区分マンション2戸、アパート1棟。ここまで積み上げてきた方が次に直面するのは、「同じレールを進むべきか、別の道を探すべきか」という問いです。中古アパートの追加取得は規模拡大の王道ですが、不動産に偏ったポートフォリオが抱えるリスクも、数字を見れば見るほど気になってくる。ここでは優劣をつけるのではなく、各選択肢が何を得意とし、何を苦手とするかを整理します。

「もう1棟」の利回り8%は、修繕積立を引いた後もそうですか?

中古アパート投資の強みは、レバレッジをかけながらキャッシュフローを積み上げられる点です。年収800万円のサラリーマンであれば融資評価も取りやすく、物件次第では実質利回り5〜6%台を想定できるケースがあります。ただし、その数字が成立するのは空室率・修繕費・管理費を正確に織り込んだ場合に限られます。

特に築15年超の中古アパートでは、大規模修繕(外壁塗装・防水・給湯器一斉交換など)が取得後5〜10年以内に重なりやすい。1棟あたり200〜400万円規模の出費が突発的に発生すると、それまでのキャッシュフローが一時的に消えます。「利回り8%」の看板は、修繕積立の概念を含んでいないケースが少なくありません。よくある失敗として、表面利回りだけで判断し、取得2年後の給湯器一斉交換で年間収益がほぼ吹き飛ぶというパターンがあります。

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株式・REITは「流動性が高い」——それは長所でも、落とし穴でもある

株式やREIT(不動産投資信託)の最大の特徴は換金性の高さです。不動産のように売却に数ヶ月かかることなく、必要なときに現金化できます。REITであれば分配利回り3〜4%台(市場環境による)が中期的な目安になることが多く、管理の手間がほぼゼロという点も異なります。

一方で、市場価格は日々変動し、自分の意思でコントロールできる要素が限られます。不動産投資家として「自分で経営している」という感覚とは根本的に異なる商品です。また、既に不動産を複数持っている場合、REITを加えても「不動産セクターへの集中」が解消されるわけではない点は念頭に置く必要があります。

現金・定期預金は「待機コスト」をどう評価するかで変わる

現金保有や定期預金(現在の高金利環境でも0.5〜1%前後)は、インフレ率が2%を超える局面では実質的に資産が目減りする選択です。ただし、次の大型物件取得に備えて融資余力を確保しておく目的であれば、意図的な「待機」には合理性があります。市場が崩れたときに動ける状態を維持するために、投資余力をあえて現金で温存しておくという判断は、局面によっては有効です。

「不動産の中で分散」という発想——居住用と非居住用で需要の波は違う

不動産投資の中でも、居住用賃貸(アパート・区分)と非居住用(宿泊施設・店舗・倉庫など)では、需要の変動パターンが異なります。居住用は人口動態に左右されやすく、地方物件では空室リスクが中長期で高まる傾向があります。対して宿泊施設は稼働率と単価の掛け合わせで収益が決まるため、需要のある立地であれば異なる収益曲線を描くケースがあります。

編集部が手がけるPACO STAY(木造2×4工法のトレーラーハウスを客室として1棟単位で取得する仕組み)も、こうした「非居住用の不動産的資産」に分類できます。1棟1,453万円〜(プロジェクトにより異なる)で、旅館業許可・予約・清掃・メンテナンスまで運営を委託できる構造です。前提(稼働率35%・1泊32,000円)での試算利回りは7.7〜14.6%ですが、これはあくまで試算であり、稼働率の変動によって月々の送金額は大きく変わります。

動産扱いの減価償却は、課税所得が高い年ほど効果が出やすい

PACO-TRAILERは車両運搬具として動産扱いのため、法定耐用年数4年・定率法で償却します。取得年から4年間で集中的に償却が進むため、課税所得が高い方(特に所得税率が高い層)では、他の所得にかかる税が一時的に減少するケースがあります。ただし、この効果は償却期間中に限られ、5年目以降は消えます。そのため、5年前後での売却・乗り換えを前提とした設計で考える方が多い商品です。モデルケース(架空)として、年収1,200万円・所得税率43%の会社員が1棟取得した場合、償却初年度に課税所得が数百万円単位で圧縮される試算になりますが、実際の効果は個人の税務状況により異なります。税理士への確認を前提に検討することを勧めます。

次の一手を選ぶ前に、今のポートフォリオの「弱点」を棚卸しする

区分2戸+アパート1棟という構成で、融資残債・空室リスク・修繕タイミングがどう重なっているかを確認することが、次の判断の出発点になります。同じ不動産でもう1棟を追加するなら、融資余力と修繕リスクの集中がいつ起きるかを時系列で並べることが先決です。別アセットへの分散を検討するなら、手間・流動性・税の扱いを自分の状況に照らして比較することが実用的です。

どの選択肢も「これが正解」ではありません。自身のキャッシュフロー、融資枠、税率、出口までのタイムラインを具体的に並べてから判断することで、後から「想定と違った」となるリスクを下げられます。まず手元の数字を一度棚卸しすることが、判断の精度を上げる最初の一歩です。

よくある質問

中古アパートを追加取得する場合、融資審査で気をつけるべきことはありますか?

既に複数物件を保有している場合、金融機関は「全体の返済比率」と「既存物件の稼働状況」を重視します。空室が多い物件を抱えていると、新規融資の評価が下がるケースがあります。直近の確定申告書で不動産所得が黒字になっているか、既存物件の入居率が安定しているかを整理してから相談窓口を訪ねると、話が進みやすくなることがあります。

PACO STAYは不動産投資と同じ扱いで融資を受けられますか?

PACO STAYの分割払いは、不動産向け融資(銀行ローン)ではなく、提携の信販会社による分割払い(最長10年120回・審査あり)を利用する仕組みです。既存の融資枠や担保評価とは独立して検討できますが、信販審査の基準は信販会社の判断によります。月々の支払いが月額送金額を上回る期間があるため、手元資金の余裕を確認した上でご検討ください。

稼働率35%という前提は、楽観的すぎませんか?

35%という稼働率は、年間365日のうち約128泊が埋まる水準です。グランピング施設の水準感としては極端に高い設定ではありませんが、立地・季節・競合施設の状況によって実際の稼働率は上下します。試算はあくまで「この前提での計算上の数字」であり、実際の収益を約束するものではありません。25%(年間約91泊)・35%・45%(年間約164泊)でそれぞれ月額送金額がどう変わるかを並べて確認することを、編集部としては一つの判断材料として提案しています。