「税金は減らしたい。でも、ただ経費を使い切るだけの節税には限界を感じている」——そんな相談が増えています。年収1,000万円を超えると節税の話は山ほど出てきますが、数年後に振り返ると資産が増えていない、というケースは珍しくありません。今回は、そういう状況にいた経営者の方のモデルケースをご紹介します。
「使い切るだけ」の節税に、ある経営者が感じていた違和感
知人の経営者Bさん(45歳・製造業・年商1.5億円程度)から受けた相談をもとに、個人が特定できないよう細部を変えたモデルケースとして紹介します。
Bさんはここ数年、決算前になると「何かに使わないと」という感覚で設備投資や交際費を積み増していたそうです。税金は確かに減る。でも残るのは使い切った設備と、ぼんやりした後悔感。「節税できた、でも何も増えていない」——その感覚に違和感を持っていたと話していました。
正直に言うと、私自身も以前、似たような経費の使い方を「節税」と呼んでいた時期があります。後から顧問税理士に「それ、節税じゃなくて消費ですよ」と指摘されて、少し恥ずかしい思いをしました。
「不動産は一度入ったら30年動けない」——その直感は正しいか
Bさんが不動産投資に踏み込めなかった理由は、撤退の難しさでした。「アパートを建てたら、30年は動けない気がして」という言葉は、経営者としての直感として的を射ています。一度コミットしたら撤退コストが高い。その感覚は間違っていません。
そこで話したのが、トレーラーハウスという選択肢でした。木造2×4構造で建てられ、適切な条件下では車両として扱われるため、通常の建物と比べて固定資産としての拘束感が異なるケースがあります。ただしこれは立地条件や設置状況によって変わるため、一概には言えません。「土地に縛られる感覚が構造的にやや違う」という話として受け取ってください。
減価償却で「キャッシュを守りながら経費を作る」仕組みは、どう機能するか
Bさんが最も関心を示したのは、減価償却の話でした。トレーラーハウスは一般的な建物より耐用年数が短く設定されるケースがあり、取得費用を短期間で費用計上できる可能性があります。税務上の取り扱いは個人の状況や税理士の判断によりますが、「キャッシュアウトが少なく、帳簿上の経費が大きい」という構造は、高所得の経営者にとって検討に値する論点です。
「ただ使い切るより、使った資産から収益が返ってくる節税の方がいい」——これはBさんの言葉ですが、私もそこは同意します。
宿泊事業として動かすと、数字の顔はどう変わるか
Bさんのケースでは、取得後に宿泊施設(PACO Stayのような運用形態)として活用することも検討されました。地方観光地近郊の土地を活用し、Airbnb等のプラットフォームで運用するモデルです。
モデルケースとして整理すると、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されることが多く(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、宿泊単価と稼働率を一定の前提で置いた場合、想定利回り10〜20%という試算が出ることもあります。ただしこれはシミュレーション上の数字であり、稼働率や運営コストによって実態は大きく変わります。Airbnb評価4.8台の運用実績を持つ物件が存在するのは事実ですが、それが再現できる保証ではありません。
「形になって、動いてくれる感じがする」——Bさんが最後に言った一言
「税金対策って、消えるお金の使い方だと思ってた。でもこれは、形になって、動いてくれる感じがする」——Bさんはそう言っていました。派手な表現ではありませんが、節税と資産形成を同時に考えたい人には、正確な言語化だと思います。
BさんはいまもBさんの顧問税理士と具体的な数字を詰めている段階です。投資に「これで決まり」はありません。ただ、「選択肢として知っておく」ことには、確かな価値があります。
次の一手:「いくら節税できますか」より先に聞くべきこと
もしBさんと似た課題感を持っているなら、まず顧問税理士に「トレーラーハウスはどういう資産扱いになりますか」と聞いてみることをお勧めします。「いくら節税できますか」より先にこの確認をするのが、経営者らしいアプローチです。その上で立地や運用イメージを持てると、判断がしやすくなります。
よくある質問
トレーラーハウスの減価償却期間はどのくらいですか?
構造・用途・税務上の取り扱いによって異なります。一般的な木造建築より短い耐用年数が適用されるケースもありますが、個別の状況によって変わるため、必ず顧問税理士にご確認ください。「短期間で多く償却できる可能性がある」という点が、経営者に関心を持たれやすい理由の一つです。
法人名義で取得することはできますか?
法人名義での取得が検討されるケースはあります。ただし、費用計上するには用途と事業との関連性の整理が必要です。税理士・司法書士等の専門家と連携した上で進めることをお勧めします。
不動産投資が未経験でも運用できますか?
Airbnb等のプラットフォームを活用した運営サポートの仕組みが用意されているケースもあります。ただし、稼働率は立地・季節・競合状況によって変動します。「完全に任せられる」とは言い切れませんが、運営体制の整備状況を事前に確認することで、リスクの見通しは立てやすくなります。