株も投資信託も一通り持っている。でも不動産は未経験——そういう経営者の方から、中古アパート投資についての相談をよくいただきます。「利回りが良いらしい」という話は耳にしているけれど、何から考えればいいかわからない、という段階で読んでいただいている方も多いはずです。今回は、そういった方からよく受ける質問をQ&A形式でまとめました。

Q1. 不動産投資は「土地勘がないと難しい」のでは?

正直に言うと「ある程度はそうです」と答えています。土地勘ゼロで始めて、空室が埋まらず苦労している方を何人も見てきました。ただ、経営者の方がイメージする「土地勘」とは少し違う話で、重要なのは"その物件周辺の賃貸需要の強度"を数字で読む力です。

人口動態、地域の雇用拠点(工場・大学・病院)、近隣の空室率——こうした指標は、現地に足を運ばなくても相当程度まで調べられます。SUUMOやアットホームで同条件の物件がどれくらいの期間掲載されているかを追跡するだけでも、需給感はつかめます。私自身、最初に検討した物件で「掲載から90日以上経過している同条件の部屋が近隣に5件以上ある」ことを見落とし、需要の薄さを読み誤りかけた経験があります。土地勘より先に「データを読む習慣」を持てるかどうか、というのが実感を込めた見立てです。

Q2. 融資は会社の借入と競合しませんか?どれくらい引けますか?

ここは経営者の方が真っ先に気にされる部分です。結論から言うと、個人の不動産ローンと法人の事業融資は「別枠」で審査されるケースが多いです。ただし、金融機関によっては総与信額を管理しているところもあるので、メインバンクへの確認は早めに動いたほうがいいと思っています。

融資条件については、年収1,500万円超の個人属性であれば、地銀や信金から比較的好条件の提示を受けやすい傾向があります(あくまで一般論で、個別の与信判断は金融機関次第です)。自己資金を抑えてのスタートが可能なケースもありますが、フルローンを前提に計画を立てるのはリスク管理上、慎重に考えたほうがいいというのが私の立場です。

Q3. 節税目的で始めたいのですが、実際どこまで効きますか?

率直に話します。中古アパートの場合、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます——というのが正確な表現で、「必ず節税になる」とは言い切れません。効果の大きさは、物件の築年数・構造・取得金額の内訳(土地と建物の比率)によってかなり変わります。

モデルケースで言うと、木造・築22年超の物件を個人名義で取得した場合、耐用年数を超えた建物は残存耐用年数が短く設定されるため、初年度から大きな減価償却費を計上できるケースがあります。年収1,800万円クラスの方であれば、課税所得の圧縮額次第で税引き後キャッシュフローが改善されるケースも想定されます。ただし税理士との綿密な試算が前提であり、「不動産を買えば節税になる」という話ではないことは最初に理解しておいてください。

Q4. 「トレーラーハウス」という選択肢は中古アパートと何が違うのですか?

最近こうした質問が増えてきました。私自身も現在、PACO INVESTが手がけるトレーラーハウスを2棟運用しており、通常の中古アパートとは異なる動き方をする資産だと実感しています。

最大の違いは「立地を見直せること」です。アパートのように一度建てたら動かせない、という縛りがなく、需要の変化に応じた配置転換が想定できます。また、Airbnb等を活用した宿泊運用(PACO Stayによる運用サポートあり)との相性が良く、賃貸一本に依存しない収益構造が作れるケースがあります。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。中古アパートと並行して比較検討してみる価値はあると思っています。

「比べてから決める」という順番が、未経験者には一番安全です

不動産未経験の経営者の方が最初に踏むべきステップは、ひとつの物件種別に絞り込むことではなく、「中古アパート・新築アパート・トレーラーハウス・REIT」といった選択肢を横並びで比較できる状態を作ることだと思っています。比較軸を持たずに動くほど、スピードと確実性の両方を損ないやすくなります。

小さな一歩として、まずは自分の年収・税率・自己資金の3点を整理して、税理士または不動産専門家に「試算ベースで話を聞く」機会を設けてみてください。いきなり物件を探すより、その一歩のほうがずっと意味があります。

よくある質問

中古アパート投資で失敗しやすいパターンはありますか?

よくあるのは「表面利回りだけで判断して、修繕費・空室率・管理費を織り込まずに購入する」ケースです。モデルケースでは、表面利回り10%の物件でも実質利回りが5〜6%台に落ちることは珍しくありません。取得前に実質ベースの試算(前提条件を明記した上で)を行うことが大切です。個別物件・市況によって数字は異なります。

法人名義と個人名義、どちらで取得するほうが有利ですか?

一概には言えませんが、所得税率が高い経営者の場合、節税の観点から法人取得を検討するケースがあります。一方、法人は融資を引きにくいケースもあり、金融機関の選定と合わせた判断が必要です。税理士・金融機関・不動産専門家の三者を交えて検討されることをお勧めします。

トレーラーハウスと中古アパートは「競合する投資」ですか、「組み合わせる投資」ですか?

「組み合わせを検討できる」選択肢だと見ています。中古アパートが賃貸需要の厚い都市近郊向きとすれば、トレーラーハウスは観光・移住需要がある地方立地での宿泊運用に向いているケースがあります。異なるキャッシュフロー源泉を持つことは資産分散の観点から有効な戦略になりえます。ただし、どちらも個別性が高いため、具体的な物件・立地・運用計画を踏まえた判断をお勧めします。