相続した郊外の遊休地に毎年固定資産税だけが出ていく——そういう状況で「中古アパート投資はどうか」と勧められたという方からの相談が増えています。新築より手が出しやすい印象がある中古アパートですが、土地活用と組み合わせるとなると、話は少し複雑になります。今回はよく寄せられる質問に沿って整理します。
「中古アパートを買う」と「自分の土地を使う」は、そもそも別の話では?
鋭い疑問です。厳密にいうと、「既存の中古アパートを購入する」のと「自分の土地にアパートを建てる」は、別の話になります。ただ現場では、この二つが混在したまま提案されることがよくあります。
相続した土地を持つ方に「中古アパート投資」として持ちかけられるケースの多くは、「他人の土地についている中古物件を買う」という話です。この場合、土地と建物をセットで取得するため、手持ちの遊休地は別に残ったままになります。固定資産税対策にはなりません。最初に「どちらの話をしているのか」を確認するだけで、ずいぶん整理されます。
中古アパートを「買う」場合、何が一番のリスクになりますか?
仲介の現場で15年見てきて、一番印象に残っているのは「修繕費の読み間違い」です。中古物件は購入価格が抑えられる分、購入後に大規模修繕のタイミングが来やすい。屋根・外壁・給排水の交換が重なると、あっという間に数百万円単位の出費になります。
実際、私自身も初期のころに「表面利回りだけ見て修繕履歴を深く確認しなかった」という苦い経験があります。モデルケースとして、築20年・6室・購入価格3,000万円の物件で表面利回り8%でも、修繕積立・管理費・空室損・ローン返済を引いた手残りが想定の半分以下になるケースは珍しくありません。「修繕履歴の開示を求めること」と「修繕費を積み増した上での再試算」は、購入前の必須作業です。
相続税の対策として、中古アパート投資は本当に効くのですか?
「効く面もある、ただし万能ではない」というのが正直なところです。自分の土地にアパートを建てた場合、その土地は「貸家建付地」として評価減が適用されるケースがあり、建物部分も相続税評価額が時価より低く算定されることが多い。相続税対策として機能する面はたしかにあります。
ただし、中古アパートを「購入」する場合は、手持ちの遊休地の評価には直接影響しません。自分の土地を使って建てるか、他人の土地付き中古物件を買うかで、相続税対策の効き方はまったく変わります。減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれる場面もありますが、個別の税務状況によって効果は異なるため、税理士との連携なしに「中古アパートで節税できる」と判断するのは危険です。
郊外の遊休地なら、アパートでなくてもいいのではないですか?
十分にあり得る選択肢だと思います。郊外に大型アパートを建てると、空室リスクが長期にわたって続くケースがあります。地方の案件を見ていて「建物が大きすぎて出口がなくなった」事例を何度も目にしてきました。
最近ご紹介することがある選択肢のひとつに、木造2×4構造のトレーラーハウスを使った土地活用があります(PACO INVESTが扱うタイプです)。1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。小さく始めて様子を見られる点や、撤去・移動の自由度がある点は、郊外遊休地の活用としてひとつの考え方になります。立地・規模・税務状況によって向き不向きがあるため、これが唯一の答えというわけではありません。
では、最初に何から動き始めればいいのでしょうか
一番もったいないのは、「どうすればいいかわからないまま固定資産税だけ払い続ける」状態です。ただ、あわてて提案を受け入れるのも違う。まず手持ちの土地の評価額と固定資産税額を改めて確認し、次に税理士に相続税のシミュレーションを依頼する——この二段階が最初の一歩として現実的です。
「中古アパートを買う」のか「自分の土地を使う」のかは、その後に整理すれば十分です。方向が決まってから物件や商品を比較しても、遅くはありません。
よくある質問
中古アパートの利回りはどのくらいが目安ですか?
表面利回りだけでは判断が難しいというのが正直なところです。築年数・立地・空室率・管理費・修繕費の前提によって手残りは大きく変わります。モデルケースとして、表面利回り8〜9%の物件でも諸費用を引くと実質3〜4%台に落ち着くことが想定されます。提案書の数字は「最も良い条件の試算」であることが多いため、自分でコストを加えた再試算をすることをお勧めしています。
郊外の土地はアパートに向いていないと聞きますが、本当ですか?
立地次第です。ただ、人口減少が進む地域では入居者の確保が長期的に難しくなるリスクがあります。「今の入居率」だけでなく、5〜10年後の人口動態を確認することが重要です。観光地周辺や工業団地近接のエリアと、そうでないエリアでは判断が大きく異なります。
相続対策として動き始めるなら、最初に相談すべきは誰ですか?
税理士と不動産の両方に精通したアドバイザーが理想ですが、なかなかいないのが現実です。まず税理士に相続税の現状シミュレーションをしてもらい、「土地を活用することで評価がどう変わるか」を確認するのが最初のステップとして有効です。不動産の提案を受けるのはその後の方が、判断がぶれにくくなります。