iDeCoとNISAを始めたとき、少しだけ安心した記憶があります。でも数ヶ月経つと、「これだけで本当に足りるのか」という疑問がじわじわ戻ってくる。先日、そういうフェーズにいる知人から「民泊投資の利回りって、実際どうなの?」と聞かれました。今回はそのやりとりをもとに整理します。

「月5万でいい」が、3ヶ月で揺らいだ理由

相談してきたのは、32歳の会社員(年収550万円・独身・住宅ローンなし)の方の事例です(モデルケース)。節税とキャッシュフローの両方に関心があり、「副収入は月5万円くらいでいいんですよね」と最初は控えめでした。

ところが一緒に数字を並べてみると、話が変わってきました。iDeCoとNISAで積み立てている金額は月3万円ほど。老後の受け取りシミュレーションを改めて計算すると、「2,000万円の貯蓄目標にはあと何かが要る」という結論になる。そこで初めて投資の規模感を真剣に考え始めた、というわけです。

稼働率40%でも黒字になるか——利回りの読み方

民泊投資の想定利回りとして「10〜20%(モデルケース)」という数字が出てくることがあります。ただ、この数字は稼働率や宿泊単価の前提次第で大きく変わります。このモデルケースでも「稼働率40%」「60%」「80%」の3パターンで収支を並べました。

前提条件として「初期投資1,100万円(モデルケース/物件仕様・立地・付帯工事で変動)、平均宿泊単価1万5千円、諸費用月10万円」を置いた場合。稼働率40%(月12泊)では月収18万円、費用を引くと月8万円のキャッシュフロー。稼働率60%(月18泊)では月収27万円、差し引き月17万円。稼働率80%では月約26万円のキャッシュフローになる計算です。なお実際の数字は物件仕様・立地・運営方法によって変動します。

このモデルケースで印象的だったのは「稼働率40%でも一応プラスになる」という部分でした。もちろん融資条件や立地によって変わりますし、稼働率40%が許容できるかは人によって違います。ただ「最悪を想定しても壊滅しない設計があるか」を確認することが、投資判断の起点になると考えています。

節税が「もう一段」踏み込む理由になるとき——ただし順番がある

このモデルケースで特に反応があったのが、減価償却の話でした。木造2×4構造のトレーラーハウスは、一般的な建物と異なる耐用年数の考え方が適用されるケースがあり、減価償却を活用した所得圧縮効果が見込まれる場合があります。年収550万円の会社員では所得税と住民税を合算した実効税率が約30%前後になるケースもあり、投資による経費を適切に計上できると手元に残るお金の感覚が変わることがあります。

ただ、ここで正直に申し上げると、節税効果は会計処理や融資スキームの組み方によって変わります。「節税になるから買う」という入口だけで判断するのは危険です。「節税は結果としてついてくるもの、キャッシュフローが成り立つかが先」——これは私自身が2棟目を検討するときに税理士から言われた言葉でもあります。

「やめたくなったときにやめられるか」を最初に確認する

民泊投資を怖いと感じる方の多くが気にするのは、出口の柔軟性です。建物の取り壊しコストが発生しやすい一般不動産と比べ、トレーラーハウスは移設や転用が比較的柔軟なケースがあります。これが出口戦略の幅を持たせる一因になることがあります。

私自身2棟を運用していますが、最初から順調だったわけではありません。1棟目は稼働率が安定するまでに約4ヶ月かかり、その間は想定キャッシュフローを下回る月が続きました。「Airbnb評価4.8」という数字も、試行錯誤の積み重ねです。運営サポートがあっても、序盤の稼働率は自分でコントロールできない部分が多い——これは事前に伝えておくべきことだと思っています。

「もう少し調べてみます」が、正しい反応だった理由

結局このモデルケースの方は、その日に「やります」とはなりませんでした。それが正しい反応だと思っています。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース/物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下)、軽い決断でいい金額ではありません。

次の小さな一歩として勧めたのは、「稼働率と利回りの感度分析を自分で1回やってみること」でした。エクセルで30分あればできます。自分の指で数字を動かすと、「どこで損益分岐するか」が体感として掴めてきます。それが終わってから、また話しましょう、と。

よくある質問

民泊投資の利回りは本当に10〜20%になるのですか?

「想定利回り10〜20%(モデルケース)」という数字は、稼働率・宿泊単価・初期費用・運営コストの前提を置いた試算値です。実際の利回りは立地や運営方法によって大きく変わり、稼働率が低い時期には当然下がります。まず「稼働率40〜60%のときに赤字にならないか」を先に確認することをお勧めします。

会社員のままでも民泊投資はできますか?

会社員のまま始めるケースは少なくありません。ただし、副業規定がある職場では事前に確認が必要です。確定申告や経費管理など事業としての手続きも発生するため、税理士への相談コストも初期費用として織り込んでおくとよいでしょう。

iDeCoやNISAと民泊投資は、どう組み合わせるのがいいですか?

iDeCoやNISAは引き出しに制約がある分、民泊投資は月次のキャッシュフローが見えやすいという違いがあります。「長期積立で老後資産をつくりながら、現役期間の手取りを補う副収入を民泊で持つ」という組み合わせを検討する方もいますが、投資判断は個々の状況によって異なります。具体的な設計はFPや税理士への確認を強くお勧めします。