区分マンション2戸とアパート1棟。ここまで積み上げてきたポートフォリオの次の一手を、同じアセットクラスの拡張で取るか、まったく別の軸で分散するか——そこで迷っている方に、「利回りの数字の中に何が含まれているか」という話をします。表面利回りが似通っていても、その構造はまったく異なります。実際に試算を並べて確認してみてください。

「表面利回り12%」が2つの物件で別物になる理由

たとえば「表面利回り12%」という数字が2つの物件に並んでいたとします。一方は都心の区分マンション、もう一方は郊外の遊休地に設置したトレーラーハウス。数字が同じでも、手残りキャッシュは大きく異なります。

区分マンションの場合、管理費・修繕積立金・固定資産税・ローン金利・空室損失を差し引いた実質利回りが5〜7%台に落ちることは珍しくありません。加えて土地持分が薄いため、売却時に含み益を取りにくい構造になっているケースも多い。

一方、すでに保有している遊休地にトレーラーハウスを置く場合は、土地取得コストがゼロになる分だけコスト構造が変わります。「表面利回りが高い=手元に残る」ではない感覚は、アパートを1棟運営していればすでにご存知のはず。問題は「何%か」ではなく「どのコストが利回りを削っているか」を把握できているかどうかです。

▶ 数字で確認したい方へ
あなたの条件で、月いくらが想定されるか
無料で試算してみませんか?
無料シミュレーションを受け取る →
30秒入力 · 完全無料 · しつこい営業なし

試算を内訳まで分解すると、感度の高い変数が見えてくる

以下はあくまでモデルケースです。前提条件を明示した上で数字を並べますが、個人差・物件差は大きく、この数字がそのまま再現されることを保証するものではありません。

前提条件(モデルケース)

・自己保有の地方郊外の土地(固定資産税:年間約8万円)
・トレーラーハウス1台を設置。初期投資は諸費用・付帯工事込みで1,200万円(1台あたりの検討レンジは概ね990万〜1,500万円。仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって変動します)
・Airbnb等の短期賃貸で月売上25万円を想定(稼働率70%ベース)
・年間売上:300万円

コスト内訳(年間)

・プラットフォーム手数料(売上の約15%):約45万円
・清掃・消耗品・運営管理費:約36万円
・固定資産税(土地):約8万円
・保険・その他:約6万円
・合計コスト:約95万円

手残りと利回り

年間手残り:300万円 − 95万円 = 205万円
実質利回り(税引前):205万円 ÷ 1,200万円 ≒ 約17.1%

ただし、稼働率が60%に落ちると売上は約257万円となり、利回りは13〜14%帯に変わります。逆に稼働率80%超が定着すれば20%近い水準になるケースも想定されます。この試算で最も感度が高い変数は稼働率です。「何%か」より「どの変数が利回りを動かすか」を先に把握しておくことが、次の物件を選ぶときの判断基準になります。

余談ですが、筆者が初めてこの試算を組んだとき、付帯工事(水道引き込み・電気・外構)を「本体価格」と別枠で見積もっていたため、総投資額が当初想定より約150万円膨らみました。利回りを計算するときは必ず総投資額ベースで計算することをお勧めします。

減価償却を加えないと、この試算は半分しか見えていない

年収800万円前後のサラリーマン投資家にとって、キャッシュフローと並んで重要なのが税務上の所得圧縮効果です。木造2×4構造のトレーラーハウスは法定耐用年数が短く設定されるケースがあり、初期数年間の減価償却による所得圧縮効果が想定されます。具体的な金額は保有構造や所得状況によって異なるため、税理士との確認が前提になりますが、キャッシュフローと税圧縮を合算した「実効的な手残り」はモデルケースの数字よりさらに変わってくることがあります。

アパートの耐用年数と比較したとき、「同じ1,200万円の投資でも、何年で償却できるか」という観点を加えると、ポートフォリオとしての組み合わせ方が見えてきます。この部分は必ず税理士に個別確認してから判断してください。

出口が「撤去・移設」という選択肢は、利回りの数字に現れない

区分やアパートの出口は基本的に「売却」です。市況に左右され、タイミングを誤ると売却損が出る——これはすでに経験している方も多いはずです。

トレーラーハウスは土地に定着しない構造であれば、土地の活用形態を変更する際に撤去・移設という選択肢が取れるケースがあります。「売れない」リスクを負わずに退出できる可能性があること——これは利回りの数字には表れませんが、ポートフォリオの流動性を考えるときに無視しにくい変数です。もちろん移設・再設置のコストは発生しますし、すべての物件で容易というわけでもありません。ただ「撤退の設計が組み込まれているかどうか」は、次のアセットを選ぶ基準に入れておく価値があります。

次の一手を決める前に、この3つの変数を自分の条件に当てはめてみてください

今回示したモデルケースも、稼働率・運営コスト・初期投資額のどれかが変われば結論が変わります。まず自分の手元の土地や資金条件を当てはめて、「この変数が動いたときに損益分岐はどこか」を確認する。それが最初の一歩です。

PACOでは個別の物件条件に合わせた試算のご相談も受けていますが、あくまで情報提供の場としてご活用ください。投資判断は最終的にご自身の責任と判断で行ってください。

よくある質問

稼働率70%は現実的な数字ですか?

立地・競合環境・物件の差別化度によって大きく異なります。観光需要がある地方や、Airbnbのレビュー評価が高い物件(評価4.8台で稼働率70%超が続いている運用事例もあります)では現実的な水準ですが、競合が集中するエリアや季節変動が大きい地域では50〜60%台に落ち着くケースも少なくありません。モデルケースの前提値としてご理解ください。

既存のアパートローンがある状態でも、追加融資は受けられますか?

金融機関の審査基準・既存債務の返済比率・年収に対する借入残高のバランスによって、追加融資の可否と条件は大きく変わります。既存借入がある場合はまず返済比率の枠を確認することが先決です。「融資条件によっては自己資金を抑えたスタートも可能」というケースはありますが、具体的な融資シミュレーションは取引実績のある金融機関か専門ブローカーへの相談が早道です。

トレーラーハウスの初期投資はどのくらい幅がありますか?

1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが、仕様・サイズ・立地・付帯工事(基礎・水道・電気・外構など)の内容によって上下します。「本体価格」だけで比較すると付帯工事コストを見落としやすいため、総投資額ベースで利回りを計算することを強くお勧めします。