「税対策も資産分散も、どの手を打てばいいかわからない」——年収1,800万円前後の経営者の方から、こういう相談を受けることがあります。株も投信もひと通り持っている。でも、もう少し手触りのある資産が欲しい。そんな段階で浮上してくる選択肢のひとつが、トレーラーハウスです。今回は優劣をつけるのではなく、各選択肢の向き不向きを並べて考えてみます。

定期預金・現金保有は「守り」に徹しすぎていないか

定期預金の金利は現時点でもせいぜい年0.3〜1%程度です。インフレ局面では実質的に資産が目減りするリスクがあります。現金保有は流動性という点では最強ですが、法人税の圧縮には直接つながりません。

資産全体のポートフォリオとして見たとき、「流動性の高い金融資産」と「インカム・節税効果を持つ実物資産」を組み合わせるのが、相談を受ける経営者の多くが目指す構成です。定期預金はその土台として残しつつ、別のレイヤーを検討する段階に来ている方に向けて、以下を整理します。

株式・REITは「市場連動リスク」を分散できているようで、できていないことがある

株式や投資信託はすでにお持ちの方も多いと思いますが、これらは「市場連動型」です。景気後退や金利上昇局面では、ポートフォリオ全体が同じ方向に動く傾向があります。分散投資のつもりが、実は似たリスクを積み上げていた——というのは、相談の場でよく出てくる気づきです。

REITは不動産に近い性格を持ちながら、株式市場に上場されているため、やはり相場の影響を受けます。手間がかからないのは確かですが、減価償却を活用した所得圧縮効果は構造上期待しにくい点は理解しておく必要があります。

アパート経営と比べると「初動の重さ」が際立つ

不動産投資の王道はアパート・マンション経営ですが、土地取得から建築・融資審査まで、スピード重視の経営者には「手続きだけで半年以上かかった」という声も珍しくありません。築年数の経過とともに修繕コストが増し、空室リスクの管理も複雑になります。

一方でトレーラーハウスは「移動できる構造物」であるため、建築基準法上の建物と扱いが異なるケースがあります(設置状況・行政の判断によります)。固定資産税の課税関係がアパートと異なる場合がありますが、これは自治体・設置状況によって変わるため、必ず事前に専門家への確認が必要です。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します。

余談ですが、私自身が初めてこのスキームを調べたとき、「移動できるなら固定資産税はゼロでは?」と早合点して、後から自治体ごとに判断が異なることを知りました。思い込みで進めると後で足元をすくわれる典型例だと、今は反省しています。

「撤退できる構造」が、経営者の判断軸とかみ合う

経営者が投資を評価するとき、出口戦略を重視する場面は多いです。アパートは売却か解体しかありませんが、トレーラーハウスは設置地から移動・再設置という選択肢があります。立地が合わなければ動かせる、という発想は、ビジネスの撤退判断に慣れた感覚と相性がよいと感じます。

PACOが運用しているモデルでは、木造2×4構造のトレーラーハウスをAirbnb等で宿泊運用するスキームを採用しています。モデルケースの想定利回りは10〜20%程度で試算されることがありますが、稼働率・立地・季節変動により数値は大きく変わります。あくまで参考値として捉えてください。

「どれが正解か」より「今の自分に足りない性質は何か」を問う

ここまでを整理すると、こういう見方ができます。流動性が必要なら現金・株式。手間をかけたくないならREIT。長期の安定収入と節税効果を狙うならアパートか実物不動産。そして「移動・撤退の柔軟性」と「減価償却を活用した所得圧縮効果」を同時に検討したいなら、トレーラーハウスが選択肢に入ってくる、という整理です。

この記事は「トレーラーハウスにすべき」と伝えたいのではなく、自分のポートフォリオに何が欠けているかを考える材料を提供したいというのが正直なところです。

次の一歩は「比較」より「自分の税率に当てはめた試算の確認」から

もし興味があるなら、まず自分の税率・所得構造を把握したうえで、減価償却の効果がどの程度出るかを税理士と試算することをお勧めします。たとえば実効税率が約50%の方がモデルケース(取得価額1,200万円・耐用年数4年で試算)で減価償却を適用した場合、年間の節税インパクトは150万円前後になるケースが想定されます(個人の所得構造・法人の財務状況により異なります)。PACOのモデルケース資料を持参して税理士に見せるというやり方をされている方も実際にいます。「投資ありき」ではなく「試算の確認」という小さな一歩が、判断の精度を上げてくれます。

よくある質問

トレーラーハウス投資の利回りはどのくらいですか?

モデルケースでは想定利回り10〜20%程度で試算されることがありますが、稼働率・立地・季節変動・運営コストによって大きく異なります。あくまで参考値であり、実際の数値は設置場所や運用スタイルを踏まえた個別試算が必要です。

不動産投資が初めてでも取り組めますか?

アパート経営と比べると初期の手続きがシンプルなケースが多いとされています。ただし、立地選定・設置許可・運営体制など、初めての方には判断が難しいポイントも存在します。サポート体制が整っているかどうかを事業者に確認することが、最初のステップとして有効です。

法人での購入と個人での購入、どちらが有利ですか?

所得構造・法人の財務状況・出口戦略によって変わるため、一概には言えません。法人購入では減価償却費を法人の損金に算入できる可能性がある一方、個人購入では相続対策としての活用が検討されるケースもあります。必ずご自身の税理士・顧問に個別相談することをお勧めします。