区分マンションとアパートをすでに持ちながら、規模をそのまま拡大するか、アセットを分散するか——この判断は、利回りの数字を眺めているだけではなかなか解けません。今回は、不動産投資を続けている方からよく受ける質問を4つ取り上げ、編集部の視点で整理します。
「表面利回りと実質利回り、どちらで判断すればいいですか?」
どちらも使います。ただし、判断の目的が違います。表面利回りは物件を比較するときの入口として使い、実質利回りは「本当にキャッシュが残るか」を検討する段階で使う、という整理が実務的です。
表面利回りは「年間満室想定家賃収入 ÷ 物件価格」で計算されます。管理費・固定資産税・修繕積立・空室ロス・ローン金利などは一切含まれていません。表面8%と記載された物件でも、諸経費を加味した実質利回りは5〜6%台に落ちるケースは珍しくなく、さらにローン返済後の手元キャッシュ(ローン後利回り)まで計算すると3%を下回ることもあります。
「利回り8%のアパートを買ったのに手元が増えた感じがしない」という状況は、この三層の数字のどこを見ていたかの問題である場合が多いです。よくある失敗パターンとして、物件購入の判断を表面利回りだけで行い、ローン後利回りを事前に試算していなかったというケースが挙げられます。
築古物件の高利回りは、どの要因が数字を押し上げているのか
利回りが高い理由を分解する必要があります。築古物件は価格が下がっているぶん表面利回りが高く見えますが、その高さには「修繕リスク」「融資条件の厳格化」「売却のしにくさ」が含まれていることがあります。
融資面では、築古になるほど金融機関の評価額が下がり、融資期間が短縮されます。融資期間が短いとローン返済額が増えるため、実質利回りが高くても毎月のキャッシュフローはむしろ薄くなるケースもあります。また、売却時には同じ「出口が細る構造」を次の買い手も経験するため、売りにくくなる傾向があります。
モデルケース(架空)として、築35年・表面利回り10%のアパートを購入した場合、融資期間が10年に限定されると月々の返済負担が重くなり、ローン後利回りが1%台に落ちるという試算も想定されます。利回りの高さを見たとき、「どの要因が数字を押し上げているのか」を分解する習慣が、判断の精度を上げます。
別アセットへの分散を検討するとき、何を軸に比較するか
編集部が整理するとすれば、①流動性(換金しやすいか)、②管理の手間(自分の時間を使うか)、③税の扱い(償却をどう使えるか)、④出口の形(売却・乗り換え・保有継続のどれが現実的か)——この4軸を並べることが多いです。
たとえばREITは流動性は高いですが、税の優遇や減価償却の活用は限定的です。区分マンションの追加購入は管理の手間を委託できますが、1棟アパートに比べると融資の組み方と出口の選択肢が変わります。どのアセットが優れているかではなく、「今の自分のポートフォリオで何が不足しているか」に照らして選ぶ視点が、数字に厳しい方ほど有効です。
グランピング施設は、アパートと何が根本的に違うのか
大きく違う点は、①収益の変動構造、②法的な位置づけ、③資産としての性格、の3つです。
アパートは月額賃料が基本で、入居者がいる限り収益は比較的安定的です。一方、グランピング施設は1泊単位の宿泊料が収益源になるため、稼働率と客単価が直接影響します。当社が販売するPACO STAY(木造2×4工法のトレーラーハウス客室を1棟単位で購入する商品)の場合、稼働率35%・1泊32,000円という前提での試算で想定利回り7.7〜14.6%(保証なし)と試算されていますが、稼働率によって月額送金額は大きく変動します(モデルケース:25%稼働なら月108,667円、45%稼働なら244,933円という試算)。
法的な側面では、旅館業の許可が必要になる点がアパート賃貸とは異なります。PACO STAYの場合は許可取得・予約・清掃・リネン・メンテナンスまでの運営を当社グループが担う設計ですが、事業リスクの性質がアパート経営とは異なることは理解した上で検討する必要があります。
また、PACO-TRAILERは車両運搬具として動産に分類されるため、減価償却の法定耐用年数や融資の扱いがアパートとは異なります。税の面での働きが違うアセットを組み合わせることに関心がある方には、税理士への確認を前提に、参照する価値がある選択肢の一つといえるかもしれません(分割払いの利用は審査があり、節税効果は個人の課税状況によって異なります)。
次の一手を決める前に、現在の数字を再整理できているか
利回りという数字は、見る層によって全く違う意味を持ちます。表面・実質・ローン後・税引き後——どの利回りを基準にするかで、同じ物件の評価は変わります。アパートを1棟持っている方ほど、次の購入で「慣れ」による盲点が生まれることがあります。
現在保有している物件のキャッシュフローと出口戦略を数字で再整理し、そこに何が不足しているかを明確にしてから比較するという順序が、結果として判断を速くするケースがあります。当社のPACO STAYについて詳しく知りたい方は、販売中のプロジェクト一覧からご覧いただけます。
よくある質問
アパートの実質利回りは何%を目安に考えればいいですか?
「何%が合格」という一律の基準は存在しません。融資金利・エリアの空室率・修繕計画・出口想定によって判断軸が変わるためです。編集部としては、表面利回りから管理費・固定資産税・修繕積立・想定空室ロスを差し引いた実質利回り、さらにローン返済後の手元キャッシュ(ローン後利回り)の3層を必ず試算し、最も悲観的なシナリオでもキャッシュフローがプラスを維持できるかを確認することを一つの方法として挙げられます。税理士や融資担当との数字の擦り合わせも有効です。
グランピングへの投資は、アパートと税の扱いが違うと聞きました。具体的にどう違いますか?
アパートの建物は木造であれば法定耐用年数22年(定額法)が基本です。PACO STAYのPACO-TRAILERは車両運搬具として動産に分類され、法定耐用年数4年・定率法での償却となります。そのため、購入初期の数年間に大きな償却費を計上できる可能性があり、他の所得が多い方ほど課税所得の圧縮効果が大きくなるケースがあります。ただし税効果は個人の課税状況に依存するため、具体的な数字は必ず担当税理士にご確認ください。
PACO STAYの出口戦略はどう考えればいいですか?
PACO STAYのモデルケース(架空)では、減価償却が終わる4年目以降に売却し、中古(耐用年数2年)へ乗り換えるという設計を想定しています。売却額と残債が同額という前提の架空試算では、5年ごとの乗り換えを繰り返した10年間で手元に残る現金が累計で約480万円というモデルケースがあります(前提:真岡プロジェクト・個人・課税所得1,800万円超の場合)。これはあくまで試算であり、実際の稼働率・売却条件・税率によって結果は変わります。保証を意味するものではありません。