区分マンション2戸とアパート1棟を持ち、次の一手を考えている。規模拡大か、別アセットか——この判断に悩むとき、「Airbnb投資って実際のところどうなんだ」と気になる方は少なくないようです。今回は数字を軸に、既存アセットとAirbnb投資(トレーラーハウス活用型)を横並びにして考えてみます。
「利回り〇〇%」だけでは、比較にならない
既に投資経験がある方こそ、表面利回りの数字だけでは動かないはずです。取得コストの内訳、空室リスクの性質、出口の選択肢——この3つが揃って初めて比較になる。今回はそこまで踏み込んで整理してみます。
なお、数字はすべてモデルケースであり、実際の運用結果は立地・稼働率・運営体制によって大きく変わります。あくまで思考の起点として読んでいただければと思います。
前提を揃えて3アセットを並べると、こうなる
モデルケースの試算:区分・アパート・トレーラーハウス
今回比較するのは以下の3パターンです(いずれもモデルケース、実際は個人差・立地差があります)。
【パターンA:区分マンション】取得価格2,000万円、月額賃料7万円、年間賃料収入84万円。管理費・修繕積立金・固定資産税等のランニングコストを年約20万円と想定すると、実質手取りは年64万円。表面利回り4.2%、実質利回りは3.2%程度。
【パターンB:木造アパート1棟(4室)】取得価格5,000万円、月額賃料4室×6万円=24万円、年間288万円。空室率10%・管理費・修繕費等を年60万円と仮定すると、実質手取りは年約199万円。実質利回りは約4.0%程度。
【パターンC:トレーラーハウス(Airbnb運用)】初期投資を1,200万円と仮置き(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により、概ね990万〜1,500万円のレンジで変動するモデルケースです)。地方観光エリアでの運用を想定し、稼働率65%・1泊平均単価15,000円で計算します。年間売上:15,000円×365日×65%=約356万円。清掃代・プラットフォーム手数料(売上の約18%)・消耗品費・固定費等のコストを計130万円と見積もると、年間手取りは約226万円。初期投資対比の実質利回りは約18.8%(あくまでモデルケース)。
「稼働率65%」はどこから来た数字か——失敗談も含めて
稼働率65%は、実際に運用する中で「普通にやって落ち着く水準」として実感している数字です。ただ正直に言うと、立ち上げ初年度は50%前後にとどまることも珍しくありませんでした。最初から65%を前提に収支計画を組んでしまい、初年度のキャッシュフローが想定を下回った——という話は、相談を受けた40代の方の事例(モデルケース)でも繰り返し出てくるパターンです。PACOの物件でAirbnb評価4.8を維持している運用ケースでは70%超も出ていますが、それを初期計画の前提にするのは危険だと考えています。
稼働率を50%に落とすと、年間売上は約274万円、手取りは約144万円、利回りは約12%まで下がります。逆に70%なら利回りは約21%程度。この振れ幅を「自分は許容できるか」を先に考えることが出発点です。
出口が読めない投資に、どう向き合うか
区分マンションやアパートは市場流通性があります。売却価格の目安は「賃料×利回り」で一定の相場感が出せる。一方、トレーラーハウス投資の出口は現時点では流動性が低く、「いくらで売れるか」の相場が確立されていません。これは大きな不確定要素です。
ただし、木造2×4構造のトレーラーハウスは移動・転用が可能という性質を持ちます。立地が合わなければ別の場所に移設して再運用するという選択肢が取れるケースがある点は、固定資産型の不動産とは異なります。「出口=売却」以外のシナリオを持てるかどうか、という観点で評価することが現実的です。
「分散」として加えるなら、先に確認すべき2点
既にアパートと区分を持っている方がAirbnb投資を検討するとき、最初に確認をお勧めするのは「本業の忙しさ」です。長期賃貸は管理会社に任せれば月1〜2時間で済むことが多い。ただ民泊運用は、代行業者を使っても問い合わせ対応・トラブル処理のやり取りが発生します。運営に関与したくない方には、向いていない局面もあります。
次に確認したいのは「融資条件」です。既に複数の不動産ローンを抱えている場合、追加融資の審査が厳しくなるケースがあります。属性と金融機関との関係性次第で変わるため、まず自分の与信枠を確認することが先決です。
数字が良く見えるとき、最初にやること
今回のモデルケースでは、Airbnb投資(トレーラーハウス型)の利回りは長期賃貸を大きく上回る試算になりました。ただしその利回りは「稼働率」という変数に強く依存しており、ここが長期賃貸との本質的な違いです。地域の需要動向、季節性、競合の増加——これらを定期的に追い続ける覚悟があるかどうかが、投資判断の実質的な分岐点になると考えています。
数字が良く見えるとき、私はいつも「最悪の月の手取りをまず出す」ことにしています。稼働率30%・客単価10,000円で回したとき、キャッシュフローはどうなるか。そこを先に直視してから進むかどうかを決める。既存資産を持つ方だからこそできる、冷静な判断の作法だと思っています。
よくある質問
Airbnb投資の利回りは長期賃貸と比べて本当に高いのですか?
モデルケースでは実質利回り10〜20%程度が試算に上がることがありますが、稼働率・単価・コスト構造の前提に大きく依存します。稼働率が50%を下回ると、利回りは長期賃貸と大差ない水準まで落ちるケースもあります。前提条件を自分の立地・運営力に照らして組み直すことが不可欠です。
既に複数の不動産ローンを持っている場合、追加融資は難しいですか?
一概には言えませんが、金融機関の審査において既存負債は重視されます。属性や担保評価によっては追加融資が通るケースもありますし、自己資金を厚めに入れることで審査を通しやすくするという選択をとる方もいます。まずはメインバンクや付き合いのある金融機関に、現状の与信余力を確認することをお勧めします。
トレーラーハウス投資の「出口」はどう考えればいいですか?
現時点では市場流通性が低く、「いくらで売れるか」の相場が確立されていない点は正直なリスクです。一方で移設・転用が可能なケースがある点は固定型不動産にない選択肢です。「売却益」を期待するより、「運用期間中のキャッシュフローで初期投資を回収できるか」という視点で試算しておくことが、現実的な評価軸になると思います。