相続で引き継いだ郊外の土地。固定資産税の請求書が届くたびに、少しずつ重さを感じていませんか。「中古アパートを建てれば収入になる」という話は耳にするものの、具体的な数字を並べると、想像とは異なる景色が見えてくることがあります。

「利回り8%」の物件、手元に残るのは月いくらか

中古アパート投資を検討するとき、まず目に入るのが「表面利回り」です。年間家賃収入÷物件価格で計算されるこの数字は、実際の収支とかなり乖離するケースがあります。以下のモデルケースで確認してみましょう。

【モデルケースA:中古アパート購入(架空の設定)】
・物件価格:3,000万円(築25年・木造・4室)
・表面利回り:8.0%(年間家賃収入240万円)
・諸費用(仲介手数料・登記・ローン関連):約150万円
・年間管理費・修繕積立:家賃収入の15%=36万円
・固定資産税・都市計画税:年間約18万円
・ローン返済(金利1.8%・25年・自己資金500万円):月々約10.5万円=年間126万円

年間手取りを計算すると、240万円(収入)−36万円(管理・修繕)−18万円(税)−126万円(返済)=60万円。月換算で約5万円です。表面8%でも実質キャッシュフローが「月5万円前後」になるケースは珍しくありません。ただしこれはあくまで試算であり、立地・空室率・修繕タイミングによって数字は大きく変わります。

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築25年の物件、修繕費が「まとめて来る」リスク

中古アパート投資で見落とされがちなのが、修繕費の「タイミング集中」です。築25年前後の木造物件では、屋根・外壁の大規模修繕、給湯器・エアコンの一斉交換、配管の更新が同時期に重なることがあります。

木造4室のアパートで屋根・外壁の塗装・防水だけでも、150〜250万円程度の支出が発生するケースがあります。これが購入後3〜5年以内に来ると、それまでに積み上げたキャッシュフロー(上記モデルでは3年で約180万円)がほぼ消える計算になります。よくある失敗として、「購入時の建物診断(インスペクション)を省いたために、想定外の修繕が購入翌年に発生した」というケースが業界では報告されています。修繕費を別途積み立てる前提で収支を組み立てるかどうかが、計画の堅牢さを左右します。

土地を「持ち込む」場合、本当にコストは下がるか

相続した土地に新築アパートを建てる場合と、中古アパートを購入する場合では、コスト構造が根本的に異なります。自己所有地への新築であれば土地取得コストがなく、建物の減価償却も新築時点からフルに使えます。一方、建築費が高止まりしている現在、新築アパートの工事費は坪単価80〜100万円台になることもあり、4室程度でも建築費だけで2,000〜2,500万円を超えるケースがあります。

「土地はある、でも建築費がかかる」vs「土地はいらない、でも物件価格と修繕リスクがある」——この対比を収支として並べたうえで判断する必要があります。どちらが有利かは、土地の評価額・建築コスト・金利・空室リスクの組み合わせ次第で変わります。

「1棟単位の施設客室購入」という選択肢が生まれた背景

遊休地の活用を検討する文脈で、近年ひとつの方向性として注目されているのが、グランピング施設の客室を1棟単位で購入し、運営を委託する仕組みです。編集部が手がけるPACO STAYは、木造2×4工法のトレーラーハウス(車両運搬具・動産扱い)を1棟単位で購入し、旅館業許可の取得・予約・清掃・メンテナンスまで運営をすべて委託する商品です。

1棟の価格は1,453万円〜(プロジェクトにより異なります)。想定利回りは稼働率35%・1泊32,000円を前提とした試算で7.7〜14.6%ですが、稼働率は状況により変動し、試算値が実現するとは限りません。また、車両運搬具として動産扱いとなるため、法定耐用年数4年・定率法による減価償却が適用されるケースがあります。課税所得の水準によっては、この償却の扱いが収支の読み方を変える場合があります。詳細は税理士への確認をお願いしています。

判断の前に「比較できる状態」を作る

中古アパート投資を否定したいわけではありません。ただ、55歳から始まる15〜20年の資産運用を設計するうえでは、「表面利回りだけで判断しない」「修繕コストを先に組み込む」「自分の土地を活かせる選択肢も並べる」という順番で情報を整理することが、後悔の少ない判断につながるケースがあります。

まず手元の土地の固定資産税評価額と路線価を確認し、「そのまま持ち続けるコスト」を年間数字で出してみてください。比較の基準線が明確になると、選択肢の見え方が変わります。

よくある質問

中古アパートの「実質利回り」はどう計算すればよいですか?

(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸費用)で計算されます。諸経費には管理費・修繕積立・固定資産税・火災保険料などを含めます。表面利回りより2〜4ポイント低くなることが多く、修繕費の見積もり精度が実質利回りの信頼性を大きく左右します。

相続した土地に建物を建てると、相続税対策になりますか?

更地に賃貸建物を建てると「貸家建付地」として評価減が適用され、相続税評価額が下がるケースがあります。ただし効果の大きさは土地の路線価・借地権割合・建物の評価額によって異なります。具体的な効果額は、税理士や相続専門の税務事務所に試算を依頼することをご検討ください。

PACO STAYは相続した土地に設置できますか?

プロジェクトごとに立地・設置条件が異なります。自己所有地へのPACO-TRAILER設置については、個別のプロジェクト状況や用途地域・旅館業法の許可要件を確認する必要があります。詳細はPACOの販売ページ(https://paco-house.com/trailer/sales/)よりお問い合わせください。編集部からの情報提供はあくまで参考情報であり、投資勧誘を目的とするものではありません。