区分マンション2戸とアパート1棟を持ち、次をどうするか——この局面で「中古アパートをもう1棟」という選択肢が浮かぶのは自然な流れです。ただ、同じアセットを重ねることが本当に最適かどうかは、比較軸を一度整理してからでも遅くないと思っています。

余談ですが、以前ある相談者の方から「1棟目と同じエリアで2棟目を買いました」という話を聞いたとき、私は最初「分散できている」と思い込んでいました。ところが詳しく聞くと、同じ沿線・同じ築年帯・同じ入居者層で、リスクの構造がほぼ丸ごと重複していたのです。「棟数が増えること」と「分散すること」は、必ずしも同じではない——この当たり前のことを、改めて意識させられた経験でした。

同じ不動産を増やすと、何が「集中」していくのか

アパート1棟を持っている方がもう1棟追加する場合、リターンの期待値だけでなく、リスクの集中も同時に積み上がります。空室リスク、修繕リスク、金利上昇リスク、流動性の低さ——これらはアセットクラスとしての不動産に共通する構造的な特性です。

「そのリスクは織り込み済みだ」という方も多いと思います。ただ、1棟目と2棟目では「織り込む対象」の質が変わってきます。1棟目は学習コストを払いながら運用してきたはずですが、2棟目以降は管理の手間も含めて複合的に積み上がります。たとえば、1棟目で年間50〜80万円程度の修繕費が発生している場合、2棟目を加えることでその負担が単純に倍になるだけでなく、タイミングが重なるリスクも生じます。この点はあらかじめ意識しておく価値があります。

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中古アパート・株・REIT・定期預金、それぞれが"向いている局面"はどう違うか

優劣ではなく「どの局面に向いているか」という軸で、主要な選択肢を整理します。

中古アパート投資

実質利回りは物件・立地・修繕状況によって大きく変わります。表面利回りが8〜12%と表示されていても、管理費・空室損・修繕積立を控除した実質ベースでは5〜7%台になるケースは珍しくありません。融資を使ったレバレッジと減価償却による所得圧縮効果が活きる局面があるのは確かですが、出口(売却)時の価格下落リスクも残ります。特に築古・地方物件は流動性が低い点は忘れないでください。

株式・インデックス投資

流動性が高く、少額から分散できるのが強みです。長期・積立という前提なら年平均リターン5〜7%程度(過去実績ベース)が参照されますが、短期の値動きは大きい。「レバレッジ×節税」の組み合わせは作りにくく、年収800万円クラスの所得圧縮を目的とした運用には向きません。

REIT(不動産投資信託)

配当利回りは4〜5%台が多く、実物不動産より管理の手間がかかりません。ただし、金利上昇局面では価格が下がりやすく、自分でコントロールできる余地は限られます。「不動産を持つ感覚」とはかなり異なる運用形態です。

定期預金・現金保有

2024〜2025年にかけて金利は上昇基調ですが、インフレ率を考慮した実質リターンはまだ低水準です。次の物件取得に向けた「待機資金」として位置づけるのが現実的で、それ自体を運用と捉えるのは難しい局面が続いています。

「別アセット」として見た場合、トレーラーハウスはどこに位置するのか

既存の不動産ポートフォリオと性質の異なるアセットを探している方から、トレーラーハウス投資について聞かれることがあります。PACO INVESTが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスは、Airbnb等での短期貸出(PACO Stayによる運用サポート)を前提にした設計で、Airbnb評価4.8台の運用実績があります。

初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース/物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により変動)、想定利回りは10〜20%という数字が出ることもありますが、ケースによって大きく異なります。宿泊需要のある立地かどうかの見極めが非常に重要で、「固定賃料の長期賃貸とは全く性格が違う」という点は、正直にお伝えしておきます。

中古アパートと比べて優劣があるわけではありません。「移設・撤去が比較的しやすい」「建物の法的分類が異なる」という構造上の違いが、ポートフォリオ内でどういう意味を持つかは、個々の状況次第です。

次の一手を決める前に、手元で確認しておきたい3つの問い

数字に厳しい方ほど、以下を自分に向けてみる価値があります。「今持っているアパートの実質利回りは、取得時の想定と今で乖離していないか」「次の融資で金利条件はどう変わりそうか」「もし1棟を手放す必要が生じたとき、売れる状態にあるか」——これらへの答えが明確であれば、次のアクションも自然に絞れてくるはずです。

中古アパートのもう1棟が最適解である場合も十分ありえます。ただ、それを「慣れているから」ではなく「比較した上で選んだ」と言えるかどうか。そこが、1棟目と2棟目の間にある実質的な差だと思っています。

比較は、決断を急かすためではなく精度を上げるためにある

区分2戸+アパート1棟という実績を積んだ方が次を考えるとき、「同じことをもう一度」か「別の軸を足す」かは、どちらが正解かではなく、ポートフォリオ全体のバランスをどこに持っていきたいかで変わります。今回の記事で優劣をつけることは意図的に避けました。比較の解像度を上げることが目的です。

中古アパート以外のアセットにも興味があれば、PACO INVESTの個別相談(無料)で具体的な数字を持ち寄って話すのが一番早いと思います。勧誘ではなく、情報整理の場として使っていただければと考えています。

よくある質問

中古アパートとトレーラーハウス投資では、融資のつきやすさに差はありますか?

一般的に、中古アパートは金融機関の融資実績が豊富で、条件が整えばスムーズに進むケースが多いです。一方、トレーラーハウスは物件分類や担保評価の扱いが金融機関によって異なり、融資条件はケースバイケースになりやすい傾向があります。「融資環境」という軸だけで見れば、中古アパートの方が選択肢は広いといえるかもしれません。

既にアパートを1棟持っている場合、2棟目の融資審査に影響はありますか?

既存の借入状況は次の融資審査に影響します。返済比率(年間返済額÷年収)が審査基準を超えている場合、新規融資が難しくなるケースがあります。年収800万円の方であれば一定の余力がある場合も想定されますが、金融機関ごとに基準が異なるため、現状の借入残高と返済額を整理した上で早めに相談することをお勧めします。

REITと実物不動産を組み合わせることに意味はありますか?

流動性と非流動性のバランスをとる観点から、組み合わせを検討する方もいます。実物不動産は「動かしにくいが節税効果が出やすい」、REITは「流動性は高いが自分で操作できる余地が少ない」という性質の違いがあります。どちらが正解ということはなく、いざというときに現金化できる資産をどの程度確保しておきたいか、という設計の問題です。