以上の効果が出るケースもあります。