年収1,800万円で株も投信も持っている。それでも「資産が一方向に偏っている気がする」——そう感じ始めたタイミングで不動産や土地活用を調べると、最初にぶつかるのが「利回り」という数字です。私自身、最初にこの数字を見たとき、定期預金との落差が大きすぎて「何かを見落としているはずだ」と疑いました。その疑いは正しかったのですが、どこを見落としていたかを整理するのに少し時間がかかりました。今回は、その比較軸を資産クラスごとに整理します。
「利回り」という言葉、資産クラスごとに計算の前提がまるで違う
定期預金の利率、REITの分配利回り、株式の配当利回り、不動産の表面利回り——どれも「利回り」と呼ばれますが、計算の前提がまったく異なります。定期預金0.2〜0.3%(2025年現在)と土地活用の想定利回り10〜20%(モデルケース)を並べると後者が圧倒的に見えますが、この比較は「元本保証の有無」「流動性」「運営コスト」を無視しているため、そのまま意思決定に使うのは危険です。
各クラスの特性を整理すると、定期預金は元本保証・流動性高・リターン低。REITは市場価格変動あり・流動性高・分配利回り3〜5%程度(市況依存)。株式は値動き大・流動性高・配当2〜4%程度(銘柄依存)。アパート経営は表面利回り7〜10%程度が多いものの、管理費・修繕費・空室率を引いた実質利回りは数%台に落ちるケースも珍しくありません。この「引き算の後」に残る数字が、意思決定の本体です。
アパート経営と比べたとき、何が変わって何が変わらないか
不動産の比較として最もイメージしやすいのがアパート経営です。両者に共通するのは、実物資産としての価格変動の緩やかさと、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるという点。年収1,800万円クラスの経営者にとって、この効果は無視できません。
一方で違いもあります。アパートは建物の撤去コストが高く、方針転換に時間と費用がかかります。入居者の退去・原状回復・リフォームサイクルも長期収支に影響します。対してトレーラーハウスを活用した土地活用では、物件の移動・撤去が比較的容易なため、「立地が合わなければ動かす」という選択肢が残ります。ただし移動にも相応の費用はかかります。この「撤退のしやすさの差」が、向き不向きの分かれ目になります。
REITや株式と根本的に違う部分を正直に書く
REITや株式の最大の強みは流動性です。売りたいと思えば、市場が開いている限り即日で現金化できます。土地活用の実物不動産にこの即時性はなく、売却には時間がかかり、価格も市況次第です。スピードと確実性を重視するなら、この非流動性リスクは最初に認識しておく必要があります。
一方、株式・REITは市場心理に左右されやすく、世界的なショック時には数週間で30〜40%下落したケースも過去にありました。実物資産は価格変動が緩やかなぶん、ポートフォリオ全体のボラティリティを抑える役割を果たすことがあります。すでに株式・投信を持っている方が土地活用を検討する背景には、この「値動きの質の違い」があることが多いです。
Airbnb運用という発想が、単純な利回り比較を壊す
PACO INVESTが採用している木造2×4構造のトレーラーハウスをAirbnbで運用するモデルは、通常の賃貸経営とは収益構造が異なります。長期賃貸は「安定・低単価」、短期宿泊は「変動・高単価」という特性があるためです。前提条件が揃う場合、モデルケースで想定利回り10〜20%程度が検討されることもありますが、立地・稼働率・季節変動に大きく左右されます。PACO Stayの実績でAirbnb評価4.8を維持している物件もありますが、すべての物件で同様の数字が出るわけではありません。
初期投資は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって幅があり、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース/物件仕様や立地で変動)です。融資条件によっては自己資金を抑えてスタートできる場合もありますが、金融機関の審査次第であり、断定できるものではありません。
どれが「正解」かではなく、どの順番で持つかの問題
45歳で資産分散を考える経営者にとって、「この中でどれが一番いいか」という問い方より、「自分がすでに持っているものと、何が補完関係にあるか」という問い方のほうが実用的です。株式・投信でリターンを取りにいっているなら、非流動性の実物資産が資産全体のボラティリティを抑える役割を果たすことがあります。逆に、手元流動性がすでに厚いなら、多少の非流動性リスクは許容できる場合もあるでしょう。
土地活用の利回りを他の資産クラスと並べる前に、「自分のポートフォリオの何を補完しに来ているのか」を確認してから数字を見るほうが、判断がブレにくいと感じています。小さな一歩として、自分の資産構成を書き出し、「流動性・リターン・税メリット・手間」の4軸で現状を採点してみることをお勧めします。
よくある質問
土地活用の利回りとアパート経営の利回りは、どちらが高いですか?
一概には言えません。表面利回りの数字だけ見るとトレーラーハウス活用が高く見えるケースがありますが、どちらも立地・稼働率・運営コストによって実質利回りは大きく変わります。アパートも好立地で管理を効率化すれば実質7〜8%台を維持している物件はありますし、トレーラーハウスも立地が悪ければ想定を大きく下回ることがあります。「どちらが高いか」より「自分の物件条件でどう動くか」を個別に試算することが先決です。
不動産投資が初めてでも、融資は受けられますか?
融資の可否は金融機関の審査によります。年収や法人の財務状況、担保評価、自己資金比率などが複合的に判断されるため、「未経験でも必ず受けられる」とも「受けられない」とも断定できません。経営者の場合、個人と法人どちらで取り組むかによっても条件が変わることがあります。まずは複数の金融機関に条件を確認することをお勧めします。
REITや株式と比べて、税負担の面で土地活用が有利になるケースはありますか?
実物不動産には減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースがあります。特に年収が高い個人や利益が出ている法人にとっては、この効果が収支改善に寄与することがあります。一方、REITや株式にも損益通算や配当控除など固有の税務上の特性があります。どちらが有利かは所得水準・資産構成・法人か個人かによって異なるため、税理士への個別確認が不可欠です。