先日、知人のBさん(以下モデルケース・実際の相談をベースに一部再構成)から久しぶりに連絡がありました。「健司さん、正直に聞かせてほしいんですけど、トレーラーハウスの民泊って、ちゃんと数字になるんですか?」。単刀直入な人なので、こちらも正直に話しました。その会話を、できるだけそのままお伝えします。

「同じ不動産を積み上げるのが、なんか怖くなってきた」という話

Bさんは38歳。年収800万円のサラリーマンで、区分マンション2戸とアパート1棟を保有しています。ポートフォリオとしては悪くない。でも彼が気にしていたのは「融資の枠」でした。「次の物件を買おうとしたら、銀行の反応が少し変わってきた。同じ不動産を積み上げることに慎重になってきた」と。

そこで検討し始めたのが、別アセットへの分散です。株やREITは既に持っている。物理的な資産感があって、かつ利回りも見込めるものを探していた。そこで民泊×トレーラーハウスという組み合わせが視野に入ってきた、というわけです。

「動産扱いなら、融資はどうやって引くの?」

Bさんが最初に突いてきたのは融資の話でした。「不動産じゃないなら、どうやって資金を調達するの?」。これは正直、躓く人が多い部分です。トレーラーハウスは動産扱いになるケースが多く、不動産担保融資はそのままでは使えません。ただし、設備資金や事業融資として対応できるケースがあります。

初期投資の規模感は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変わりますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース/物件仕様や立地で変動)。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートも考えられますが、金融機関との事前相談は欠かせません。「融資の扱いが不動産と全然違う」という点は、Bさんもしっかりメモしていました。

ここで私自身の失敗談を一つ。以前、動産系の案件で「事業融資として通るだろう」と楽観的に動き出してしまい、金融機関との交渉に想定より2ヶ月余分にかかったことがあります。融資の打診は、物件の検討と並行して、むしろ先に動かすくらいの感覚が現実的だと今は思っています。

「利回り10〜20%という数字、どこまで信じていいの?」

Bさんが次に聞いてきたのは、よく目にする「想定利回り10〜20%」という数字の根拠でした。これも正直に話しました。前提条件によって大きく変わります。たとえば稼働率65%・1泊平均2万円・観光需要のある地方エリアという条件を置くと、表面利回り15%前後のモデルケースが試算上は出てきます。ただしこれは一例であり、立地・季節変動・競合状況によって実態は上下します。

Airbnbの評価で言えば、PACOが関わる運用案件で4.8前後を維持している実績はあります。ただ評価が高くても稼働率が安定するかは別の話で、需要のある立地かどうかの見極めが先です。「数字が良く見える条件で計算してある可能性はある。自分でも逆算してみた方がいい」と伝えました。Bさんは黙って電卓を開いていました。

「撤退できる、というのは本当に出口戦略になるの?」

数字に厳しいBさんが最後に聞いてきたのは出口でした。「売れないアセットには手を出したくない」。これは正しい問いだと思います。トレーラーハウスの動産という性質は、見方を変えると「移設・転売・他用途転換」という選択肢につながります。立地が合わなければ動かせる、というのは固定資産にはない特徴です。

ただし、移設コストは無視できません。また中古市場がまだ薄いため、不動産のように売却価格が読みやすいとは言えない。「出口の柔軟性」と「流動性の低さ」は表裏の関係です。Bさんはここで「なるほど、不動産とは違う頭で考えないといけないんだ」と言っていました。それが正直な反応だと思います。

Bさんに伝えた「次の3つの小さな動き」

話の最後に伝えたのは、「まず1台目の条件をとことん詰める」ことでした。具体的には、①想定稼働率を自分で設定して最悪ケースの収支も出してみる、②融資の相談を早めに動かす(物件検討と並行、できれば先行)、③民泊の運営フローを一通り具体的にイメージする——この3つを並行して動かしてみてください、と。新しいアセットクラスは、動いてみないと分からないことが多い。ただ、動く前に解像度を上げることには、時間をかけてでも価値があります。

よくある質問

トレーラーハウスを民泊で運用する場合、許認可は何が必要ですか?

旅館業法に基づく簡易宿所の許可、または住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出が一般的に必要とされます。どちらの枠組みで運用するかによって、年間営業日数の上限や設備基準が異なります。立地エリアの自治体ごとに条例上乗せ規制がある場合もあるため、管轄の保健所および自治体窓口への事前確認は必須です。

既存の不動産融資残高があると、トレーラーハウスの資金調達は難しくなりますか?

不動産担保融資の枠とは別の扱いになるケースが多いため、既存残高が直接の障壁になるとは限りません。ただし、総与信の観点から金融機関が総合的な判断をすることはあります。事業性融資や設備資金として相談できる金融機関の選定が、最初のステップになることが多いです。

民泊の運営は自分でやるべきですか?それとも委託した方がいいですか?

稼働率の安定を優先するなら、清掃・チェックイン対応・価格設定を含めた専門の運営代行会社に委託する方が現実的なケースが多いです。代行費用は売上の15〜30%程度が相場感として語られることが多く、手取りは減りますが手間と品質のバランスをどう見るかで判断が分かれます。PACOではPACO Stayによる運用サポートの体制があり、運営フェーズでの伴走を前提として設計されています。