「この土地、何かに使えないだろうか」——相続を機にそう感じている方は少なくないはずです。固定資産税だけが毎年出ていき、地代収入もない。そんな状況でAirbnb運営という選択肢が視界に入ってきたとき、実際にどう動いた人がいるか、一つのモデルケースをご紹介します。
「とにかく税金が惜しい」——それだけが出発点だった
先日、知人のTさん(60代・仮名)から相談を受けました。以下はその内容をモデルケースとして再構成したものです。Tさんは郊外に300坪ほどの遊休地を相続されており、近くに幹線道路が走っているものの、テナント誘致には至っていない状況でした。
固定資産税は年間で数十万円規模。地代収入はなく、「何もしないまま払い続けるのが一番もったいない」というのが動機の出発点でした。相続税の申告を終えたばかりで、次の一手を考え始めていたタイミングでもありました。
正直なところ、相談を受けた私自身も最初は「郊外でAirbnbはハードルが高いかもしれない」と思っていました。ところが条件を整理していくうちに、むしろ都市部とは違う強みがあることに気づかされました。
「こんな郊外に泊まりに来る人がいるの?」という疑問は正しい
Tさんが最初に言ったのは、「こんな郊外に泊まりに来る人がいるのか」という素朴な疑問でした。都市部のマンションをAirbnbで貸すイメージはあっても、郊外の空き地に宿泊施設を置くという発想はなかったのです。
ただ、Airbnbで検索される宿泊先は、必ずしも都心の便利な立地だけではありません。「非日常感」「自然との近さ」「プライベート空間」を求める層——グループ旅行やワーケーション目的の旅行者——が、あえて郊外を選ぶケースは増えています。車アクセスが良い幹線道路沿いの土地は、この層にとってむしろ好条件になることがあります。疑問は正しかった、ただ答えは想定と逆でした。
試算より先に、「設置できる土地か」の確認が必要だった
Tさんのケースで最初に確認したのは、「その土地でトレーラーハウスが設置できるか」という法的・物理的な条件でした。建築基準法上の建築物に該当しない形態での運用が可能かどうかは、立地条件や行政との確認が必要です。この段階を飛ばして試算だけ先行させると、後で計画が大きく狂います。
前提条件が揃ったうえで試算を立てると、客室1室・週末中心の稼働・1泊2〜3万円設定・稼働率60〜65%想定のモデルケースでは、月の売上は概ね30〜40万円程度になるケースが想定されます。ただしここから光熱費・清掃費・プラットフォーム手数料(売上の約3〜15%)・管理コストを差し引く必要があり、手残りは状況によって大きく変わります。あくまでモデルケースであり、実際の数字は立地・運営方法・稼働状況によって異なります。
「土地代ゼロ」という条件が、試算をどう変えるか
Tさんのように土地をすでに持っている場合、初期投資の構造が一般的な投資とは異なります。通常、不動産投資では土地代が総コストの大きな割合を占めますが、遊休地活用の場合はそこが実質ゼロになる。試算上、これはかなり有利な条件です。
PACOのトレーラーハウスを例にとると、1台あたりの導入コストは物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース/物件仕様や立地で変動)とされています。この金額を土地取得なしで試算できるのと、土地込みで考えるのとでは、想定利回りの計算が根本的に変わります。Tさんはその点を理解されたとき、「話が変わってくるな」と表情が変わっていました。
「うまくいかなかったとき、手が引けるか」——慎重派が気にする出口
Tさんがもう一つ気にされていたのは、撤退できるかどうかでした。建物を建ててしまうと、撤退コストが大きくなりがちです。
トレーラーハウスは移動・撤去が前提の構造であるため、状況に応じて別の活用に切り替えやすいという特性があります。もちろん移設にもコストはかかりますし、すべてがスムーズにいくわけではありません。それでも「不可逆な投資ではない」という感覚は、慎重な判断をされる方には一定の判断材料になることがあるようです。
Tさんは「完全にやめる前提で考えられるのは気が楽だ」とおっしゃっていました。今は情報収集と現地確認のステップに進まれています。
最初の一手は、土地の条件整理——試算はその後
この事例が示すのは、「郊外の遊休地でAirbnb運営が成立するかどうか」は一概には言えないものの、条件次第では十分に検討の俎上に乗る、ということです。固定資産税を払い続けながら迷っているなら、まず自分の土地がどういう条件にあるかを整理することが最初の一手になります。
具体的には「設置可能な土地かどうか」と「周辺の宿泊ニーズはどうか」の2点を確認することから始めてみてください。答えが出なくても、疑問が具体化するだけで次の判断はしやすくなります。
よくある質問
郊外の土地でもAirbnbに向いている立地はありますか?
車でアクセスしやすい幹線道路沿い、自然環境が近い、観光地やアウトドアスポットへの中継地になるといった条件が揃うと、都市部とは異なる層の旅行者を取り込めるケースがあります。ただし周辺の競合施設の有無や宿泊需要の実態は事前調査が必要です。立地条件によって結果は大きく異なります。
相続した土地でのAirbnb運営は、相続税対策になりますか?
土地上に構築物を設置して事業用に活用することで、土地の評価額が変わる可能性はありますが、相続税への影響は個別の土地条件・評価方法・税務上の扱いによって異なります。節税効果を期待するのであれば、必ず税理士など税務の専門家に個別相談のうえで判断されることをお勧めします。この記事は一般的な情報提供を目的としており、税務アドバイスを意図するものではありません。
Airbnb運営は自分で管理しないといけませんか?
清掃・チェックイン対応・ゲスト対応などを自分で行うことも可能ですが、運営を委託できるサービスも存在します。PACOの場合、PACO Stayという運営サポートの仕組みが用意されており、オーナーが遠方にいる場合や運営に不慣れな場合の選択肢になることがあります。委託にはコストが発生するため、収支計画に織り込んで検討することが重要です。