iDeCoもNISAも始めた。でも、もう一段踏み込みたい——そう感じている30代前半の方から、最近よく相談を受けます。「民泊投資の利回りって本当に高いんですか?」という質問です。正直に言います。高くなるケースもあれば、私のように計算を盛ってしまって後で青ざめるケースもあります。

試算表の「清掃費5万円」を疑わなかった日のこと

トレーラーハウス民泊の1棟目を検討していた頃、試算表に出てきた「想定利回り18%」という数字をそのまま信じてしまいました。正確に言うと、疑うことを後回しにしました。年間売上から逆算した数字だったのですが、清掃費と消耗品費が「年間5万円」でひとまとめにされていたんです。

実際に動かしてみると、清掃1回あたり5,000〜8,000円、月に15〜20回転すれば清掃費だけで月10万円前後になることもある。アメニティ補充、リネン交換、小規模修繕も重なると、試算表の「5万円」がいかに楽観的だったか、数ヶ月で思い知りました。利回りの数字そのものより、「何が含まれていないか」を読む力が問われます。

「稼働率80%」という前提は、誰が、何を根拠に計算したのか

民泊投資の試算でよく登場する稼働率80%という数字。年間365日のうち292日が埋まる計算です。立地や季節によっては十分ありえますが、開業直後の3〜6ヶ月はレビューがまだ少なく、稼働率が50〜60%に留まるケースも珍しくありません。

モデルケースとして試算してみます。前提:東北の観光地周辺、平均宿泊単価1泊12,000円、稼働率65%(年間237泊)。この条件での年間売上は約285万円。ここから清掃費・プラットフォーム手数料(売上の3〜5%)・光熱費・保険料を差し引くと、手残りはかなり変わります。稼働率が80%か65%かの差だけで、利回りは数ポイント簡単に動きます。試算書を受け取ったら、まず稼働率の根拠を聞いてみてください。

「初年度の節税がうれしい」の裏側に潜む、将来の課税

年収550万円の会社員が不動産投資を始めると、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます。木造2×4構造のトレーラーハウスは、一般的な木造建築と同様の法定耐用年数が適用されるケースがあり、初年度に経費として計上できる額が大きくなる可能性があります。給与所得との損益通算で課税所得を下げられるケースがある、というのは確かです。

ただし、減価償却は「今の税負担を後ろにずらす」仕組みです。将来売却するときの譲渡所得計算に影響が出ます。私自身、初年度の確定申告で「建物と附属設備の按分をどう処理するか」を税理士と詰めるまで、手元の試算が2〜3万円単位でずれ続けた経験があります。「節税になる」と早合点せず、税務は専門家と一緒に動くことを前提にしてください。

「撤退できる構造か」を、物件を見る前に確認する

トレーラーハウスは、固定資産ではなく移動可能な構造物として扱われるケースがあり、土地への定着性が通常の建物より低い場合があります。立地が合わなかった場合に移設や撤去を検討できる余地があるのは、アパートを一棟買いした場合との大きな違いです(実際の手続きや費用は個別に確認が必要です)。

私が民泊投資を検討するときに重視するのは「出口が複数あるか」という点です。Airbnbなどの短期宿泊で運用しながら、状況によっては長期賃貸に切り替えられるか。運用実績(評価4.8など)を参考にしながらも、自分なりに出口シナリオを2〜3個描く習慣をつけることをお勧めします。

試算表を受け取ったら、最初にこの一言だけ言えばいい

利回り10〜20%(モデルケース)という数字が出てきたとき、すべきことはひとつです。「この稼働率と経費の前提は何ですか?」と聞くこと。それだけで、数字の信頼性がかなり見えてきます。

初期投資については、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いとされていますが(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートが可能なケースもありますが、これも個別の状況によります。前提を確かめてから動く、その順番だけは崩さないでください。

よくある質問

利回り10〜20%というのは、どんな条件が揃えば現実的ですか?

立地・稼働率・経費構造が揃った条件下でそのレンジに入るケースがある、というのがモデルケースとしての答えです。ただし稼働率や清掃費・プラットフォーム手数料(売上の3〜5%)の前提によって大きく変動します。試算書を受け取った際は、利回りの数字より「何が経費に含まれていないか」を先に確認することをお勧めします。

年収550万円の会社員でも、節税効果は見込めますか?

減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースはあります。ただし効果の大きさは投資規模・物件の耐用年数・給与所得の額によって異なり、将来の売却時に課税が発生する場合もあります。情報収集の段階では「節税になるかもしれない仮説」として持っておく程度が安全で、税理士への事前相談を強くお勧めします。

住宅ローンを組む前に民泊投資を始めると、後で影響がありますか?

投資用ローンを先に組むと、その返済額が住宅ローンの審査に影響するケースがあります。将来の住宅購入を検討しているなら、どちらを先にするか、融資枠の使い方を金融機関やFPに確認しておくことが重要です。投資の順番を間違えると、本来借りられたはずの住宅ローンが通りにくくなる可能性があります。