iDeCoもNISAも満額近く運用中で、「もう一手」が欲しい——そう感じている30代の方から相談を受ける機会が増えています。先日も、年収550万円・32歳の会社員の方(以下、モデルケースとして便宜上Bさんとします)から、土地活用の利回りについて話を聞きました。整理しながら話すうちに、私自身も「自分は最初の物件でここを甘く見ていたな」と気づき直す場面がありました。

「利回り15%」と書いてあったけど、何に対しての15%なの?

Bさんがウェブで見かけたのは「土地活用で利回り15%」という数字でした。第一声が「利回りって、何に対しての15%なんでしょう?」だったのですが、これはかなり核心を突いた質問です。

表面利回りなのか実質利回りなのか。自己資金に対してなのか、土地取得費込みの投資総額に対してなのかで、同じ「15%」でも意味はまるで変わります。たとえば土地取得費を分母に含めずに計算した表面利回りが15%でも、取得コストを含めた実質ベースでは5〜7%程度に落ち着くケースは珍しくありません。数字だけが先行しているケースは、正直なところよく見かけます。

Bさんが持っていたのは「土地」ではなく「選択肢」だった——整理が必要だった理由

話を進めると、Bさん自身は土地を持っていませんでした。「どこかに投資用の土地を買って活用する」という漠然としたイメージで来ていたのです。

ここで一度立ち止まる必要があります。土地活用の利回りを語るとき、「土地の取得コストを分母に含めるかどうか」で数字はまったく別物になります。すでに土地を持っている地主と、ゼロから取得する場合では収益構造が根本から違う。Bさんのケースでは、土地ごと取得して活用する「投資型」の前提で試算し直す必要がありました。

「土地を買わずに始める」という発想——借地×トレーラーハウスの仕組み

「土地を取得しなくても始められるケースがある」という話をしたとき、Bさんが少し前のめりになりました。地方の安価な土地を借り、そこにトレーラーハウスを設置するスキームです。木造2×4構造のトレーラーハウスは条件次第で建築確認不要のケースもあり、土地取得コストを抑えた分、自己資金利回りが高く出やすい構造になっています。

PACOが扱うトレーラーハウス型の投資では、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件の仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。Bさんはまだ住宅ローンを組んでいなかったため、与信余力が残っているという点では融資の組みやすさに影響するケースもある、という話もしました。ただしこれはあくまで審査次第であり、通過を保証するものではありません。

「節税になる」という言葉の裏側——減価償却が終わった後を試算したか?

Bさんが特に関心を持っていたのが節税効果でした。年収550万円の場合、所得税・住民税の合計税率は概ね20〜30%のゾーンで、所得圧縮の恩恵を感じやすい層ではあります。耐用年数の短いトレーラーハウスは減価償却費を大きく計上できるケースがあり、モデルケースでは初年度から数年間で年間数十万円単位の所得圧縮が想定されることもあります。

ただ、私がBさんに正直に話したのは「減価償却が終わった後の実質利回りを試算したか」という点でした。実は私自身、最初に関わった物件で償却終了後の収支を甘く見ていて、「節税できた年だけ良かった」という結果になりかけた経験があります。節税の恩恵は初期の数年間に集中しやすく、その後は課税所得が増加する局面が来ます。出口戦略とセットで考えないと、数字の見え方が大きく変わります。

Bさんが相談の最後に言ったこと——「数字より先に目的を決めなきゃ」

2時間ほど話して、Bさんが最後に言ったのは「数字の前に、自分が何のために投資するかを決めなきゃいけないんですね」という言葉でした。老後資金の積み上げなのか、毎月の副収入なのか、節税なのか——目的によって、選ぶべき手段も評価すべき指標も変わってきます。

まず自分の可処分資金と毎月の余力を数字で把握する。そのうえで「もう一段の選択肢」として土地活用型の投資を比較対象に加えてみるのは、悪い順序ではないと思います。

まとめ:「利回り〇〇%」を見たときに最初に確認すること

「何に対して」「どの費用を含めて」算出された数字かを確認する習慣が、情報に踊らされないための第一歩です。立地や運営体制によって結果はかなり異なり、同じスキームでも稼働率が想定を下回るケースもあります。焦らず、比較しながら、自分のペースで情報を集めてみてください。

よくある質問

土地を持っていなくても土地活用型の投資はできますか?

土地を所有していなくても、借地にトレーラーハウスを設置する形で始めるケースはあります。ただし、地主との契約条件や立地の選定が収益に大きく影響します。土地取得から始める場合も含め、初期費用の全体像を事前に確認することが重要です。

年収550万円でも融資は通りますか?

融資の可否は年収だけでなく、勤続年数・他の借入状況・物件の事業計画など複数の要素で審査されます。住宅ローンを組む前の段階であれば与信余力が残っているケースもありますが、あくまで金融機関の判断次第です。事前相談を通じて現状を把握するのが現実的です。

節税効果はいつまで続くのですか?

減価償却を活用した所得圧縮効果は、耐用年数の期間中に集中します。耐用年数が短い物件ほど初期の圧縮効果は大きくなりますが、償却終了後は課税所得が増加するため、出口戦略や長期の収支計画をあわせて検討することをお勧めします。