相続で受け継いだ土地は、放っておくだけで固定資産税が出ていきます。「何か活用しなければ」と思いつつ、アパートは初期投資が重く、駐車場は収益が薄い。そんな状況で「宿泊施設投資の利回りが高い」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか。ただ、その数字をそのまま自分の土地に当てはめると、思わぬところで試算が崩れます。

繁忙期の稼働率を12ヶ月に掛けてしまった話

少し恥ずかしい話をします。筆者がトレーラーハウスの宿泊運用を調査し始めた当初、稼働率を「繁忙期の数字」で年間通算するという初歩的なミスを犯しました。夏の週末に稼働率80〜90%が出ると、そのまま12ヶ月に掛けて「想定利回り15%」と弾いてしまったんです。

実際の年間稼働率は、運用開始から1〜2年で40〜55%程度に落ち着くケースが多いとされています。シーズンオフ、近隣への競合施設の開業、Airbnbの検索アルゴリズムの変動——これらを考慮しないまま弾いた試算は、現場の数字と大きくかけ離れました。失敗の原因は数字への過信ではなく、前提の置き方が甘かった点にあります。

「利回り10〜20%」は何を前提にしているのか

宿泊施設投資の利回りとして「想定利回り10〜20%(モデルケース)」という数字が示されることがあります。ただしこれは、立地・稼働率・運営コスト・初期投資額の組み合わせによって大きく変わります。同じ土地でも運営の巧拙で結果が変わることも少なくありません。

たとえば「初期投資1,200万円、年間稼働率60%、1泊平均単価1.5万円、月30泊」という前提を置いた場合、年間売上は約540万円になります。ここから清掃費・プラットフォーム手数料(売上の3〜15%程度)・光熱費・保険・維持費を差し引くと、手残りはかなり変わります。これはあくまでモデルケースであり、個人差・立地差があることを念頭に置いてください。

郊外の遊休地が、都市部より強い局面があるのはなぜか

宿泊施設投資において、競合過多の都市部よりも、自然環境や観光資源のある郊外のほうが差別化しやすいケースがあります。「近くに温泉がある」「山が見える」「静かな田舎で焚き火ができる」——こうした体験価値は、ホテルには出しにくいものです。

相続した郊外の遊休地は、条件によっては「何もない土地」ではなく「都会にない体験ができる場所」として機能することがあります。PACOの運用実績でも、Airbnbの評価4.8台を維持している物件の多くが、こうした"非日常感"を武器にしています。木造2×4構造のトレーラーハウスは断熱性が高く、四季を通じた居住快適性が評価につながりやすい側面もあります。

「撤退できる構造」が50代の地主にとって意味を持つ理由

アパート経営と比較したとき、トレーラーハウスが持つ特性として「撤去・移動が可能」という点があります。建築確認申請を要する建物と異なり、トレーラーハウスは適切な条件下で移動・撤去できる場合があります(道路交通法・各種法令の確認が必要です)。

50代の地主の方にとって、15〜20年後の土地利用が読めないのは当然のことです。「将来的に売却したい」「子どもに更地で渡したい」という選択肢を残しながら収益を得られる可能性がある点は、不可逆な建築投資とは異なる検討軸になり得ます。ただし、撤去費用や原状回復についても事前に確認しておくことをお勧めします。

まず自分の土地の数字を「一般論」から切り離す

最初にやっておいてほしいのは、手元の土地の固定資産税額を確認し、「年間どれだけ持ち出しているか」を正確に把握することです。その上で、Airbnbの検索画面で周辺物件の稼働状況をおおまかに確認するだけでも、需要の感覚はつかめます。

初期投資については、トレーラーハウスの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース)。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下しますので、「自分の土地にはいくらかかるか」を個別に確認することが先決です。一般論の数字を自分の条件に落とし込む作業を、最初の一歩にしてください。

よくある質問

相続した土地にトレーラーハウスを置くと、固定資産税は変わりますか?

トレーラーハウスは条件によっては「建物」と見なされないケースがあり、住宅用地の特例(固定資産税の軽減措置)が適用されない場合があります。税務上の扱いは自治体や設置状況によって異なりますので、事前に税理士や自治体窓口に確認されることをお勧めします。節税効果を期待する場合も、まず専門家への相談を先に済ませてください。

運営は自分でやらなければいけませんか?

清掃・チェックイン対応・ゲスト対応を外部委託する運営代行サービスを活用するケースがあります。オーナーの手間を抑えながら運営できる一方、代行費用がコストとして発生します。収支試算には必ず織り込んだ上で判断してください。

郊外の土地でも、本当に集客できるのでしょうか?

立地によって大きく異なります。近隣に観光資源・自然環境・温泉・アクティビティ施設があるエリアは、宿泊需要が見込めるケースがあります。一方で、アクセスが極端に悪い土地や、競合施設がすでに飽和しているエリアでは集客に苦戦することもあります。まずAirbnbで周辺の稼働状況を自分の目で確認することが、判断の出発点になります。