区分マンション2戸、アパート1棟。ここまで積み上げてきた方が次の手を考えるとき、「土地活用=固定資産税を減らすための手段」という前提で動き始めるケースをよく見かけます。ただ、その前提のまま進むと、出口を考えたときに選択肢が一気に狭まることがあります。今回は、その「常識」を数字ベースで解体してみます。
「節税のため」に建てたアパートが、なぜ20年後に売れなくなるのか
固定資産税の軽減を主目的に土地活用を選ぶと、「税金が減ること」が成功の定義になります。アパートを建てれば住宅用地の特例で固定資産税は最大6分の1になりますし、駐車場より建物を建てた方が評価額も下がる。これ自体は間違っていません。
ただ、節税できた分の税額は年間数万円〜せいぜい数十万円のレンジです。一方で、建物を建てると30〜40年のローンが走る。「節税はできたが、ローン返済で手残りが出ない」という構造に陥りやすい。
以前、仲介をしていた頃に何件も受けたのが「親から相続した土地にアパートを建てたが、築20年で修繕費と空室が重なって苦しい。でも残債があって売れない」という相談です。税対策で入口を決めると、出口が極端に狭くなる——これは体感として残っています。
余談ですが、私自身も一度、「節税効果があるから」という理由だけで検討を進めかけた物件があります。試算を詰めたら、節税額より金利負担の方が大きかった。入口の「得した感」に引っ張られると、こういう見落としが起きます。
「撤退コストがいくらか」——強い土地活用はここで差がつく
比較軸を「撤退コスト」に替えてみましょう。
アパートは解体費が坪4〜6万円、30坪で120〜180万円かかるケースがあります。加えてローン残債があれば、土地を売りたくても売れない。駐車場は撤退コストがほぼゼロですが、利回りが低い。この二択だけで考えているうちは、土地活用の選択肢は常に「どちらかを諦める話」になります。
こういう場面で最近、トレーラーハウスが選択肢に入ってくることがあります。木造2×4構造で建築されたPACOのモデルでいえば、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって異なりますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース/物件仕様や立地で変動)。移設・撤去が現実的に可能な構造であることから、「出口を残した土地活用」として検討される理由の一つになっています。
利回りを比べる前に、前提の違いを揃えてほしい
アパート投資の表面利回りとトレーラーハウスの想定利回りを同じ土俵で比べている資料を見ることがありますが、前提がまるで違います。アパートは土地付きで計算されることが多く、トレーラーハウスは既に土地を持っている方がハードを置く構造です。
モデルケースとして整理すると——自己所有の遊休地に1台設置、Airbnb等の短期賃貸で運用、稼働率65〜70%を想定した場合、想定利回りが10〜20%のレンジで試算されることがあります。ただし、地域の観光需要・立地条件・運用コストによって実際の数字は大きく変わります。
私が2棟目を仕込む前にやったのは、「稼働率が55%まで落ちたらどうなるか」を先に計算することでした。それでも手残りがプラスになる構造かどうかを確認してから動いています。利回りの上振れより、下振れ時の手残りの方が判断軸として重要です。
区分・アパートをすでに持つ人が「別アセット」を検討する、もう一つの理由
既存の区分やアパートで安定した手残りが出ている方が次の一手を考えるとき、「同じアセットを増やす」のと「別アセットで分散する」のでは、リスクの質がまったく違います。
区分・アパートは長期賃貸がメインですから、金利上昇・人口減少・築年数進行の影響を同じ方向で受けます。一方でAirbnb等の短期運用は観光需要・インバウンドの波に乗る面があり、相関が低い。ポートフォリオの「揺れ方」を変える効果はモデルケースによっては想定されます。
ただ、短期運用は管理の手間と運用知識が必要です。PACOのAirbnb運用でゲスト評価4.8という数字が出ることがありますが、それを支えるのは物件クオリティだけでなく、運用体制の作り込みです。「置けば稼げる」ではない点は最初に言っておきます。
まず確認してほしい、たった一つの数字
「固定資産税対策」という切り口をいったん脇に置いて、土地活用を「手残りと撤退コストのバランス」で再評価してみてください。その上で、既存ポートフォリオに加えたときにリスクの方向性が変わるかどうかを確認する。それだけで、選択肢の見え方はかなり変わるはずです。
具体的な試算に興味があれば、土地の面積・ロケーション・現在の利用状況を整理してから相談に行くのが一番早いです。PACO INVESTでは個別相談も受け付けています。数字を持ち込んで話してみるのも一つの手です。
よくある質問
トレーラーハウスは固定資産税の対象になりますか?
土地への定着性がない構造であれば、固定資産税の課税対象外になるケースがあります。ただし、接続するインフラの状況や自治体の判断によって異なりますので、設置前に管轄の市区町村や税理士に確認することをお勧めします。「非課税だから得」という前提で動くのは早計です。
既存のアパートローンがある状態で、追加の融資は組めますか?
既存の返済負担率や属性によって変わります。トレーラーハウスは土地に定着しない動産として扱われるケースがあり、不動産ローンとは異なる審査軸になることがあります。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートが可能な場合もありますが、個別の属性と金融機関との交渉次第です。
Airbnb運用が不振だった場合、長期賃貸に切り替えられますか?
物件の仕様や立地によりますが、長期賃貸・マンスリー賃貸への転用を検討できるケースはあります。ただし、短期運用前提で設計された物件は設備グレードが高い分、長期賃貸での賃料設定が周辺相場と合わないことがあります。入口の段階で「出口シナリオを複数持てるか」を確認しておくことが重要です。