先日、知人のCさん(45歳・中小企業経営者、年商約1.5億円/以下モデルケース)から連絡がありました。「土地活用の利回りって実際どうなの?」という相談で、株や投資信託はすでに持っており、次の一手を探していた段階です。最初のメッセージには「節税になるって本当?」という一文も添えられていました。
「利回り10〜15%」と言っていたCさんが、前提を一つも揃えていなかった件
「どんな利回りを期待していますか?」と聞き返したところ、「10〜15%くらいあればいい」という答えが返ってきました。ただ、その数字には前提がまったく含まれていませんでした。利回りには「表面」と「実質」があり、さらに「投資総額に対するもの」か「自己資金に対するもの」かで、同じ15%でも意味がまるで変わります。
土地活用で語られる利回りは、投資総額(土地・造成・建築・設備費用の合算)に対する年間収益の割合を指すのが一般的です。ただ、その「投資総額」の中身が案件によって大きく異なります。駐車場、アパート、商業施設、トレーラーハウス——それぞれ初期費用の構成が違うため、同じ「表面利回り15%」でも、前提を揃えなければ比較になりません。Cさんは数字の読み方を知っている経営者でしたが、不動産の入口では、この前提合わせを飛ばしてしまうことが多いようです。私自身も、賃貸仲介の仕事を15年やってアパートに入ったとき、最初の1棟で「実質利回りを計算し直したら表面の7割しかなかった」という経験をしています。
Cさんがアパートではなく別の選択肢を調べ始めた、現実的な理由
Cさんは法人でまとまった利益が出ており、個人でも高い所得税率がかかる状況でした。アパート経営も検討しましたが、「融資審査が想像より時間がかかる」「想定していた利回りが出る立地がほとんど残っていない」という現実にぶつかり、別のアプローチを探し始めたそうです。そこで紹介したのが、トレーラーハウスを活用した土地活用という考え方でした。
私がトレーラーハウスに関心を持ったのは、「固定資産税の扱いが異なる場合がある」「撤去・移動が可能な構造なので出口を設計しやすい」という点からです。現在自分で運用しているのは2棟だけで、大きな成功談を語れる立場ではありません。ただ、アパートとは資金の動き方が異なることは、身をもって感じています。
Cさんが「あ、そういうことか」と言ったのは、利回りの話ではなかった
Cさんと一緒に、いくつかのモデルケースを並べて整理しました。以下はあくまで試算の一例です。
【モデルケースの前提:地方圏・観光需要のある立地・Airbnb等の短期宿泊での運用を想定】トレーラーハウス1台あたりの初期費用は、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって幅があり、概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いようです(物件仕様や立地で変動します)。稼働率や宿泊単価は運営方法によって大きく異なりますが、想定利回り10〜20%という数字が出てくることもあります。これはモデルケースであり、実際の結果を保証するものではありません。
Cさんが「あ、そういうことか」と言ったのは、この利回りの数字ではなく、「減価償却」の話をしたときでした。木造構造のトレーラーハウスは法定耐用年数が短いケースがあり、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されることがあります。「利益が出た年に動けば、収益と節税が同時に動く可能性がある」という視点は、Cさんのような経営者には響きやすいようでした。ただし税務上の取り扱いは個別の状況や税理士の判断によりますので、必ず専門家への確認が必要です。
意思決定が速いCさんが、最後に確認した3つのこと
Cさんは「スピードと確実性を重視する」タイプでした。意思決定が速い経営者ほど、後から「あの確認を飛ばした」と後悔するケースを私はよく見ています。Cさんが最終的に確認したのは、①運用中の管理体制(誰が稼働率を維持するのか)、②撤退した場合のコスト感、③税理士との連携が取れる体制かどうか——この3点でした。
PACOの場合、Airbnb等を活用した宿泊事業(PACO Stay)として伴走する仕組みがあり、Airbnb上での評価実績(4.8超)を持つ運用サポートが提供されています。ただ、私はCさんに「まずは1棟分の数字を自分の税理士に持ち込んで、試算してもらってから判断してください」と伝えました。土地活用の利回り議論は、自分のバランスシートに当てはめて初めて意味を持ちます。
「比較する前に、何を比較しているかを揃える」という順番の話
Cさんに限らず、土地活用の利回りが気になっている方に私がお伝えしているのは、まず「どの数字を比較しているか」を整理してほしいということです。表面か実質か、投資総額ベースか自己資金ベースか。そして、その利回りが自分の税務状況や資産構成の中でどう機能するか。大きな動きをする前に、小さな試算から始めることをお勧めしています。具体的な資料が必要な方は、PACOまでお気軽にご連絡ください(投資の意思決定は必ずご自身と専門家の判断のもとでお願いします)。
よくある質問
アパートとトレーラーハウス、利回りの前提はどこが違うのですか?
一概には比較できませんが、アパートは長期・安定収益を想定しやすい一方、初期投資が大きくなりやすく、土地・建物の評価によっては融資上限に達しやすいケースがあります。トレーラーハウスは短期宿泊(Airbnb等)との親和性が高く、立地次第では想定利回りが高く出るケースもあります。ただしどちらも、前提条件や運営体制によって結果は大きく異なりますので、個別の試算が不可欠です。
減価償却の効果は、法人と個人でどちらが出やすいですか?
個人の税務状況や法人の決算内容によって異なります。一般的に、高い税率がかかるタイミングで減価償却費を計上できると所得圧縮の効果が出やすいとされますが、税務上の取り扱いは複雑です。「節税になる」と断言するのではなく、「自分のケースで機能するか」を税理士と確認することを強くお勧めします。
トレーラーハウス投資の初期費用は、どのくらいの幅で見ておくべきですか?
物件の仕様・サイズ・立地・付帯工事(造成・電気・水道など)によって変動します。モデルケースとして検討される際は、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで試算されることが多いようですが、あくまで一例であり、上下することがあります。正確な費用感を把握するためには、個別の現地条件を踏まえた見積もりが必要です。