区分マンションとアパートで着実にポートフォリオを積み上げてきた方が、次の一手でグランピング投資を検討し始める——このパターン、最近よく耳にします。ただ、情報を集めると「都市近郊が安牌」「アクセス重視」という記事ばかりが目に入ります。不動産投資の常識をそのまま持ち込んだ発想ですが、グランピングにおいてはこれが逆効果になるケースがあります。

「立地は都市近郊」という発想は、どこから来ているのか

不動産投資の世界では「立地が9割」という格言があります。駅徒歩分数、人口密度、利便性——この軸で物件を評価することに慣れていると、グランピングにも同じフレームを当てはめがちです。「都市部から1〜2時間以内、アクセスが良い場所」がなんとなくの正解に見える。

ただ、少し立ち止まって考えてみると、グランピングに1泊2〜3万円を払う人が求めているのは「日常からの切断」ではないでしょうか。星空が見えて、静かで、都会の騒音がない体験。だとすると、都市近郊の「ちょっと郊外」な立地は、価値を高めるどころか中途半端な体験になるリスクをはらんでいます。

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地方の「遠さ」が、むしろ価格設定の根拠になる

Airbnbのデータを参照すると、宿泊単価と都市からの距離は、グランピングに限って言えば必ずしも正の相関ではありません。山奥、海沿い、高原といった「わざわざ行く立地」の施設が、高単価で稼働しているケースが多く見られます。「遠いから不利」ではなく、「遠いから非日常の価値が生まれる」という逆転の構図です。

実際にAirbnbのレビューを見ると、最寄り駅から車で40分以上かかる立地のトレーラーハウス施設に「ここまで来る価値があった」というコメントが繰り返し寄せられているケースがあります。「アクセスの不便さ」が旅の特別感を演出する要素になっている——これは区分マンションの入居審査では絶対に出てこない発想です。

土地コストが下がれば、利回りの計算がどう変わるか

立地を都市近郊に絞ると、土地の取得コストまたは賃借コストが上昇します。グランピング施設の初期投資は建物・設備だけでなく、造成・電気・水道の引き込みといった付帯工事も含めて総額を見る必要があります。そこに割高な地代が上乗せされると、利回りの計算が思ったより厳しくなるケースがあります。

一方、地方の農地・山林に近いエリアでは、地主との直接交渉で割安な条件を引き出せるケースがあります。土地コストを抑えて稼働率と単価を維持できれば、想定利回りは相応に改善されます。モデルケースとして、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで初期投資を組み(物件仕様・サイズ・付帯工事費により変動)、稼働率50〜60%・平均単価2万円台半ばを前提に試算すると、想定利回り10〜15%台で計算されている事例も存在します。ただしこれはあくまで試算値であり、実際の収益は立地・運営体制・季節変動によって大きく上下します。

なお、付帯工事費——とりわけ電気の引き込み工事——は、現地の状況によって当初見積もりから大きく乖離するケースがあります。編集部が取材した事例でも、工事費が想定の2倍近くになり利回り計算をやり直したというケースが報告されています。現地確認と専門家への相談を先行させることで、こうした「こんなはずじゃなかった」を減らすことができます。

撤退・転用を考えると、トレーラーハウスという構造が効いてくる

数字に厳しい方ほど、入口だけでなく出口を気にされます。グランピング事業が想定どおりに進まなかった場合、どう引くか。ここでトレーラーハウスという形態の特性が関係してきます。木造2×4構造のトレーラーハウスは、法的には「車両」として扱われるため、建築物としての制約を受けないケースがあります(※設置状況・自治体の判断により異なります)。土地に定着した建築物と比較して、移設・撤去の選択肢が残りやすい構造です。

「立地を変えて再稼働する」「別の用途に転換する」という選択肢があるかどうかは、長期保有のリスク管理において意外と重要な変数です。都市近郊の固定施設型グランピングと、地方移設可能型のトレーラーハウスグランピングでは、出口の選択肢の広さが異なるケースがあります。既存の不動産ポートフォリオとの分散効果としても評価できる視点です。

次の一手として検討するなら、何から始めるか

グランピング投資を真剣に検討するなら、まず「自分がどの地域に人脈・情報を持っているか」を棚卸しすることをおすすめします。地方の地主との交渉や自治体の許認可対応は、地域に詳しい人間が介在するかどうかで難易度がまったく変わります。利回り計算の前に、「動ける地域」を絞る作業が先です。焦らずに1棟目の条件整理を丁寧に行うことが、結局は近道につながると考えられています。

よくある質問

グランピング投資は既存の不動産投資と何が違うのですか?

最大の違いは収益の構造です。アパートや区分マンションは月額賃料という長期収入が基本ですが、グランピングは1泊単位の宿泊料収入のため、稼働率・季節変動・口コミ評価が収益に直結します。リスク特性が異なるため、既存の不動産ポートフォリオとの分散手段として機能するケースがある一方、運営管理の手間や専門知識も必要になります。

トレーラーハウスは固定資産税がかからないと聞きましたが本当ですか?

トレーラーハウスの法的扱いは設置状況や自治体の判断によって異なります。「車両」として認定される場合は固定資産税(家屋分)の対象外となるケースがありますが、すべての物件・設置状況に当てはまるわけではありません。投資を検討する際は、対象地域の自治体確認と税理士への相談を先に行うことを強くおすすめします。

Airbnbの運営は自分でできますか?委託するといくらかかりますか?

Airbnbの運営は、価格設定・ゲスト対応・清掃手配・レビュー管理などを含む継続的な業務です。本業がある方が自己運営するのは時間的に難しいケースが多く、民泊運営代行会社への委託が一般的です。委託費用は売上の15〜30%程度が相場とされていますが、代行会社によって対応範囲と費用は異なります。委託コストを含めた上で利回り試算を行うことが、現実的な収支把握につながります。