区分マンション2戸とアパート1棟を保有していると、次の選択肢は自然と「さらに規模を拡大するか、別アセットに分散するか」の二択になってきます。利回りや出口戦略を慎重に見ている方ほど、Airbnb投資(民泊)という選択肢が気になりつつも「リスク構造が違いすぎて比較しづらい」と感じているのではないでしょうか。今回は優劣をつけるのではなく、それぞれの向き不向きを並べて整理してみます。
「利回り20%」と「利回り10%」を並べても、前提条件が揃っていないと比較にならない
アパート経営の表面利回りが8〜10%、Airbnb民泊の想定利回りが10〜20%(モデルケース・ケースによって大きく異なります)と並べると、数字だけ見ればAirbnbのほうが高く見えます。ただし、この比較には落とし穴があります。アパートの10%は稼働率90%以上がほぼ前提で計算されていますが、民泊の20%は稼働率・客単価・季節変動すべてが前提条件として乗っています。
たとえば「稼働率70%、平均単価1万円/泊、運営委託費20%」と置いた場合、試算上の手取りは月によってかなり振れ幅が出ます。筆者自身も1棟目の試算と実績で数十万円単位のズレを経験しており、「利回りの数字を額面通りに受け取ると痛い」という感覚は正直なところです。当初は稼働率80%を見込んでいたところ、開業から3か月は60%を下回りました。プラットフォームの口コミが積み上がるまでの助走期間を試算に織り込んでいなかったのが原因です。数字を比べるなら、どちらも「何が前提か」を揃えてからでないと意味がありません。
株・REITは「市場に委ねる」、民泊は「自分の動きが利回りに出る」——どちらが性に合うか
株式やREITは流動性が高く、100万円以下からでも分散投資が可能です。ポートフォリオの一部として機能させやすい反面、価格変動は市場に委ねるしかなく、自分の判断が結果に反映されにくい構造です。既に不動産を複数保有していて、能動的に数字を動かすことに慣れている方には、やや物足りなさを感じるケースもあるようです。
一方、Airbnb民泊は写真・価格設定・口コミ対応・季節のプライシングなど、運営の巧拙が収益に直接響きます。これは手間でもありますが、「自分の動きが利回りに影響する」という手応えを好む投資家には合っています。PACOのAirbnb運用では評価4.8台の実績を持つ物件もありますが、それも運営の積み重ねによるものです。「手を動かしたくない」という方には、運営委託を前提とした設計が現実的な選択肢になります。
定期預金に置いておくより民泊に回すべきか——それは「利回り差」より「流動性をどこまで手放せるか」の問い
年収800万円クラスで複数物件を保有していると、手元に一定のキャッシュがある方も多いはずです。「定期預金に置いておくより民泊に回すべきか」という問いは、表面的には利回り差の話ですが、実際は流動性をどこまで手放せるかの問いでもあります。民泊物件は一度建てたら、すぐには現金に戻りません。
トレーラーハウス型の民泊(木造2×4構造で移設・撤退がしやすい設計のもの)は、固定建築に比べて出口の柔軟性がある点を評価する投資家もいます。ただし「移設できる=リスクゼロ」ではなく、移設コスト・再稼働までの期間・立地探しの手間など、別のコストが発生します。「撤退しやすい」は「損をしない」とは別の話です。
アパートの「固定型インカム」に民泊の「変動型インカム」を加えると、ポートフォリオはどう変わるか
既にアパートを保有しているなら、民泊を加えることでインカムの「変動型」と「固定型」を混在させることになります。長期賃貸は安定していますが、家賃の下落リスクや空室リスクは物件の築年数とともに高まります。民泊は変動が大きい代わりに、客単価や稼働率を戦略的に動かせる余地があります。
トレーラーハウス型民泊は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース・物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、アパート1棟の追加取得より初期投下金額を抑えやすいケースがあります。「別アセットで少量試す」という分散の入り口として検討する方もいますが、あくまで個々の資金状況や融資条件による部分が大きいです。
利回り・節税・流動性・手間——何を最大化したいかを言語化してから、選択肢を並べる
何を重視するかによって、「次の一手」はまったく変わります。数字に強い方ほど、すべての選択肢を同じ軸で比べようとしますが、アセットクラスが違えば比較軸も揃えないと判断がぶれます。まずは「自分が今のポートフォリオに何が足りないと感じているか」を言語化するところから始めてみてください。民泊が答えになることもあれば、ならないこともあります。それが正直なところです。
興味があれば、実際のモデルケース試算や立地条件の話を具体的に確認してみることをおすすめします。前提条件を揃えた数字を並べると、自分の向き不向きがかなりクリアになります。
よくある質問
既にアパートを持っているのに、さらに民泊を加えると融資が通りにくくなりますか?
既存の融資残高や属性によって状況は異なりますが、複数物件を保有している場合、追加融資の審査が厳しくなるケースはあります。トレーラーハウス型の場合、建築物として扱われないケースでは通常の不動産ローンとは異なる融資スキームが使われることもあります。金融機関ごとに判断が違うため、複数行に事前相談することをおすすめします。あくまで個別案件による部分が大きいです。
Airbnb民泊の「出口戦略」はどう考えればいいですか?
長期賃貸や売却が主な出口になる通常の不動産と異なり、民泊物件の出口は「長期賃貸への転換」「売却(物件ごと)」「撤去・移設」など複数のパターンがあります。トレーラーハウス型は移設の選択肢がある分、固定建築より柔軟性が高いとされますが、移設には別途コストがかかります。出口を最初から複数想定しておくことが、数字に厳しい投資家ほど重要です。
民泊の減価償却は、既存の不動産投資と組み合わせて使えますか?
トレーラーハウスは一般的に建物ではなく「車両・動産」として扱われるケースがあり、減価償却期間が短くなることがあります。耐用年数が短いほど年間の償却額が大きくなるため、高所得のサラリーマン投資家には減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれるケースがあります。ただし税務上の扱いは個別の仕様や設置状況によって変わることがあるため、必ず税理士への確認をおすすめします。