区分2戸とアパート1棟。この組み合わせを持っている方なら、「次の一手は収益性か、節税効果か」という問いが頭から離れないことがあるかもしれません。編集部がオーナーへの取材を重ねる中でも、30代後半でこの問いに直面するケースが多く見られます。トレーラーハウスの検討が始まるきっかけとして多いのが、減価償却のスケジュールを整理しなおすタイミングです。
「また不動産を買う」前に、手元の減価償却が終わる年を確認しましたか
木造アパートの耐用年数は22年。築年数によっては、減価償却の恩恵がそろそろ薄れてくる時期に差しかかっているケースがあります。RC区分マンションは耐用年数47年と長い分、年間の償却額は取得価額1,200万円でも約25〜26万円にとどまります。ポートフォリオ全体で見たとき、「黒字が課税所得にそのまま乗っかる」フェーズが近づいている方は少なくありません。
ここでもう1棟木造アパートを追加すれば、減価償却は積み増せます。ただ、融資総額も増え、管理コストも増えます。「別アセットで分散」という選択肢をシミュレーションに加えてみると、トレーラーハウスという選択肢が浮かび上がることがあります。
耐用年数4年——この数字が何を意味するか
トレーラーハウスは「車両」として扱われるため、法定耐用年数が4年とされるケースがあります(構造・仕様・登録方法によって異なります。実務では税理士への確認が必須です)。取得費用を4年で償却できる可能性がある、ということです。
たとえば取得価額を1,200万円とした場合、定額法で計算すると年間の償却額は約300万円。これが4年間続く計算になります。同じ1,200万円のRC区分マンションの年間償却額(約25〜26万円)と比べると、課税所得の圧縮タイミングが根本的に変わります。
なお、耐用年数は仕様の確認不足があると税理士から差し戻しになるケースもあります。「4年で確定」と思い込んで進めるのは危険です。耐用年数は自己判断で決め打ちしないことが出発点です。
実際のシミュレーションで内訳を見てみます(あくまでモデルケース)
前提条件
・取得価額:1,200万円(PACO INVESTの木造2×4構造モデルを参考。同ラインは概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く、仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)
・耐用年数:4年(定額法、税理士確認済みの前提)
・年間売上:宿泊単価1万5,000円×稼働率60%×365日=約328万円
・運営費(清掃・OTA手数料・管理費など):売上の約35%=約115万円
・年間営業利益(減価償却前):約213万円
・減価償却費:300万円/年
・税務上の所得:213万円-300万円=▲87万円(赤字)
税務上は▲87万円の損失が出る計算になります。年収800万円の給与所得と損益通算できる場合(適用条件があります。後述)、課税所得を圧縮する効果が想定されます。実効税率を30%と仮定したモデルケースでは、節税効果は年間で約26万円、4年累計で約104万円という試算になります。
キャッシュフローは赤字ではありません。実際の現金収支は「売上328万円-運営費115万円=約213万円のキャッシュイン」です。減価償却は現金の出ない費用なので、帳簿上の損失と手元のキャッシュは別の話になります。「税負担が軽減される一方、キャッシュも手元に残る」という構造の正体がここにあります。
稼働率・運営費率・融資条件・個人の税率によって数字は大きく変わります。実際の試算は必ず税理士・ファイナンシャルプランナーと行ってください。
4年後、「償却が終わる」ときどうなるか
4年後は減価償却が終わるので、税務上の恩恵はなくなります。そのとき手元に残るのは、①4年間の営業利益の累積(モデルケースで約852万円のキャッシュ)、②節税効果の累積(約104万円)、③建物の残存価値と売却・移設・用途変更のオプションです。
トレーラーハウスは移設できます。撤退するにしても別立地で再稼働するにしても、固定した建物よりオプションが残ります。これを出口の柔軟性と見るか、転売価値の不確かさと見るかは評価が分かれます。少なくとも「選択肢が残る」という点は、固定資産との違いとして認識しておく価値があります。
この試算から、次に確かめるべきこと
数字を見て「悪くない」と感じた方には、次の3点を確認することをお勧めします。①自分の実効税率を確認する(税率が低いと節税効果も小さくなります)。②融資条件を確認する(自己資金の組み方で利回りの意味が変わります)。③立地の稼働率前提を検証する(都市近郊と山間部では客付けの難易度が違います)。
PACO INVESTの運用実績(Airbnb評価4.8)はひとつの参考にはなりますが、立地が違えば稼働率の前提は変わります。「自分の案件でこの数字を出せるか」が問いの本質です。派手な数字より、再現条件の厳しさを先に確かめてください。
よくある質問
耐用年数4年は必ず適用されますか?
トレーラーハウスを「車両」として扱う場合、法定耐用年数4年が適用されるケースがあります。ただし、構造・仕様・設置状況・登録方法によって税務上の扱いが異なる場合があります。「4年で確定」と思い込んで進めるのは危険です。必ず事前に税理士へ確認してください。
損益通算は給与所得でも使えますか?
不動産所得の赤字は、一定の条件を満たす場合に給与所得と損益通算できます。ただし「不動産所得の損失のうち、土地の取得に係る借入金利子に相当する金額」は通算できないなど細かい制限があります。適用条件の確認は税理士との個別相談が前提になります。
初期投資はトータルでいくら見ておけばいいですか?
PACO INVESTの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。加えて、設置場所の地代・電気・排水などのインフラ整備コストが別途かかるケースもあります。「トータルで何円必要か」を把握するには、個別の概算見積もりを取ることが先決です。