法人税と所得税が重なる規模になると、「税金を払いながら資産を積む」ことの非効率さは肌感覚で分かってくるはずです。株式や投資信託は既に持っている。でも不動産にはまだ手をつけていない——そんな45歳前後の経営者から相談を受ける機会が増えています。今回は、そうした方々からの相談をもとに、Airbnb投資の数字を実際に組んでみた記録です。

先に白状しておくと、私が最初に試算したとき、減価償却の効果を楽観的に見積もりすぎて「これは節税の魔法だ」と興奮した時期がありました。後で税理士に確認したら、法人か個人かで効果がまるで変わると指摘されて冷や汗をかきました。その話も後半で触れます。

「表面利回り何%」の前に揃えるべき前提とは

不動産投資の話になると、すぐ「表面利回り何%」という話になります。ただ、経営者なら売上÷投資額だけでは意思決定に使えないことは分かるはずです。重要なのはキャッシュフローと、そこに至るまでの前提条件の妥当性です。

Airbnb投資の場合、同じ物件でも稼働率・1泊単価・運営代行費率・立地によって手残りが大きく変わります。今回はトレーラーハウス型の民泊物件を使ったモデルケースで、内訳まで掘り下げます。

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なぜ「地方×トレーラーハウス」が比較対象に上がるのか

Airbnb投資と聞くと都市部のマンション1室を想像する方が多いですが、近年注目されているのが地方×トレーラーハウスの組み合わせです。建築確認不要で設置できるケースがあり、固定資産税の扱いも通常の建物と異なる場合があります(詳細は税理士への確認が必要です)。

PACOが手がける木造2×4構造のトレーラーハウスには、Airbnbで評価4.8を維持している物件もあります。「泊まること自体が体験になる」希少性が都市部のマンション民泊にはない強みとして働くケースがあり、単価を維持しやすい傾向があります。

モデルケースの数字を最後まで追うと何が見えるか

前提条件(モデルケース)

以下はあくまで試算上のモデルケースです。実際の収益は物件仕様・立地・稼働率・運営方法等により大きく異なります。

・初期投資:1,200万円(物件仕様・付帯工事込み。1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く、仕様・サイズ・立地により上下します)
・設置地:観光需要のある地方エリア(長野・栃木・静岡等をイメージ)
・1泊単価:20,000円
・月間稼働日数:18日(稼働率60%)
・運営代行費:売上の20%
・年間維持費(消耗品・清掃備品・保険等):30万円

年間キャッシュフローの試算

・年間売上:20,000円 × 18日 × 12ヶ月 = 4,320,000円
・運営代行費:△864,000円(売上の20%)
・年間維持費:△300,000円
・税引前営業利益:約3,156,000円
・想定表面利回り:約26.3%(3,156,000円 ÷ 12,000,000円)
・手残りベース:諸費用控除後、20%前後になるケースも想定されます

稼働率が40%に落ちると年間売上は2,880,000円になり、運営代行費と維持費を引いた手残りは大きく圧縮されます。保守的に試算するなら、まず稼働率40〜50%で手残りを計算しておくことをおすすめします。稼働率の設定が試算の肝です。

減価償却の「初年度効果」を鵜呑みにする前に確認すべきこと

経営者の立場でもう一つ注目したいのが、減価償却の活用です。トレーラーハウスは車両として分類されるケースがあり、耐用年数が通常の建物より短く設定されることがあります。その結果、初期の数年間で減価償却費が大きく計上され、所得圧縮効果が想定されるケースがあります。試算段階では「初年度に300〜400万円規模の損金算入が見込めるケースもある」という感触を持っておくと、節税シミュレーションの土台になります。

ただし、ここが私が冷や汗をかいた部分です。法人での取得か個人での取得か、どの勘定科目で処理するかによって効果はまったく変わります。年収1,800万円規模の個人なら所得税の限界税率が高く、個人取得での損金算入効果が大きいケースもある一方、法人の実効税率や既存事業との兼ね合いで法人取得が有利になるケースもある。どちらが正解かは一概に言えず、顧問税理士との試算比較なしに動くのはリスクです。

「やめられない投資」を怖いと感じる経営者に刺さる出口の話

不動産投資未経験の経営者が一番怖いのは、「売れない」「やめられない」という流動性リスクではないでしょうか。トレーラーハウスは移設・売却の選択肢が通常の建物より柔軟なケースがあり、出口戦略を複数持てる点は経営者的な感覚に合いやすいです。

もちろん「いつでも撤退できる」とは言いません。立地によっては移設先の確保が難しいケースもあります。ただ、コンクリートで固めた建物と比べたとき、選択肢の幅が異なるのは事実です。

自分の数字で検証するために、まず整理すべき3つの論点

今回の試算はモデルケースです。自分の状況に当てはめるには、①どの立地に設置するか、②法人・個人どちらで取得するか、③融資をどう組むか——この3点を先に整理することが現実的な順序です。

PACOでは個別の数字に踏み込んだ相談を受け付けています。「まず自分のケースで試算したい」という方は、そこから始めるのが確実です。投資判断を急かすつもりは一切なく、自分の数字で検証してから動く、それで十分だと考えています。

よくある質問

Airbnb投資で使うトレーラーハウスは、通常の不動産ローンで購入できますか?

トレーラーハウスは建築物ではなく車両として扱われるケースがあるため、通常の不動産担保ローンの適用外となる場合があります。事業者向けの設備資金融資や、運営会社を通じたスキームで資金調達するケースが多いようです。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートも想定されますが、金融機関や条件によって異なるため、具体的な資金計画は早めに確認することをおすすめします。

法人取得と個人取得、節税効果が大きいのはどちらですか?

一概には言えません。年収1,800万円規模の個人であれば所得税の限界税率が高く、個人での損金算入効果が大きいケースもあります。一方、法人の実効税率や事業との兼ね合いによっては法人取得のほうが有利なケースもあります。どちらが有利かは個別の状況次第で、顧問税理士と試算を比較した上での判断が不可欠です。

稼働率60%というのは現実的な数字ですか?

立地・物件クオリティ・季節変動によって大きく異なります。観光需要の強いエリアでは繁忙期に90%超になる一方、閑散期は20〜30%台まで落ちることもあります。年間平均60%は「運営がうまくいっているケース」の数字です。保守的に試算するなら40〜50%を前提に手残りを計算しておくことをおすすめします。