iDeCoもNISAも始めた。でも、なんとなく物足りない。老後2,000万円問題を意識するほど、「積み立てるだけでいいのか」という疑問は大きくなりますよね。今回は民泊投資の収支を、前提条件ごと分解した形で試算してみます。読んでいただければわかりますが、私自身が最初の試算で盛大にズレた経験があるので、その話も含めて書きます。

「利回り10〜20%」の数字は、どの前提の上に乗っているか

民泊投資の記事を読むと、「利回り10〜20%」という数字がよく出てきます。ただ、その数字が成り立つには前提がいくつも重なっています。稼働率、客単価、運営コスト——どれかひとつ崩れると、手残りは大きく変わります。

私が最初に試算したとき、清掃費と管理代行費を「だいたいこのくらいだろう」と大ざっぱに見積もりました。結果、1年目の実績と試算のズレは20万円超。「前提が甘いと数字は信用できない」というのは、この経験から学んだことです。だから今回は「前提を全部書く」スタイルで試算します。あくまでモデルケースですが、数字の構造を理解する参考にしてください。

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前提を並べると、どこが収支に一番効くかが見えてくる

モデルケースの前提条件

今回の試算は以下の条件を想定しています。物件:木造2×4構造のトレーラーハウス1台(PACO INVESTの仕様を参考)。初期費用:1,200万円(仕様・立地・付帯工事込み。1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く、物件仕様や立地により上下します)。立地:地方観光エリア(車アクセス中心)。Airbnb客単価:1泊15,000円。稼働率:60%。融資:初期費用の70%を金利2.5%・20年返済で調達。

年間収支の内訳

年間稼働日数は365日×60%=219泊。客単価15,000円で計算すると年間売上はおよそ328万円です。ここからコストを引いていきます。プラットフォーム手数料(売上の約15%):約49万円。清掃・消耗品費:約36万円(1回あたり1,650円×219回+消耗品)。管理代行費(売上の10%):約33万円。固定費(保険・通信・雑費):約12万円。コスト合計は概ね130万円で、営業利益は約198万円と想定されます。

融資返済分を計算します。1,200万円の70%=840万円を金利2.5%・20年で借りた場合、年間返済額はおよそ53万円(概算)。営業利益198万円から返済53万円を引くと、税引前キャッシュフローは約145万円。実際の手残りは税率や諸条件によって変わりますが、このモデルケースでの表面利回りは10〜12%台というイメージです。客単価が13,000円に下がるだけで利回りは1〜2ポイント落ちますし、稼働率が50%になれば営業利益は30万円以上変わります。どの変数が一番効くか、数字を触りながら確認してみてください。

「キャッシュが出ているのに税金が減る」という構造を整理する

年収550万円の会社員が民泊投資を始めると、減価償却費が所得に合算されます。木造の構築物は法定耐用年数が短めに設定されるケースがあり、初年度から数年にかけて大きな経費を計上できる場合があります。結果として給与所得と合算した課税所得が圧縮され、所得税・住民税が戻ってくる可能性があります。

キャッシュアウトしているのに税負担が軽くなる——これが「減価償却を活用した所得圧縮効果」の構造です。ただし、効果の大きさは耐用年数・償却方法・他の所得状況によって変わります。私も毎年税理士に確認しており、「自分で計算した数字と実際の申告額がズレる」ことは珍しくありません。この部分は必ず専門家に確認してください。

「撤退できる」という選択肢が、最初の投資判断を変える理由

アパートや区分マンションと民泊投資が異なる点のひとつに、撤退のしやすさがあります。トレーラーハウスは移動・転用が可能な構造のため、立地が合わなかった場合に別の土地へ移設するという選択肢が生まれます(移設コストはかかりますし、すべての状況に適用できるわけではありません)。

32歳で始めるなら、最初の投資が「取り返しのつかない失敗」にならないことも重要な条件です。撤退・転用のシナリオがあることは、過剰なリスクテイクを避ける意味でも事前に確認しておく価値があります。

次の一手は、今回の前提を自分の条件に置き換えてみること

今回示したのはあくまでモデルケースです。客単価・稼働率・融資条件・立地——どれを変えても収支は動きます。「なんとなく面白そう」を「自分ごと」に変えるには、自分の条件を当てはめた試算を一度やってみることが最初のステップだと思います。数字を触ってみると、どの前提が収支に一番効くかが感覚でわかってきます。

よくある質問

会社員でも民泊投資はできますか?副業禁止規定が気になります。

多くの会社員の方が取り組まれているケースはありますが、勤務先の就業規則によって扱いが異なります。不動産賃貸業は「事業的規模でない場合は副業に該当しない」とする企業もありますが、民泊・宿泊業は運営形態によって判断が分かれることがあります。管理代行を活用して「運営委託」のスキームにするケースもありますが、個別事情は専門家への相談をおすすめします。

稼働率60%という前提は、現実的な数字ですか?

観光エリアや週末需要の強い立地では、Airbnbで年間稼働率60〜70%台の実績が出ているケースがあります。ただし、立地・季節性・競合数・運営クオリティによって大きく変わります。PACO Stayの運用実績ではAirbnb評価4.8を維持しているケースもありますが、評価が高いことと稼働率は別の話です。対象エリアの稼働データを事前に確認することが重要です。

融資は会社員でも通りやすいですか?

年収・勤続年数・他の借入状況によって審査結果は大きく変わります。会社員は安定収入として評価されやすい側面はありますが、民泊・宿泊業向けの融資は金融機関によって対応が異なります。取り扱いのある銀行・信金・ノンバンクを選ぶことが重要で、融資条件によっては自己資金を抑えてスタートできるケースもありますが、実際の条件は事前の金融機関への打診で確認するのが確実です。