iDeCoやNISAは始めた。でも、もう一歩踏み込みたい——そう感じている30代前半の方から、最近こういう質問を受けることが増えています。「宿泊施設投資って利回りどのくらい出るんですか?」。答えは「条件次第でかなり幅があります」なのですが、それだけでは不親切なので、よく聞かれる質問を4つ選んで正直に答えてみます。
「宿泊施設投資」と一口に言っても、何が違うの?
ホテルの区分所有、グランピング施設、民泊向けマンション、トレーラーハウス活用など、ひとくちに宿泊施設投資といっても形態はかなり異なります。初期投資額、手間のかかり方、融資の引きやすさがそれぞれ全然違います。
私(佐藤)が実際に運用しているのは木造2×4構造のトレーラーハウスを使った宿泊施設です。ホテル開業と比べると初期費用を抑えやすく、グランピングドームのような消耗品ベースの施設より耐久性と外観の安定感があると感じています。ただ、「どれが一番いい」という話ではなく、自分のキャッシュフロー計画に合うかどうかが判断の軸になります。
広告に出てくる「利回り10〜20%」、どこまで信じていいの?
宿泊施設投資の広告でよく見る「想定利回り○○%」という数字、私も最初は半信半疑でした。「想定」と「実績」は別物ですし、前提条件が変わればまったく違う結果になります。
ただ、構造的に利回りが出やすい理由はあります。宿泊単価は賃貸の月額家賃と比べて1泊あたりの単価を高く設定できるため、稼働率が多少低くても収益が積み上がりやすい面があります。たとえば地方の観光エリア・稼働率55〜60%・1泊平均2万円・初期投資1,200万円というモデルケースで試算すると、年間の想定利回りが10%台に乗ることがあります。あくまで試算であり、立地・季節変動・運営コストによって個人差は相当あります。
私が運用している物件のひとつは、Airbnbの評価が4.8台を維持していることもあって稼働が比較的安定しています。ただ、最初の半年は稼働率が読めず、かなり保守的な見立てをしていました。その経験からも、利回りの数字より「最悪シナリオでもキャッシュアウトしないか」を先に確認する順番をおすすめします。
節税目的で始めるのは、邪道じゃないの?
邪道ではありません。むしろ、年収550万円前後の会社員が宿泊施設投資を検討するとき、節税の観点を外すのはもったいないと思います。
トレーラーハウスは構造や税務上の扱いによって、減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれるケースがあります。取得した年に一定額を経費として計上できる可能性があり、給与所得と合算して申告することで所得税・住民税の負担が軽減されることがあります。モデルケースとして、年収550万円の会社員が1,200万円の物件を取得した場合、初年度の所得圧縮効果が数十万円規模になるケースも想定されますが、物件の仕様や申告方法によって結果は変わります。税理士への確認は必須です。
「節税で始めてキャッシュフローも育てる」という設計は理論的には成立しますが、試算の前提を正確に組み立てることが大前提です。私自身、最初の申告で減価償却の計上区分を曖昧なまま進めてしまい、税理士に修正を指摘された経験があります。節税効果を期待するなら、取得前に税理士と試算を確認する手順を省かないでください。
融資は引けるの? 自己資金はいくら必要?
これが一番「ケースによる」話です。トレーラーハウスは動産扱いになるケースが多く、住宅ローンや一般的な不動産投資ローンとは異なる融資スキームになることがほとんどです。
初期投資は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって変わりますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いというのが実感です(モデルケース/物件仕様や立地で変動)。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートも想定されますが、金利や返済期間によってキャッシュフローが大きく変わります。住宅ローンをまだ組んでいない方は、将来の住宅取得への影響も視野に入れておくことをおすすめします。
私自身、最初の物件では融資審査が想定より時間がかかり、事業開始が2ヶ月ずれました。「融資が通る」と決め打ちせず、自己資金でのスタートも並行して想定しておくことを今でも勧めています。
「もう少し詳しく知りたい」と思ったら、何から始めればいい?
宿泊施設投資の利回りは「高い可能性がある」だけでは意味がなく、「自分の条件で成立するか」を確かめることが先です。まず自分のキャッシュフロー(手取り収入、貯蓄、毎月出せる金額)を整理して、それから具体的な物件や運営モデルの試算に入る順番が、遠回りに見えて一番近道です。
疑問を一つひとつ潰していく方が、結果として判断は速くなります。この記事で「ここをもっと掘り下げたい」と感じた部分があれば、そこを起点にするのがいいと思います。
よくある質問
宿泊施設投資とアパート経営、どちらが利回りは高いですか?
一概には言えませんが、宿泊施設は1泊あたりの単価が高い分、稼働率が安定すれば表面利回りが高くなるケースがあります。一方でアパートは長期入居による安定収入が強みで、空室リスクの性質が異なります。稼働率の変動リスクを許容できるかどうかが、選択の分かれ目になることが多いです。
副業として始める場合、会社員でも確定申告は必要ですか?
宿泊業からの収入が年間20万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。また、減価償却による損益通算を活用する場合は申告が前提になります。税務処理の内容は税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
トレーラーハウスの災害リスクはどう考えればいいですか?
移動できるという構造上の特性から、水害リスクが高い区域からの移設を検討できるケースがあります。ただし実際の移動にはコストと手間がかかるため、「簡単に動かせる」と過信しないことが大切です。立地選定の段階でハザードマップを確認することが、リスク管理の基本になります。