年収1,800万円クラスになると、「稼ぐこと」より「残すこと」のほうが難しくなります。法人税・所得税・社会保険料を合算すると、実効負担が50%近くに達するケースもあります。株や投資信託はすでに持っている。次の一手として不動産を考え始めたとき、アパート・REIT・民泊投資それぞれ何が違うのか——今回はその「性格の違い」を、できるだけ条件を揃えて整理してみます。

「利回り5%」という数字は、選択肢によってまったく別物を指している

投資の比較で「想定利回り○%」という数字が並ぶと、ついそのまま横並びで評価したくなります。ただ、アパートの表面利回り5%・REITの分配利回り5%・民泊投資の想定利回り15%(モデルケース)は、引いているコストの種類がまったく異なります。

アパートの5%は満室前提の「表面」であり、管理費・修繕積立・空室損失を差し引いた実質利回りはその6〜7割に落ちるケースが多い。REITの5%はすでに運用コスト控除後の数字ですが、分配金に約20%の税が課されます。民泊投資の想定利回りは稼働率の設定次第で数字が大きくブレるため、提案書の前提条件を読まないと比較になりません。「何を引いた後の数字か」を揃えないと、利回りの比較は意味をなさない——これは、私自身が初めて民泊投資の提案資料を見たとき、気づくのに少し時間がかかった点でもあります。

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それぞれの投資が「向いている人」の輪郭

定期預金・現金保有——元本毀損を絶対に避けたい人

インフレ局面では実質的に目減りするリスクはありますが、元本毀損がほぼない点は他の選択肢にはない強みです。次の投資機会を待つためにキャッシュポジションを維持する、という戦略としては合理的です。ただし、年収1,800万円の方が税引後の所得をそのまま積み上げていくのは、課税の観点から非効率になりやすい。

株式・投資信託——流動性を手放したくない人

いつでも売れる、というのは大きな強みです。小口から始められ、分散もしやすい。一方で、所得税・法人税の「課税所得の圧縮」という観点では効果が限定的で、減価償却のように課税タイミングをずらす仕組みは持っていません。

REIT——管理の手間なく不動産に間接的に関わりたい人

少額から不動産に分散できる点は評価できます。ただし自分で意思決定できる余地がほとんどなく、分配金は雑所得として課税される点も理解しておく必要があります。「不動産で課税所得を圧縮したい」という目的には、構造的に向いていません。

アパート経営——長期の安定収入と相続対策を重視する人

減価償却による所得圧縮・相続税評価額の引き下げなど、税的な効果は幅広い。ただし初期投資は大きく、首都圏近郊では1棟5,000万〜1億円以上になるケースが多く、融資審査・管理会社選定・空室リスクとの長いつき合いになります。不動産未経験の方にとっては、1棟目の学習コストが高い選択肢でもあります。

民泊投資——稼働率の変動を許容でき、運用の柔軟性を取りたい人

短期賃貸という性質上、1泊あたりの単価は長期賃貸より高くなりやすい半面、稼働率によって収益が大きく変動します。PACOが手がける木造2×4構造のトレーラーハウスを使ったケースでは、Airbnbでの評価4.8の運用実績もありますが、立地・季節・運営体制によって結果は変わります。1台あたりの初期投資は概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。

「節税効果」という言葉を、もう少し数字で考えてみる

不動産投資で語られる節税の多くは、減価償却を活用した所得圧縮です。トレーラーハウスのような構造物は建物としての耐用年数が短く設定されるケースがあり、短期間に減価償却費を計上できる場合があります。モデルケースとして、課税所得2,000万円の経営者が減価償却費を年間300万円計上できた場合、所得税・住民税の実効税率を50%と仮定すると、課税タイミングのずれによる納税猶予効果は年間約150万円規模になる計算です(あくまで試算であり、個別の税務状況によって異なります)。

ただし、これは「所得の課税タイミングをずらす」仕組みであり、売却時には減価償却の効果が巻き戻ります。税理士との連携なしに「節税できる」と判断するのは危険で、法人・個人の使い分けも含めて専門家に相談することが前提になります。

「比べること」の先に何があるか

どの投資が優れているかは、一概に言えません。年収1,800万円の経営者の方が「次の一手」を考えるとき、何を最優先にするか——税負担の軽減か、資産の流動性か、手間のかからない安定収入か——によって、向いている選択肢は変わります。民泊投資はその選択肢の一つであり、「稼働率が読みにくい」「運営に手間がかかる」「立地選定の難易度が高い」といった課題も正直に存在します。

比較検討は、どれかを選ぶためではなく、自分が何を求めているかを明確にするためのプロセスです。前提条件を揃えて各選択肢を並べることが、結果的に判断を早める近道になるケースが多いと感じています。

よくある質問

民泊投資とアパート経営は、初期投資の規模感がかなり違いますか?

アパートは立地・規模にもよりますが、首都圏近郊では1棟5,000万〜1億円以上になるケースが多く、融資なしでは難しい金額帯です。トレーラーハウスを使った民泊投資では、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ため、初めての不動産関連投資としてスモールスタートできる可能性があります。ただし物件仕様・立地・付帯工事によって金額は上下しますので、個別のケースで確認が必要です。

法人名義で民泊投資を行うことはできますか?

法人名義での検討は可能ですが、旅館業法・住宅宿泊事業法(民泊新法)の許認可は物件所在地の自治体ごとに条件が異なり、法人での申請要件も個別確認が必要です。法人・個人のどちらで保有するかは税務戦略に大きく影響するため、税理士・行政書士との事前相談を前提に進めることをお勧めします。

稼働率の「前提条件」はどう確認すればいいですか?

提案を受ける際には、「想定稼働率は何%か」「その根拠となるデータはどこから取っているか」「季節変動における最低稼働率はどのくらいか」の3点を必ず確認することをお勧めします。年間平均の稼働率が高く見えても、オフシーズンに大幅に落ち込むケースがあります。平均値ではなく、最悪シナリオでのキャッシュフローを試算した上で判断することが、経営判断の感覚にも合っているはずです。