「株と投信はある程度持っているけど、毎年の税負担がじわじわ増えていて、そろそろ動かないとまずいと思って」——先日、年商1.5億円・個人年収1,800万円超の経営者Kさん(40代・相談を受けた方のモデルケース)からこんな相談を受けました。不動産は完全に未経験。でも「何かしなければ」という感覚だけはある。そういう状態のKさんと一緒に考えたプロセスを、今日は正直に書いてみます。
「とりあえず区分マンション」と言えなかった、経営者ならではの引っかかり
Kさんが最初に候補に挙げていたのは区分マンションか一棟アパートでした。ただ、話を聞くうちに二の足を踏む理由がはっきりしてきました。融資審査に数カ月かかること、管理組合や修繕積立金など事前に読みにくいコストが積み重なること、そして「いざとなったとき売れるか」という出口の不透明さです。スピードと確実性を事業判断の基準にしている経営者からすると、不動産特有の「決まるまでの長さ」がどうしても引っかかる、と。
そこで私が比較軸として提示したのが、遊休地を使ったトレーラーハウス活用でした。Kさん自身の土地ではなく、地方の土地オーナーと提携するスキームです。「土地を持っていなくても使える土地活用がある」と伝えたとき、Kさんは少し意外そうな顔をしていました。正直なところ、私自身もこのスキームを初めて調べたとき、「それは土地活用と呼んでいいのか」と一瞬混乱した記憶があります。
「撤去できる構造物」が経営判断として機能する理由
トレーラーハウスは車両扱いのため、建築確認が不要なケースがあります(立地・用途・仕様によって異なります)。これが意味するのは、原状回復のコストと時間が通常の建物と大きく異なるということです。「うまくいかなければ撤去して終わり」という出口設計が最初から存在することは、経営判断として小さくない話です。
PACOが扱うのは木造2×4構造のトレーラーハウスで、Airbnb等での宿泊運用(PACO Stay)を前提とした設計になっています。Airbnb上の評価が4.8台に達した物件の事例もありますが、これは運用状況の一例であり、立地やシーズンによって結果は変わります。Kさんには「どのくらい稼げるか」より「どんな条件のときに数字が動くか」を先に把握してほしい、とお伝えしました。
「税負担を減らしたい」という要望に、なぜ「節税できます」と答えなかったか
Kさんが最も関心を持ったのは税負担の部分でした。トレーラーハウスは償却資産として扱われるため、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます。ただし、個人と法人どちらで保有するかによって効果の出方は変わりますし、そもそも現在の税務状況によって結果は大きく異なります。私が「節税できます」と言わなかったのはそのためです。
初期投資の目安は、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)。仮に1,200万円で取得し法定耐用年数4年で償却する場合、年間300万円の経費計上が想定されますが、実際の税効果は税率・保有形態・その他の所得との兼ね合いで変わります。Kさんには、まず1台分の試算を顧問税理士と一緒に走らせてみることをすすめました。
後悔するパターンはだいたい2つ——動く前に確認すべき3点
経営者がこの手の話で後悔するのは、「数字だけ見て立地を確認しなかった」か「初期費用の内訳を詰めなかった」かのどちらかです。Kさんには、検討前に次の3点を押さえてほしいとお伝えしました。①どの地域の需要を狙うか(観光地型か、アクセス重視型か)、②初期費用に何が含まれていて何が含まれていないか、③運用フェーズの管理をどこが担うか。この3点がクリアになるまでは、資料の数字は参考値として眺めるだけにしておくのが無難です。
「まず現地を見る」という、契約でも申し込みでもない最初の一歩
Kさんとの話は最終的に「一度、現地を見に行こう」という結論になりました。土地活用は情報を集めるほど選択肢が増えて迷いやすくなります。ただ、現地の空気感や需要の肌感覚は、どんな資料にも載っていません。地に足のついた判断をするために、まず1カ所だけ見る——それが、経営者としての確かめ方に一番近いと思っています。
よくある質問
土地を持っていない経営者でも検討できますか?
土地オーナーとの賃貸借契約や提携スキームを通じて、自己所有地なしで検討できるケースがあります。ただし、土地の権利関係や契約条件の確認は必須です。弁護士・税理士への事前相談をおすすめします。
法人名義での取得は可能ですか?
法人名義での保有を検討されるケースはあります。個人保有と比べて減価償却の扱いや税効果が異なる場合がありますので、必ず顧問税理士と確認した上で判断してください。「法人名義のほうが得」と一概には言えません。
Airbnb運用で稼働が落ちる時期はどう考えればいいですか?
宿泊需要には季節変動があります。オフシーズンの稼働率低下を前提に、年間収支でどう着地するかを試算しておくことが重要です。「最悪ケースでも耐えられる数字か」を先に確認してから動くのが、経営者らしい判断の順序だと思います。