「高利回り=売りにくい」は、あくまで"土地と建物を売る"前提の話です
区分マンションやアパートをすでに持っている方が次の一手を考えるとき、まず気になるのは利回りと出口のはずです。筆者自身、トレーラーハウス投資を調べ始めたとき、「利回り10〜20%」という数字を見て最初に思ったのは「これ、売るとき詰まるやつでは」でした。地方の築古物件で高利回りをつかんで身動きが取れなくなった話は、業界で何度も聞いてきたからです。
ただ、この常識は「土地・建物を売却する」という出口を前提にしています。トレーラーハウスは条件を満たせば不動産登記の対象外となるケースが多く、「動かせる」という性質がある。同じ物差しを当てはめると、少しズレが生じます。
では、トレーラーハウスの出口は具体的にどんな形になるのか
正直に言います。中古トレーラーハウスの流通市場はまだ薄いです。これは隠しません。ただ、出口の選択肢は売却だけではありません。「移設して別の立地で再運用する」「撤去して土地を返却する」という形が実際に検討されています。固定資産のように「売れなければどうにもならない」という詰まり方とは、構造が違います。
もちろん移設にはコストがかかり、再運用できる立地が見つかるかという現実的な問題もあります。「撤退が簡単」とは言えません。ただ、選択肢の形が異なるという点は、出口を設計するうえで知っておいて損はないはずです。
「利回り10〜20%」という数字、何が前提に入っているかを分解する
トレーラーハウス投資でよく目にする想定利回り10〜20%(モデルケース)。この数字には、いくつかの前提が重なっています。たとえば、Airbnb等での民泊運用・稼働率60〜70%・1泊あたり客室単価15,000〜20,000円・初期投資が概ね1,100万円台(モデルケース/仕様・立地により変動)という条件が揃ったとき、表面利回りとして10%台後半が試算されるケースがあります。
ただし稼働率が50%を下回ったり、清掃費やAirbnbのプラットフォーム手数料(概ね15〜20%程度)を差し引いた実質ベースで見ると、数字は当然変わります。区分マンションで実質利回りを精緻に計算してきた経験がある方なら、同じ目線でトレーラーハウスの試算も精査できるはずです。むしろその習慣がある人のほうが、正確に評価できます。
余談ですが、筆者が初めて試算を見たとき、清掃費を月次固定で見ていたのに実際は稼働連動だと気づかず、実質利回りを2〜3ポイント高く見積もっていました。計算式に何が入っていて何が入っていないかを確認する習慣は、やはり大事です。
既存ポートフォリオに組み込むとき、利回り比較だけでは見えない論点がある
アパートや区分マンションをすでに持っている方がトレーラーハウスを検討するとき、「減価償却のサイクル」が論点になることがあります。木造2×4構造のトレーラーハウスは法定耐用年数が比較的短く、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースがあります(税務上の扱いは個別に税理士への確認が必要です)。
モデルケースとして、年収800万円のサラリーマンで既存の不動産所得もある状況を想定すると、所得の分散と減価償却タイミングの設計が効いてくる場合があります。ただしアパートの残耐用年数や既存の減価償却状況によっても変わるため、「利回りの数字だけで比べる」のではなく「既存ポートフォリオとのセット効果」で考えると、見え方が変わることがあります。
「買うべきか否か」より先に、今の自分のポートフォリオを整理する
結論を急ぐより、まず既存物件の残債・残耐用年数・年間キャッシュフローを整理することが先です。そのうえでトレーラーハウスを加えた場合のシミュレーションを複数パターン作り、最悪ケースで回るかどうかを確認する。この順番が、数字に厳しい投資家の方には合っているはずです。
PACOでは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、その全体像を把握したうえで試算を依頼いただくことが可能です。数字を自分で確認してから動きたい方に、向いている相談の仕方だと思っています。
よくある質問
トレーラーハウスはアパートと比べて融資は通りにくいですか?
一般的に、不動産担保融資の対象にはなりにくいケースが多いです。ただし、事業性ローンや一部の金融機関での取り扱いがあるケースもあります。融資条件は個人の属性・資産状況・取引金融機関によって大きく異なるため、複数機関に確認することをお勧めします。「融資がつかないから諦める」という前に、選択肢の幅を確認してみてください。
利回り10〜20%という数字は、諸費用込みの実質利回りで出ていますか?
試算の多くは表面利回りベースです。清掃費、プラットフォーム手数料(Airbnbであれば概ね15〜20%程度)、メンテナンス費用、固定費を差し引いた実質ベースで計算すると数字は変わります。既存物件の実質利回りを把握している方なら、同じ手法でトレーラーハウスの数字も精査してみてください。比較するなら、定義を揃えることが前提です。
出口の流動性が低いなら、何年での回収を想定すべきですか?
売却差益を前提にした計画は不確実性が高いため、運用期間中の累積キャッシュフローで初期投資を回収できるかどうかを軸に試算するのが堅実です。モデルケースでは稼働率60〜70%・客室単価15,000〜20,000円の前提のもと、10年以内での回収を目指す試算が多く検討されています。ただし稼働率・単価・コスト構造によって変わるため、最悪ケースのシナリオも必ず作ることをお勧めします。