「固定資産税だけ払い続けるのも限界で、何か活用したい。でも民泊って本当に稼げるの?」——遊休地を持つ方からこういった相談を受けるたびに、私が最初に確認するのは「提示された利回りの計算式」です。数字の見せ方次第で10%にも20%にも見えるのが民泊投資の厄介なところで、前提条件を読み飛ばすと判断を誤ります。今回はよく受ける質問に絞って、正直に答えていきます。
「利回り」の計算式、アパートと民泊では何が違うのか
最もよく受ける質問です。結論から言うと、同じ「利回り」という言葉でも、民泊とアパートでは前提がかなり違います。アパートの表面利回りは「年間賃料÷物件価格」で計算します。賃料は毎月固定なので、比較的読みやすい数字です。
一方、民泊の利回りは「稼働率×客単価×365日÷初期投資額」で計算します。稼働率と客単価の両方が変動するため、試算の前提次第で数字が大きく変わります。「想定利回り10〜20%(モデルケース)」という数字を見かけることがありますが、それがどんな稼働率・客単価を前提にしているか、必ず確認してください。たとえばモデルケースとして「稼働率70%・1泊2万円・4人定員」で試算した場合と「稼働率40%・1泊1万2,000円」で試算した場合では、年間売上が2倍近く変わります。前提条件が明記されていない利回りは、鵜呑みにしないほうが無難です。
郊外の土地が「稼げるエリア」になる条件とは何か
「郊外だから稼げない」と思われている方が多いのですが、必ずしもそうではありません。重要なのはエリアの人口より「その場所に来る理由があるか」です。自然体験・アウトドア需要が高いエリア、観光地の周辺、ゴルフ場やキャンプ施設の近くといった立地は、都市部の住宅街より高い客単価を見込めるケースがあります。
相談を受けた50代の方の事例(モデルケース)では、最寄り駅から車で20分の山間部の土地でも、近くに渓流釣りスポットがあったことで週末の稼働率が想定を上回ったケースがありました。一方で、交通アクセスが著しく悪い立地は稼働率を押し下げやすく、「競合が少ない=需要もない」という落とし穴になることもあります。相続で受け継いだ土地がどんな需要を呼べるか、まず周辺に何があるかを調べるところから始めてください。
初期投資の現実——「安く始められる」の裏側にあるコスト
遊休地を民泊用地として活用する場合、建物を新築するか、既存建物をリノベーションするか、あるいはトレーラーハウスのような「建築確認が不要な構造物」を置くか、大きく3つのアプローチがあります。
PACOが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。見落とされがちなのがインフラ整備費用で、水道・電気の引き込みが未整備の土地では、これだけで数十〜百万円単位の追加コストが発生するケースがあります。新築建物と比べて初期コストを抑えられる場面がある一方、金融機関の融資条件は構造物の種別によって異なるため、事前に複数行へ確認することをお勧めします。私自身、インフラ整備費を最初の試算に含め忘れて、後から収支計画を作り直した経験があります。
減価償却による節税効果——誰にでも効くわけではない理由
「減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます」というのが正確な表現です。建物や設備は法定耐用年数に応じて毎年減価償却費として計上できるため、帳簿上の赤字が出ていても実際のキャッシュは手元に残る、という構図になることがあります。
ただし、この効果は課税所得が一定以上あることが前提です。年金と地代収入だけの方には恩恵が限定的なケースもあります。また、相続税対策という観点では「土地の評価額を下げる」という別の論点も絡んできます。自分の状況に当てはめた試算は、税理士と一緒に行うのが確実で、「だいたいこれくらい節税できるはず」という自己流の計算は実態とずれやすいと感じています。
最初の一歩は「泊まりに来る人がいるか」を自分で確かめること
まずAirbnbやじゃらんで周辺の宿泊施設を検索し、稼働状況や客単価の相場を見てください。それだけでもリアルな需要感が掴めます。土地の形状・接道状況・ライフラインの状況も同時に確認しておくと、初期費用の見積もりがスムーズになります。
遊休地は確かに固定資産税がかかり続けますが、だからこそ「急いで判断する」より「正しく判断する」ほうが長期的には得です。数字と立地の両方を納得できるまで確認してから次のステップを踏む——この投資で長く続けている方々に共通する姿勢だと感じています。
よくある質問
民泊の許可申請は複雑と聞きましたが、地主でも対応できますか?
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出や旅館業法の許可申請など、活用する制度によって手続きが異なります。自治体によって条例上の制限も異なるため、まず物件所在地の自治体窓口か、民泊運営の実績がある業者に確認するのが現実的です。トレーラーハウスのような構造物の場合、建築確認の要否を含めた法的整理が必要になるケースがあります。
Airbnbの集客や評価管理は、自分でやらないといけませんか?
PACOのような運営代行サービスを活用すれば、写真撮影・価格設定・ゲスト対応・清掃手配などを一括して任せることができます(手数料はかかります)。代行業者を選ぶ際は、実際の運用物件の口コミや稼働率データを確認するとよいでしょう。「楽に任せられる」と「費用がかかる」のトレードオフは、自分がどこまで関与したいかと照らし合わせて判断してください。
アパート経営と民泊、郊外の遊休地ではどちらが現実的ですか?
一概にどちらが優れているとは言えません。アパートは安定した賃料収入が見込める一方、初期投資が大きく融資依存度が高くなりやすいです。民泊は変動リスクがある分、稼働が取れればアパートより利回りが高くなるケースがあります。郊外の遊休地という条件で考えると、定住者向けのアパート需要が薄いエリアでも観光・体験需要があれば民泊が機能しやすい、という見方もできます。どちらが向いているかは、土地の立地特性と自分のリスク許容度次第です。