iDeCoもNISAも満額積み立てているのに、なぜかまだ不安が残る。そういう32歳の方からの相談が、ここ半年で明らかに増えています。次の一手として「トレーラーハウス投資」の利回りが気になっているけれど、数字の根拠が見えないと動けない——その気持ちはよくわかります。今回は試算の中身を正直に分解しながら、「どこが崩れると数字が変わるか」まで一緒に追いかけてみます。
「利回り」と書いてあっても、計算式が違えば別の数字になる
表面利回りと実質利回りは、同じ物件でも5〜10ポイント以上開くことがあります。不動産関連の仕事に15年いた筆者自身、最初の頃は表面利回りだけ見て「これは良さそうだ」と早合点した経験があります。経費を引いてみたら想定の6割しか残らなかった、というのは珍しい話ではありません。
トレーラーハウス投資でも同じです。「何を分子にして、何を分母にしたのか」を確認する習慣をつけてから数字を見ると、印象がかなり変わります。以下のモデルケースで、その差を具体的に確認してみましょう。
試算の前提を全部並べる。そこから逃げてはいけない
以下はあくまでモデルケースです。実際の数字は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事・稼働率など多くの要素によって上下します。参考値として読んでください。
前提条件
・初期投資:1,200万円(本体+基礎工事・電気・水道引き込み等の付帯費用込み。PACOの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く、物件仕様や立地で変動します)
・運用形態:Airbnbを活用した短期宿泊(民泊)
・立地:地方観光エリア、駐車場付き一棟貸し
・平均稼働率:65%(月に約20泊)
・平均宿泊単価:15,000円/泊
年間収益の計算
月間売上:15,000円 × 20泊 = 300,000円
年間売上:300,000円 × 12か月 = 3,600,000円
ここから経費を引きます。清掃費・消耗品・プラットフォーム手数料・管理費等を合わせて年間約120万円と仮定しています。管理をどこまで外部委託するかで、この数字は30〜40万円単位で動きます。
年間純収益(税引き前):360万円 - 120万円 = 240万円
表面利回り:360万円 ÷ 1,200万円 ≒ 30%
実質利回り(経費控除後):240万円 ÷ 1,200万円 = 20%
稼働率65%は「高くも低くもない中間値」として設定しています。人気エリアで80%を超えるケースがある一方、観光需要の薄い立地や閑散期が長い地域では50%を割ることもあります。この試算で最も結果を左右するのは、単価よりも稼働率です。仮に稼働率が50%に下がると、年間売上は約277万円まで落ち、実質利回りは13%程度になる計算です(モデルケース)。
減価償却で課税所得が圧縮される——ただし「節税ありき」は危うい
32歳・年収550万円の会社員が副収入を得た場合、所得税・住民税の合算税率はおよそ30%前後になるケースが多いとされています。トレーラーハウスは木造2×4構造で耐用年数が比較的短く設定されるケースがあり、初期投資額を数年間で費用計上することで課税所得を圧縮できる効果が想定されます。
ただし「節税があるから投資する」という順番は危険です。収益が出ていてはじめて節税効果が意味を持ちます。具体的な節税額は税理士への確認を強くお勧めします。
「動かせる」ことは出口の選択肢が1つ多いという意味にすぎない
トレーラーハウスは構造上、移設という選択肢を持てます。エリアの観光需要が落ちたとき、固定された建物であれば売却か賃貸転用しか選べませんが、移設という手が加わる点は事実です。ただし移設には数十万〜百万円超のコストがかかるケースもあり、「簡単に動かせる」とは言い切れません。「原則として移設できない通常の建物より選択肢が1つ多い」という理解が現実的です。
利回りの数字より先に、その前提を疑う習慣をつける
稼働率・単価・経費率・立地——この4つの前提がどれほど現実的かを自分なりに検証することが、比較検討の出発点です。特に「稼働率の根拠は何か」を運用会社に直接聞いてみるのは、どこに相談するときにも有効な質問です。
PACOではAirbnbの運用実績(評価4.8)をもとに試算の根拠を提示する姿勢をとっています。それが信頼できるかどうかは、ぜひご自身の目で確かめてください。問い合わせは義務ではなく、比較検討の一つに加えるだけでも意味はあると思っています。
よくある質問
稼働率65%という前提は、現実的なのでしょうか?
エリアと運用次第で大きく変わります。都市近郊のアウトドア需要が強い立地や観光シーズンが明確な地域では80%超のケースもありますが、競合が多いエリアや需要の薄い地方では50%を下回ることもあります。検討時は保守的に50〜55%で試算し、それでも収支が成立するかを先に確認することをお勧めします。
初期費用はどこまで融資でカバーできますか?
融資条件は申込者の属性・事業計画・金融機関によって大きく異なります。事業用ローンや不動産担保ローンの活用が検討されるケースはありますが、「自己資金ゼロでスタートできる」と断言できるものではありません。自己資金を抑えてのスタートが可能なケースもありますが、条件の確認は金融機関との個別相談が必要です。
減価償却による節税効果はどれくらい見込めますか?
年収550万円の方が副収入を得た場合、合算税率はおよそ30%前後になるケースが多いとされています。減価償却費を計上することで課税所得を圧縮できる効果が想定されますが、効果の大きさは投資規模・他の控除・事業規模認定など複数の要因に依存します。具体的なシミュレーションは、必ず税理士にご確認ください。