相続で引き継いだ郊外の土地に、毎年固定資産税の請求が届く。「このまま放置でいいのか」と感じながらも、アパート経営に踏み切るには数字の根拠が見えにくい——そう感じている地主の方は少なくありません。今回は、アパート経営の収支構造を具体的な試算で確認しながら、別の活用手段との比較まで整理します。

「表面利回り8%」の看板、実態のキャッシュフローはいくらか

中古アパートの広告でよく目にする「表面利回り8%」は、年間賃料収入を物件価格で割った数字です。購入価格3,000万円・年間賃料240万円なら確かに8%になります。ただしこれは、満室かつコストゼロを前提にした計算です。

実態に近づけるには、空室率・管理費・修繕積立・固定資産税・火災保険・ローン金利などを差し引く必要があります。郊外の木造アパートでは、これらを合算すると年間賃料の30〜40%程度がコストに消えるケースもあります(築年数・立地により大きく異なります)。

よくある失敗は、「表面利回り8%なら年240万円入る」と計算して購入を決め、実際の手残りが月2万円程度だったと後から気づくパターンです。数字の「前提」を確認せずに動いてしまうことが、最も多いつまずきの一つです。

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郊外3,000万円アパート、手残りは月いくらか——モデルケースで試算

以下はモデルケース(架空の設定)です。実際の収支は物件・立地・ローン条件等により異なります。

前提条件

・物件価格:3,000万円(築20年・木造・4室)
・自己資金:600万円、借入:2,400万円(金利2.0%・30年)
・満室時年間賃料:240万円(月6万円×4室)
・想定空室率:20%(地方郊外の一例)
・管理委託費:賃料の5%
・修繕積立:年間30万円
・固定資産税:年間15万円
・火災保険等:年間5万円

試算結果

空室20%考慮後の賃料収入:240万円×0.8=192万円。そこから管理費9.6万円・修繕積立30万円・固定資産税15万円・保険5万円を差し引くと純収益は約132万円。ローン返済額は年間約106万円(元利均等・試算)なので、キャッシュフローは年間約26万円、月換算で約2万円強という計算になります。

「表面8%」から始まった話が、月2万円程度の手残りに着地するわけです。借入を減らせば手残りは増えますが、今度は自己資金の運用効率が問われます。どちらが正解という話ではなく、数字の構造を把握したうえで判断することが出発点になります。

相続地に新築する場合、コスト構造はどう変わるか

相続地を使ってアパートを新築する場合、土地取得コストはゼロになりますが、建設費が別途かかります。木造アパート(4室・延べ床100㎡程度)の新築費用は地域差があるものの、坪70〜90万円台という水準が参考になることがあります。建設費が2,500万円かかる場合、前述のモデルと同規模の賃料収入を前提にすると月々のキャッシュフローは多少改善しますが、木造法定耐用年数22年を過ぎた後の修繕コスト増加や賃料下落リスクも織り込んでおく必要があります。

また、アパートを建てると建物の固定資産税も新たに発生します。土地の固定資産税は住宅用地の特例で下がる一方、建物分が加算されるため、トータルの税負担が想定より増えるケースもあります。事前に市区町村の窓口や税理士に個別試算を確認しておくことが重要です。

「動かせる建物」という選択肢、数字はどう違うか

アパートとは異なる発想として、グランピング施設の客室として使われるトレーラーハウスを1棟単位で持つ形があります。PACO STAYは、木造2×4工法のトレーラーハウス(車両運搬具)を1棟1,453万円〜(プロジェクトにより異なる)で購入し、旅館業の許可取得・予約・清掃・メンテナンスまで運営をすべて当社グループに委託する仕組みです。

試算の前提:稼働率35%・1泊32,000円・個人・課税所得1,800万円超の場合。この条件での月額送金額は176,800円(試算)。車両運搬具として法定耐用年数4年・定率法で減価償却するため、初年度から大きな償却費が計上され、他の所得にかかる税が減少するケースがあります。ただし稼働率は変動し、25%なら月額108,667円、45%なら244,933円という試算になります(いずれも保証ではありません)。土地は自社施設に設置するため、相続地を直接使う形ではありませんが、遊休地の活用策と並べて検討できる選択肢の一つです。

数字を並べたあと、何を確認するか

アパート経営は「賃料×稼働率-コスト」という構造がシンプルで理解しやすい半面、築年数が上がるにつれて修繕費と空室率が上昇し、キャッシュフローが細くなりやすい傾向があります。郊外立地の場合は特に、人口動態と賃料水準の中長期的な見通しを確認しておくことが重要です。

トレーラーハウス型の選択肢は、減価償却の速さと運営委託の手軽さがアパートと異なりますが、宿泊業の稼働リスクを負う点は同様です。どちらの手段も、「試算の前提を自分で確認できるか」が判断の起点になると編集部は考えています。

まずは手元にある土地の固定資産税額と、アパート建設の概算見積もり、そして別の活用手段の試算を横並びにしてみることが、最初の一歩になるのではないでしょうか。

よくある質問

相続した郊外の土地にアパートを建てると、固定資産税はどのくらい下がりますか?

住宅用地の特例により、小規模住宅用地(200㎡以下)は土地の固定資産税評価額の1/6、200㎡超の部分は1/3が課税標準となります。ただし建物の固定資産税が新たに発生するため、トータルの税負担は物件の規模・評価額によって異なります。税理士や市区町村の窓口で個別の試算を確認されることをお勧めします。

アパート経営とグランピング型トレーラーハウスでは、キャッシュフローの出方はどう違いますか?

どちらが有利かは前提条件(立地・稼働率・ローン有無・税率など)によって大きく変わります。アパートは賃料収入が比較的安定しやすい一方、修繕コストが長期的にかさむことがあります。グランピング型は稼働率の変動リスクがある一方、減価償却の速さが節税効果につながるケースがあります。どちらも「試算の前提を明示して比較する」姿勢が判断の出発点です。

PACO STAYの購入で、自己資金がなくても始められますか?

提携の信販会社による分割払い(最長10年120回・審査あり)を利用する場合、自己資金0円から検討できます。ただし月々の支払いが月額送金額を上回るため、差額は持ち出しになります。課税所得が高い方の場合、減価償却による節税効果がその差額を上回るケースがあるというのが当社の試算です(個人・課税所得1,800万円超・稼働率35%・1泊32,000円を前提とした試算であり、保証ではありません)。