「何もしないのが一番安全」と思いながら、気づけば3年が過ぎていた——そういう方から相談を受けることが、最近ずいぶん増えました。選択肢が多すぎるせいで、かえって思考が止まってしまうのです。今回は、そこから一歩動いた55歳の方の事例(モデルケース、ご本人の許可を得て掲載)をご紹介します。
「何もしない」は本当に安全か——年30万円が消え続けた3年間
相談を受けたBさん(55歳・仮名)は、3年前に父親から郊外の土地を引き継ぎました。年間固定資産税はおよそ30万円。収入はゼロ。3年間で累計90万円が出ていった計算です。「何もしていないのに毎年30万円が消える感覚が嫌で嫌で」という言葉が印象に残っています。
動けなかった理由は明確でした。アパート建設は建築費が高く融資審査も厳しい。駐車場は立地的に需要が見込めない。太陽光は規制が多い。消去法で選択肢を減らすうちに、1年が過ぎていました。「何もしない」という選択にも、毎年30万円というコストがかかっている——この視点が抜け落ちていたのです。
「撤去できる投資」という発想が、Bさんの思考を変えた
私がBさんにお伝えしたのは、トレーラーハウスを使ったAirbnb運用という選択肢でした。木造2×4構造のトレーラーハウスは、土地に定着しない「動産」として扱われるケースがあり、固定資産として評価されにくいという特性があります(※税務・行政上の扱いは条件により異なります。必ず税理士・管轄行政にご確認ください)。
Bさんが最も反応したのは「撤去できる」という点でした。アパートは一度建てると数十年の付き合いになりますが、トレーラーハウスなら需要が見込めなければ移設・撤去という出口もある。正直に言うと、私自身も最初にこの仕組みを知ったとき、「本当に動産扱いになるのか」と半信半疑で、自分で行政窓口に確認しに行きました。結果として条件次第であることを改めて実感しましたが、それでも「出口を想像できる構造」であることは慎重な方ほど刺さるポイントのようです。
数字より先に「どんな客が来るか」を想像した
Bさんの土地は最寄り駅から車で20分ほど、丘の上にある眺望のよい場所でした。「駅近でないと厳しいのでは」と感じる方も多いでしょう。ところがAirbnbのゲスト層を細かく見ると、ソロキャンプ感覚のアウトドア需要やワーケーション需要が、こういった立地に合致するケースがあります。
私自身が運用している2棟も、いわゆる駅近ではありません。それでも週末を中心に稼働が続いているのは、「非日常感」を求めるゲスト層が一定数いるからだと感じています。Airbnbの評価4.8以上を維持している物件の中に、都市の中心ではなく「意図的な立地」を選んだものが含まれている——という点は、見落とされがちな事実です。
試算してみると、「劇的でも、バラ色でもない」現実だった
Bさんと一緒にざっくりとした試算をしました。個人差・立地差があることを前提にお読みください。
モデルケースの前提:初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジ(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)。宿泊単価1泊1万5,000円、月間稼働15泊(稼働率50%)と仮定すると、月間売上はおよそ22万5,000円。清掃費・プラットフォーム手数料・消耗品費等を差し引いた粗利は月15万円前後というイメージです。想定利回りは条件が整った場合で10〜15%(モデルケース)というレンジで語られることがありますが、保証される数字ではありません。
Bさんの反応は「思ったより現実的だな」というものでした。劇的に儲かるわけではないが、年30万円を払いながら何もしない現状よりはキャッシュフローが変わる。その「現実的さ」が、逆に決断の後押しになったようです。
Bさんが3ヶ月かけて自分で確認した「3つの条件」
Bさんはすぐには動かず、3ヶ月かけて次の3点を調べてから運用会社との正式な相談に進みました。
まず「その地域の民泊届出・条例に問題がないか」。次に「融資が通るか、あるいは自己資金でどこまでカバーできるか」。そして「稼働率が30%を下回った場合でも、固定費をまかなえるか」。この順番で確認したことで、「やっぱりやめよう」ではなく「やってみよう」という結論に自信を持てたとおっしゃっていました。
まとめ——「正解を探す前に、撤退できるかを確認する」
遊休地の活用を考えるとき、最初から正解を探そうとすると動けなくなります。Bさんのように、まず「自分の土地にどんな客が来るか」を想像し、「撤退できる構造かどうか」を基準に選択肢を絞る——この2点から始めると、思考が整理されやすくなります。
PACOでは、個別の土地条件をお伺いした上でのモデル試算のご相談も承っています。投資勧誘ではなく、情報提供・検討材料の整理としてご活用ください。「うちの土地、どうだろう」という段階からでも、お気軽にお声がけください。
よくある質問
郊外の土地でもAirbnb運用は成立しますか?
立地によって向き不向きはありますが、「駅近でないと難しい」とは一概に言えません。眺望・自然環境・静けさを求めるゲスト層が一定数おり、郊外でも稼働しているケースがあります。ただし需要の有無は立地ごとに異なりますので、周辺の競合物件や稼働データを事前に確認することをおすすめします。
相続税対策として、トレーラーハウス投資はどう機能しますか?
トレーラーハウスは条件によって「動産」として扱われるケースがあり、土地の評価や相続財産の構成に影響を与えることがあります。ただし税務上の取り扱いはケースにより異なりますので、必ず税理士にご確認の上で判断してください。当ポータルでは税務アドバイスは行っておりません。
初期投資はどのくらいかかりますか?
1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件の仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって変動します。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートが想定されるケースもありますが、金融機関・個人の属性により異なります。まずは個別にご相談ください。