iDeCoとNISAを一通り始めて「次の一手」を探している方から、「Airbnbって実際どれくらい稼げるの?」と聞かれることがあります。そのたびに私が最初に確認するのは、相手が持っている試算書の稼働率です。楽観的な前提が当たり前のように使われている資料は、思いのほか多いからです。今回は「稼働率60%」というやや保守的な数字を軸に、月次の内訳まで一緒に確認していきます。
「稼働率80%」の試算書を、一度でも疑ってみましたか
Airbnb投資の資料でよく見かけるのが、稼働率80〜85%という前提です。繁忙期の数字をそのまま年間に引き延ばしているケースも少なくありません。私自身、2棟の運用を始めた当初は「80%いけるだろう」と高をくくっていましたが、清掃・メンテナンスの日程確保やオフシーズンの落ち込みを経験すると、通年平均で60〜70%台に落ち着く感覚が実態に近いと気づきました。強気の試算書を鵜呑みにして初年度に想定外の税負担を受けた、という話を複数の方から聞いたことも、この数字を基準に使う理由のひとつです。
もちろん立地や運用スキルによって大きく変わります。ただ、試算を読む際に「この稼働率は最低ラインか、それとも理想値か」という視点を持つだけで、数字の見え方はかなり変わってきます。
「稼働率60%」で試算すると、月の数字はこうなる
以下はあくまでモデルケースです。地域・物件仕様・運用体制によって実際の数字は大きく変わります。参考値としてご覧ください。
前提条件
・立地:地方観光地(長野県・軽井沢周辺のイメージ)
・物件:木造2×4構造のトレーラーハウス1台
・初期投資:概ね1,100万円(モデルケース。仕様・立地・付帯工事により990万〜1,500万円のレンジで変動)
・1泊の平均単価:25,000円
・稼働率:60%(月30日中18泊)
・融資:なし(自己資金)
月次の収支イメージ
・月間売上:25,000円 × 18泊 = 450,000円
・Airbnb手数料(約3%):▲13,500円
・清掃委託費(1回3,000円 × 18回):▲54,000円
・光熱費・消耗品:▲20,000円
・管理・修繕の積立(売上の5%目安):▲22,500円
・月次キャッシュフロー(概算):約340,000円
年換算すると約408万円。初期投資1,100万円に対する表面利回りは計算上で約37%になりますが、ここに所得税・住民税がかかります。また、稼働率が50%に落ちると月次キャッシュフローは約26万円台まで下がる想定です。「稼働率が10ポイント動くだけで、月の手取りが7〜8万円変わる」という感覚を先に持っておくことが、試算書を読む上での最低限のリテラシーだと考えています。
節税の話を「投資の後半」に回すと、取り返しのつかない順番になることがある
年収550万円の会社員の方がAirbnb投資を検討する際、見落とされがちなのが減価償却のタイミングです。木造トレーラーハウスは建物部分を法定耐用年数に沿って減価償却でき、この償却費が帳簿上の経費として計上されると、副業収入との損益通算で所得圧縮効果が想定されます。キャッシュは手元に入りながら、税務上の所得を下げられるという構造です。
ただし、「誰でも同じ効果が出る」ものではありません。年収・他の控除・事業規模によって効果は変わります。「節税になりそう」という感覚だけで進んで、確定申告の直前に税理士から「その前提では使えません」と言われるケースは実際にあります。試算の段階から税務の視点を入れておくことを、強くおすすめします。
「撤退できる構造かどうか」を、なぜ最初に確認すべきなのか
トレーラーハウスが区分マンション投資などと異なる点のひとつは、「移設・売却・用途変更」という選択肢が比較的取りやすいことです。土地に定着していないため、土地を手放さずに物件だけを動かすケースも想定されます。もちろん移設にはコストがかかりますし、すべての状況で自由に動かせるわけではありません。
「撤退のイメージが持てない投資はしない」という原則を持っている方にとっては、出口戦略の選択肢が相対的に多い点は、検討に値する要素のひとつではないかと思っています。
次の一歩として、まずやっておきたいこと
Airbnb投資に興味があるなら、最初にやるべきは「自分の数字で試算を引き直すこと」です。稼働率60%と70%、それぞれで月次キャッシュフローを計算してみてください。その差額が自分の「許容できるブレ幅」より小さければ、前向きに検討する価値があります。
PACOでは、実際の運用データや立地選定の考え方について個別に情報提供しています。「まず試算の前提だけ聞きたい」というご相談も受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
副業としてAirbnb運営をする場合、確定申告は必要ですか?
副業収入が年間20万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。また、事業的規模かどうかによって適用できる特例や経費の扱いが変わることもあります。税務の詳細は税理士への確認が前提で、「投資の検討と並行して税務の整理を始める」という順番が、後から慌てないためのポイントです。
初期投資の費用感はどれくらいで考えればよいですか?
PACOのトレーラーハウスの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース)。物件の仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下するため、固定の最低価格として捉えるのではなく、自分の条件に合った見積もりを取ることが最初のステップです。
Airbnbのレビュー評価は収益にどれくらい影響しますか?
評価スコアは稼働率に直結します。評価4.5以上の物件は検索表示で優遇される傾向があり、予約率が大きく変わるケースがあります。PACOの運用実績では平均4.8という数字がありますが、これは清掃品質・レスポンス速度・設備の整備といった日常的な運用の積み重ねの結果です。「物件を置けば自然と評価が上がる」わけではない点は、あらかじめご認識ください。