iDeCoもNISAも口座開設済みで、次の一手を探している32歳前後の方に、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。宿泊施設投資の利回りを調べると「立地が8割」という言葉をよく目にします。都市部に近いほど有利、アクセスがよいほど稼げる——ただ、トレーラーハウスの運用に関わってきた実感は、正直それとかなりズレています。

「立地が8割」の根拠は、動かせない建物を前提にしている

ホテルや旅館の収益モデルを前提に語られることが多いこの"常識"は、初期投資が大きく、一度建てたら移せない構造物を想定しています。何億円もの固定資産を投じるなら、立地の優劣が長期収益を大きく左右するのは理解できます。

ただ、トレーラーハウスのような移設可能な構造物が前提になると、話が変わってきます。立地は「今この瞬間の最適解」でよく、市場環境が変わったときに別の選択肢を取りやすい。この柔軟性は、立地の優劣そのものより重要な変数になり得ます。

余談ですが、筆者が最初にトレーラーハウスの取材をした際、「都市近郊の人気エリアに置けば間違いない」と思い込んでいました。ところが現地で話を聞くと、競合が多すぎてOTAの検索順位が埋もれ、稼働率が想定の半分以下になったケースがあると聞かされ、前提ごと崩れた記憶があります。

都市部より地方のほうが、数字が読みやすいケースがある理由

長野県の山間部に近いエリアで運用されているトレーラーハウスの事例を取材したことがあります。交通アクセスは「良い」とは言えません。それでも稼働が安定している理由の一つは、競合の少なさです。Airbnbの検索画面を開けばすぐわかる通り、人気観光エリアには似たコンセプトの物件がひしめいています。

地方の遊休地では、土地取得コストや管理コストが抑えられるケースがあります。分子(収益)が同じでも分母(投資額)が小さくなれば、利回りは変わります。モデルケースの試算では、競合密度の高い都市近郊エリアよりも、希少性のある地方立地のほうが想定利回りが高く出た例もあります。もちろんケースによって大きく異なるため、あくまで参考値として捉えてください。

「動かせる」は、リスクの形が根本的に違うということ

宿泊施設投資で見落とされがちな論点として、撤退コストがあります。ホテルや旅館を建てた後に「この立地、読み違えた」と気づいても、取り返しはつきません。トレーラーハウスの場合、構造上の移設可能性があるため、運用しながら立地を見直す余地が残ります。

「失敗しても大丈夫」という意味では全くありませんが、出口の形が複数あるという点は、宿泊施設投資に初めて踏み込む段階では効いてくる条件です。投資判断において「撤退できる構造かどうか」は、利回りと同等以上に重要な軸といえます。

節税と利回りを同時に試算すると、初期投資額の見え方が変わる

年収550万円前後の会社員の方が宿泊施設投資の数字を読む際、税引き前の利回りだけでなく、減価償却を通じた所得圧縮効果も含めて考えると全体像が掴みやすくなります。木造2×4構造のトレーラーハウスは法定耐用年数が短めに設定されるケースがあり、初期の年度で比較的大きな償却費を計上できる可能性があります。

PACO INVESTのモデルケースでは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されることが多く(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、この初期投資額に対して想定利回り10〜20%で試算している事例もあります。ただし実際の収支は稼働率・運営コスト・融資条件に強く依存するため、個別の試算は必ず条件を明記した上で確認することをお勧めします。

利回りの数字を先に見ると、前提の違いに気づかないまま比較してしまう

「どの立地が正解か」を探す前に、「自分はどういう構造のリスクなら許容できるか」を言語化しておくと、情報収集の精度が上がります。利回りの数字を先に見て判断しようとすると、前提条件の違いを見落としたまま比較することになりがちです。

まず手をつけるとすれば、自分の現在の課税所得と、融資の与信をざっくり把握することです。それだけで、見るべき情報の解像度がかなり変わります。

よくある質問

トレーラーハウスの宿泊施設投資は、住宅ローンを組む前でも検討できますか?

住宅ローンとは別の融資枠で検討されるケースはあります。ただし、事業用ローンと住宅ローンは審査に相互影響を与える場合があります。住宅購入も近い将来に予定している方は、金融機関への相談順序も含めて、ファイナンシャルプランナーや融資担当者に早めに確認しておくことをお勧めします。

Airbnbでの運用は、自分で管理しないといけませんか?

自主管理も代行委託も、どちらも実例があります。PACO Stayのような運営代行の仕組みを使うことで、遠隔地の物件でもゲスト対応や清掃を委託できるケースがあります。代行手数料が発生する分、手取り利回りは変わるため、費用構造を事前に確認しておくことが大切です。

想定利回り10〜20%というのは、どのような前提の数字ですか?

宿泊単価・年間稼働率・運営コスト(清掃費・OTA手数料・光熱費など)の設定によって大きく変動します。たとえば「宿泊単価2万円、稼働率60%、年間運営費120万円」のような具体的な前提を置いた試算でないと、利回りの数字だけを比較しても判断材料になりません。モデルケースの数字はあくまで参考値として捉え、自分の条件に合わせた個別試算を行うことをお勧めします。