区分マンションとアパートで一定の実績を積んだ方が、次のステップを考えるとき、Airbnb投資という選択肢が視野に入ってくることがあります。利回りの数字は確かに目を引く。でも「実際のところ、どれだけリスクがあるのか」を正直に知りたい——そんな方に向けて、自分の失敗を含めて書きます。
「稼働率75%で回る」と試算した私が、最初の冬に学んだこと
トレーラーハウス1棟目を運用し始めたのは40歳の手前でした。周辺の観光需要と予約状況を調べて「年間稼働率75%は現実的」と判断し、キャッシュフロー試算を組みました。ところが最初の冬、実際の稼働率は月によって40%台まで落ちました。
試算の前提が甘かったというより、季節変動の「谷」の深さをデータではなく感覚で埋めていたのが問題でした。近隣の競合物件が冬に大幅値引きをしていたことも把握できていなかった。「だいたいこのくらい」という数字が、最も危険な数字だと実感した瞬間です。
この経験から、試算を作るときは必ず「稼働率50%のケース」をベースシナリオに置くようにしました。それで固定費をカバーできるかどうかを先に確認してから、上積みを考える順番に変えました。もう一つ気づいたのは、競合の動向を「開業前に一度調べた」だけで終わらせていたこと。価格変動は季節ごとに追い続けないと意味がありません。
長期賃貸との比較で、Airbnb投資の「コスト構造」が見えてくる
既にアパートを1棟持っている方なら、長期賃貸との比較で考えると整理しやすいと思います。長期賃貸は収入の安定性が高い分、単価が低く利回りを上げにくい。Airbnb運営は単価が高い分、変動リスクと運営コストを自分で管理する必要があります。
具体的なコスト構造でいうと、清掃費・リネン・消耗品・プラットフォーム手数料(Airbnbは通常15%前後)が長期賃貸にはない支出として乗ってきます。1泊1.5万円・月20泊のモデルケースで試算すると、月収30万円に対して清掃・消耗品だけで4〜6万円程度が動く計算になります。立地・物件サイズ・運営体制によって変わるため、あくまで参考値として見てください。
数字に厳しい方ほど、「グロスの利回り」より「ネットのキャッシュフロー」に視点を移すと、Airbnb投資の本当の難しさと可能性が見えてきます。
撤退できる構造かどうか、先に確認しておく価値がある
既に2アセット以上を持っている投資家として気になるのは「出口」ではないでしょうか。区分マンションは流動性が高い。アパートはやや時間がかかる。では、トレーラーハウスを使ったAirbnb投資はどうか。
トレーラーハウスは不動産登記が不要なケースが多く、移設や撤去が可能な構造です。土地に定着させた建物と違って「その場所が合わなければ動かす」という選択肢が残っているのは、ポートフォリオ分散を考える上で一つの着眼点になります。ただし移設にはコストが発生しますし、移設先の立地選定が改めて必要になる点は変わりません。「完全に撤退できる」とは言い切れませんが、「手を打てる選択肢が残っている」という構造は、他の固定資産とは異なります。
地方立地で問うべきは「観光客が来るか」ではなく「誰が泊まるか」
Airbnb投資で立地を選ぶとき、「観光地だから稼げる」という仮説を一度疑ってみることを勧めます。観光地は競合も多く、繁閑差が激しい。一方で、工場や建設現場が多い地域での長期滞在需要、医療機関周辺での家族滞在需要など、観光以外のニーズで稼働が安定しているエリアが存在します。
私が2棟目を置いたのは有名観光地ではなく、周辺に複数の大型施設が集まる郊外エリアでした。稼働の安定感は1棟目より高く、季節変動も比較的小さい。「誰が泊まるか」を先に考えてから立地を決める順番が、結果として安定に近づいたように感じています。
次の一手を動かす前に、「稼働率の根拠」を自分で説明できるか確認する
規模拡大か別アセットでの分散か——どちらの方向性でも、Airbnb投資を検討するなら最初に整理すべきは「なぜその稼働率を想定しているか」の根拠です。周辺の競合価格帯、過去の予約密度、季節変動のパターン。これを自分で調べられる状態になってから、初期費用の試算を動かす順番が現実的です。
PACOのトレーラーハウス(木造2×4構造)を活用したAirbnb運営では、Airbnb評価4.8台の運用実績を持つ物件もありますが、それがそのまま再現されるとは限りません。1台あたりの初期投資は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変わり、概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース/物件仕様や立地で変動)という認識で、まず情報を集めてみてください。自分の試算を一度解体するところが、最初の小さな一歩だと思っています。
よくある質問
Airbnb投資とアパート経営、どちらが利回りは高いですか?
Airbnb運営はグロスの想定利回りが高く出るケースがありますが、清掃費・消耗品・プラットフォーム手数料・稼働率変動などを加味したネットの数字は、条件によって大きく変わります。「想定利回り10〜20%」という数字が出るモデルケースもありますが、あくまで条件次第です。まずネットキャッシュフローを自分で試算することを勧めます。
既に融資を使っている場合、Airbnb投資に追加で融資を引けますか?
既存の借入状況や年収・資産背景によって、金融機関の評価は変わります。トレーラーハウスは動産に分類されるケースがあり、融資スキームが通常の不動産ローンと異なる場合があります。ケースによっては自己資金を抑えてのスタートも想定されますが、個別の状況によるため、複数金融機関への打診を含めて検討されることをお勧めします。
運営管理は自分でやらないといけませんか?
ゲスト対応・清掃・チェックイン管理を代行する民泊管理会社に委託するケースが多くあります。代行手数料は売上の15〜30%程度が目安(業者・契約内容によって異なります)となるため、収支試算には必ず組み込んでおく必要があります。自主管理との使い分けは、物件数や本業の状況に応じて判断されるのが現実的です。