株式も投資信託もREITも、すでに手元にある。でも、どこか「同じ方向を向いている資産」という感覚が拭えない——そういう相談が増えています。年収1,800万円クラスの経営者が次に動くとき、選択肢は意外と絞られます。今回は民泊投資を含む各選択肢を並べながら、「何を解決したいか」によって答えが変わる話をします。
「分散している」と思っていたら、2020年3月に全部が同時に下落した話
株式・投資信託・REITは、収益の源泉がいずれも「市場の値動き」にあります。2020年3月の急落局面で、「分散しているつもり」だったポートフォリオが一斉に下落した——という経験をした方は少なくないでしょう。資産クラスの種類より、リターンの源泉が異なるかどうかのほうが、分散の本質に近いと考えています。
不動産系の収益源泉は「人が使う・泊まる・住む」という実需です。市場が下がっても、物件が稼働していれば現金は入ってきます。これは理屈ではなく、筆者(佐藤)がアパート1棟を運用していた時期に実感したことです。ただし、空室が続けばその限りではありません。
アパートと民泊で「安定」の中身がまったく違う——どちらが合うかは目的次第
不動産初経験の方がまず比べるのはアパート経営と民泊でしょう。アパートの強みは長期入居による収入の予測しやすさです。一方で、初期投資は大きく、融資審査も厳しい。立地選びのミスは10年単位で響きます。
民泊投資——特にトレーラーハウスを使った形態——は、スケールがコンパクトな分、参入と撤退の両方がしやすい構造です。PACOの木造2×4構造のトレーラーハウスの場合、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。アパート1棟とは単純比較できませんが、不動産投資の「実物感」を小さなステップで試せる点は、初めての方には検討しやすい要素です。
ただし、民泊は稼働率で収益が大きく変わります。季節・立地・運営クオリティによってブレ幅があるのは事実で、「収入の予測しやすさ」を優先する方にはアパートのほうが向いているかもしれません。
定期預金の金利が上がっても、所得税率55%の経営者には「税引き後」の計算が先にある
インフレが続く局面では、現金や定期預金の実質価値は目減りします。定期預金の金利が上がってきたとはいえ、所得税・住民税の合計税率が50%超になる年収帯の経営者にとっては、税引き後の実質利回りはさらに低くなります。
不動産投資には、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます(個人差・物件仕様・税務状況によって異なります)。株式やREITにはない特性です。特に年収1,800万円クラスで法人税対策を並行して考えている方には、「キャッシュフロー」と「税務上の損益」が分離するという不動産特有の構造を、一度税理士と試算してみる価値はあると思います。先に数字を持っておくかどうかで、判断のスピードが変わります。
Airbnb運営を「手間」と感じるか「経営の縮図」と感じるかで、向き不向きが分かれる
民泊投資でよく出るのが「運営が大変そう」という声です。清掃・予約管理・ゲスト対応は確かに発生します。筆者が運営を始めたとき、最初に驚いたのは「経営者気質の人ほど深みにハマりやすい」という感覚でした——稼働率の数字を追いかけ、口コミを改善し、プライシングを週次で調整する。中小企業経営の縮図に近い側面があります。逆に言えば、「数字を触りたくない」という方には向かない可能性があります。
PACOの場合、運用フェーズではPACO Stayという宿泊事業部門が伴走するケースもあります。清掃外注・プラットフォーム手数料込みで稼働率65%を想定したモデルケースでの手残り試算は個別相談で確認できますが、実際の数字は立地・季節・運営体制によって大きく異なります。
どの選択肢にも「正解」はない——ただし、「何を解決したいか」という問いは絞れる
株式・REIT・アパート・民泊・現金に優劣はありません。問うべきは目的です。市場連動リスクを外したいのか、税の出口を作りたいのか、不動産の実物感を試したいのか——その問いが先にあって、選択肢は後からついてきます。
民泊投資は万能ではありませんが、「小さく始めて手触りを確かめたい」「キャッシュフローと節税を同時に考えたい」という方には、検討の俎上に載せる価値があります。次の一歩として、自分の税務状況に合わせた試算を顧問税理士と行うことをお勧めします。「自分のケースでの数字」を持ってから動くのが、スピードと確実性を両立する順序です。
よくある質問
不動産投資が初めてでも、民泊投資から始めて問題ないですか?
一概には言えませんが、アパート経営と比べて初期投資の規模がコンパクトなケースがあるため、不動産投資の入口として検討される方は実際にいます。ただし、稼働率・立地・運営体制によって収益は大きく変わります。まずは現地確認と個別試算を行い、自分の許容リスクと照らし合わせることが重要です。
法人で購入できますか?個人取得と節税効果は変わりますか?
法人名義での取得を検討されるケースはあります。法人と個人では税率構造が異なるため、減価償却の活用効果も変わります。どちらが有利かは年収・法人の利益水準・他の資産状況によって異なりますので、必ず顧問税理士と事前に確認されることをお勧めします。
Airbnbの口コミ評価が下がると、稼働率にどれくらい影響しますか?
Airbnbでは口コミ評価が稼働率に直結する傾向があります。評価4.0を下回ると検索表示が下がる場合があり、収益に影響が出るケースがあります。PACO Stayの運用実績ではAirbnb評価4.8という数字が出ているケースもありますが、あくまで一例です。清掃・設備・ホスピタリティの継続的な管理が稼働率を左右するという点は、どの物件でも共通しています。