iDeCoとNISAを使い始めて「次の一手」を探している方にとって、宿泊施設投資の想定利回りの高さはたしかに目を引きます。ただ、その数字の前提条件を確かめずに動き始めると、最初の季節変動で収支の見立てが大きく崩れることがあります。

夏の稼働率85%を12倍して試算する、よくあるミス

モデルケースとして、稼働初年度の夏に稼働率85%を記録した宿泊施設を想定します。「想定より全然いい」と判断し、その数字をそのまま12倍して年間収益を試算し直すのが、よく見られる最初の誤りです。

11月を過ぎたあたりから予約が急減し、冬は月によって稼働率が40%台まで落ちるケースがあります。結果として年間平均稼働率は、強気の試算より15〜20ポイント近く低い着地になることも少なくありません。繁忙期の数字は「物件の実力」ではなく「季節のピーク」にすぎないわけです。

こうした事例から言えることは一点です。宿泊施設の収益を語るなら、必ず「年間の平均稼働率」を軸に置くこと。夏の数字を根拠にした試算は、どれだけ精緻に見えても季節が変わった瞬間に崩れます。

「想定利回り10〜20%」は、どんな条件が重なった数字なのか

宿泊施設投資の想定利回りとして10〜20%という数字が示されることがあります。ただこれは、立地・運用方法・稼働率・季節変動・諸経費のすべてが「比較的良好な条件の重なったモデルケース」の話です。個人差・物件差があることを前提に読む必要があります。

初期投資については、PACO INVESTの木造2×4構造のトレーラーハウスの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。このレンジのどこに着地するかで、利回りの計算は数ポイント単位で変わります。

「想定利回り」という言葉は、前提条件を一つ変えるだけでまったく別の数字になります。提示された数字よりも、その数字を成立させている条件を確認することの方が重要です。

季節変動より怖いのは「撤退の選択肢がない」状態になること

トレーラーハウスが注目される理由のひとつは「動かせる」という点です。立地の見立てが外れたとき、固定建築であれば建物を壊すしか選択肢がありませんが、トレーラーハウスは条件次第で移設や撤退という出口を探せます。

もちろん移設にはコストがかかります。「気軽に動かせる」という話ではありません。ただ、「出口がない投資」と「出口を探せる投資」の間には、精神的な余裕という点でかなりの差があります。複数棟目を検討する段階になると、この差がより明確に意識されます。

節税目的で始める前に確認しておきたい、収支と節税の切り分け

年収550万円前後の会社員が宿泊施設投資に興味を持つとき、節税は動機のひとつになりやすいです。トレーラーハウスは減価償却期間が短めに設定される傾向があり、所得圧縮効果が想定されるケースがあります。ただし税務上の扱いは個人の状況や税理士など専門家の判断に依ります。

注意してほしいのは「節税になるから赤字でもいい」という発想を持ち込まないことです。節税は手段であって目的ではなく、キャッシュが回らなければ節税効果が出る前に撤退せざるをえなくなります。収支の試算と節税の試算は、最初から別の計算として持っておくと判断がぶれにくくなります。

「リスクの中身がわかった」と感じたら、次にやること

ここまで読んで「やっぱりリスクが高い」と感じた方は、iDeCoとNISAの積み立てを淡々と続けるのが合理的な選択です。焦って現物資産に手を伸ばす必要はありません。

一方で「リスクの中身がわかってきた」と感じた方には、次のステップとして「自分の生活エリア近くで稼働している宿泊施設を実際に見に行く」ことをおすすめします。Airbnbで評価4.8を維持している物件がどんな立地で、どんな客層を集めているかを肌で感じることは、試算表を眺めるよりずっと多くのことを教えてくれます。決断を急かすつもりはありません。ただ、情報を取りに行く行動は今日からできます。

よくある質問

利回り10〜20%という数字は、どのくらい現実的ですか?

立地・稼働率・季節変動・経費水準によって大きく変わります。特に初年度は稼働率が上がりにくいことが多く、年間平均60〜70%前後から始まるケースも少なくありません(モデルケース)。提示された想定利回りよりも、その数字を成立させている前提条件を確認することが先決です。複数シナリオを持って検討されることをおすすめします。

初期費用はどのくらい見ておけばいいですか?

PACO INVESTのトレーラーハウスの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース)。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下するため、レンジの幅を前提に収支を試算しておくことをおすすめします。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートが可能なケースもありますが、金融機関の審査次第となります。

節税目的で始めることは有効ですか?

減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースはありますが、税務上の扱いは個人の状況や税理士など専門家の判断に依ります。節税効果だけを根拠に投資判断をすると、キャッシュフローが想定外に悪化したときに対処が難しくなることがあります。収支の試算と節税の試算は切り分けて考えることが、判断をぶれにくくする基本です。