相続で受け継いだ郊外の土地、毎年の固定資産税だけが確実に出ていく。アパートを建てるには融資が重い、売るには踏ん切りがつかない。そんな状況で「民泊投資」という言葉を耳にしても、「都市部の話でしょ」と流してしまう方は少なくありません。ただ、その直感をいったん保留して試算してみると、前提が崩れることがあります。
「件数が多い=利益が出やすい」——このロジックに抜けているコストがある
Airbnbの予約件数を見れば都市部が多いのは確かです。ただ「件数が多い=利益が出やすい」というロジックには、取得コストが抜けています。
東京23区内でワンルームを取得しようとすれば、物件だけで2,000万〜4,000万円超になるケースも珍しくありません。稼働率が高くても、その数字が初期投資に見合うかどうかは別の話です。私自身、都心物件の試算を最初に見たとき「稼働率70%で回る」という数字だけを見て有望に感じましたが、取得費を分母に入れた瞬間に表面利回りが一桁前半に落ちた、という経験があります。
すでに土地を持っている地主が試算すると、コスト構造がまるで変わる
郊外の遊休地をすでに持っている地主の立場から見ると、初期投資の分母が根本的に小さくなります。土地代がゼロになる分、建物コストだけで利回りを計算できる。
トレーラーハウスを使った民泊投資を例にとると、建物部分の初期投資は仕様・サイズ・付帯工事によって変わりますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース。物件条件・立地により上下します)。仮に1台1,200万円・宿泊単価2万円・稼働率55%で試算すると、年間収入は約400万円という水準になります(あくまでモデルケース。運営コスト・季節変動は別途考慮が必要です)。都心マンション取得と比べたとき、投資総額の差が利回りに直接効いてくる構造です。
「郊外=集客できない」——その思い込みが、むしろ差別化の機会を見えなくしている
「観光地でないと旅行者は来ない」という前提も、近年は揺らいでいます。Airbnbでは「非日常の静けさ」「自然に囲まれた一棟貸し」へのニーズが都市部旅行者の間で伸びており、週末に都市近郊へプチ旅行する層は少数派ではありません。
実際、木造2×4構造のトレーラーハウスで運用されている物件のなかには、Airbnbレビュー評価4.8台を維持しているケースもあります。「立地の格」ではなく「体験の質」で選ばれる物件が存在するのは事実で、郊外であること自体が競合との差別化要素になりうる局面が出てきています。相談を受けた40代の方の事例(モデルケース)では、「近隣に競合がほぼいない」ことが稼働率の安定に寄与したと話していました。
「何もしない」という選択肢にも、毎年コストがかかっている
相続した遊休地にかかる固定資産税は、何もしなくても毎年出ていく確定コストです。たとえば固定資産税評価額1,000万円の土地であれば、年間の税負担は概ね14万円前後になるケースがあります(税率・自治体により異なります)。「様子見」を5年続ければ、それだけで70万円超が出ていく計算です。
民泊投資が万能ではないのは当然で、稼働率の季節変動・運営コスト・規制対応といったリスクは存在します。ただ「何もしない」コストを固定資産税の実額で可視化すると、比較の土台が変わってくることがあります。なお、建物を建てることによる相続税評価額への影響や減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースもありますが、税務上の扱いは個別の状況により大きく異なります。必ず税理士・相続専門家への確認を先行させてください。
良い試算を「信じる」のではなく、前提条件を「自分で崩しに行く」
民泊投資に興味が出てきたとき、最初にやるべきことは提示された試算を信じることではなく、その前提を自分で崩しに行くことだと考えています。稼働率は何%で計算されているか。季節変動はどの程度織り込まれているか。清掃・プラットフォーム手数料などの運営コストは含まれているか。
これらを自分の土地・状況に当てはめて検証するプロセスが、判断の精度を上げます。PACO投資ポータルでは、実運用ベースの数字や前提条件の読み解き方を継続的に発信しています。まずは「自分の土地で試算を一度崩してみる」ところから始めてみてください。
よくある質問
郊外の遊休地でも、民泊の集客はできるのでしょうか?
立地条件によって集客力は異なりますが、「都市近郊の一棟貸し」「自然体験」といった訴求が機能するエリアでは、郊外でも安定した予約が入るケースがあります。有名観光地かどうかよりも、ターゲット旅行者のニーズと物件コンセプトの一致度が重要です。事前のエリアリサーチと競合調査を判断の出発点にしてください。
相続対策として民泊投資を検討してもよいですか?
建物を建てることによる相続税評価額への影響や、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるケースはあります。ただし効果の大きさは相続財産の構成・個人の所得状況によって大きく異なります。民泊投資を相続対策の文脈で検討する場合は、税理士・相続専門家との事前確認を強くお勧めします。
トレーラーハウスの初期投資はどのくらい見込めばいいですか?
物件の仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって変わります。モデルケースとして1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されることが多いですが、条件次第で上下します。試算の際は稼働率・宿泊単価・運営コストそれぞれについて複数シナリオを設定し、「悲観シナリオでも固定資産税負担を上回るか」を確認することをお勧めします。