区分マンション2戸とアパート1棟を保有しながら「次の一手」を探している方なら、民泊投資の試算書を一度は手に取ったことがあるはずです。そこに出てくる数字は、たいてい「都市部・駅近・インバウンド需要」という前提の上に乗っている。ただ、その前提をそのまま信じるのは、少し待ってほしいと思っています。

「都市型有利」のセオリーは、収入だけ見ているから成り立つ

「民泊は都市部・駅近が稼げる。地方はリスクが高い」——業界でよく耳にする話です。東京・大阪のインバウンド需要を見れば、感覚的には正しそうに聞こえます。

ただ、コスト構造まで含めて試算すると、話が変わります。都市型民泊は物件取得コストが高く、管理費・清掃費・OTA手数料(Airbnbでは概ね売上の3〜5%程度)が重なる。稼働率が上がっても、費用が分厚い分、手残りが想定より薄くなるケースは珍しくありません。「収入の大きさ」と「手残りの大きさ」は別の話です。数字が好きな方ほど、ここを一度ひっくり返してみる価値があります。

地方の空き地が、なぜ都市より手残りを出せることがあるのか

地方・郊外の宿泊施設が競争力を持つのは、「非日常体験」という需要軸があるからです。Airbnbの検索行動では、「自然の中で過ごせる」「普通のホテルにはない体験」というキーワードで宿を探す層が一定数存在します。都心の利便性とは、まったく別の需要です。

前提条件を明示します。土地を既に保有、または低コストで確保できる場合で、独立した1棟スタイルで運用するケースの試算です。この条件では、都市型の区分マンション転用と比べて取得コストが抑えられる分、想定表面利回りが10〜20%のレンジに入るモデルケースも報告されています。ただし、立地・稼働率・運営体制によって実態は大きく変わります。あくまで試算例として参照してください。

「撤退できる構造」は、地味だけどポートフォリオの穴を埋める

既存投資家が出口戦略を重視するのは当然です。区分マンションもアパートも、売却には時間と費用がかかる。その点で、移設・撤去が可能なトレーラーハウスタイプの民泊施設は、ポートフォリオの中で異なる役割を担います。

PACOが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い状況です(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します)。固定建築物ではないため、土地の用途変更や移設という選択肢が残ります。フルコミットの区分・アパートとは、リスクの性質がそもそも違う。

「動かせる資産」の意味を、ポートフォリオ視点で考える

アパート1棟を保有している方なら感覚的にわかると思いますが、固定資産は景況感の変化に対してポジションを動かせません。移設できる構造体という特性は、既存の不動産ポートフォリオに対して、性質の異なる分散軸を加えることになります。「別アセットでの分散」を検討している方にトレーラーハウス型民泊が候補に挙がりやすいのは、この理由からです。

試算書の「稼働率70%」を、私は一度そのまま信じて青ざめました

民泊の試算書に登場する「稼働率70%」という数字は、多くの場合で楽観的です。私自身、最初の試算でこの数字をそのまま使い、3ヶ月後に実態との乖離に気づいて慌てた経験があります。稼働率は、立地・季節・OTA上の掲載品質・レビュー数によって大きく変動します。

地方立地では特に、閑散期と繁忙期の差が激しくなりやすい傾向があります。一方で、Airbnbで評価4.8以上を維持している施設では、長期予約・リピーターが入ることで稼働率が安定してくるという傾向が、運用データから見えています。稼働率の前提を疑うより先に、「どうすれば稼働率が安定するか」という運営設計を先に考えるほうが、実践的かもしれません。

「自分の数字」に置き換えるまで、判断を保留してください

業界のセオリーは「平均的な前提」で語られています。あなたが既に持っている土地の条件、融資余力、保有ポートフォリオのキャッシュフロー——これらを当てはめたとき、初めて「自分にとって有利かどうか」が見えてきます。派手な試算書より、地味な前提の整理のほうが、長く使えます。

よくある質問

トレーラーハウスは建築物扱いにならないのですか?

一定の要件を満たす場合に建築物と異なる扱いになるケースがあります。ただし、設置する自治体・用途地域・構造要件によって判断が異なるため、事前に専門家や行政窓口への確認が必要です。PACOの案件では立地選定の段階でこの点を個別に精査しているケースが多いですが、「必ず建築物扱いにならない」という一般論としての断定は避けるべきです。

地方立地の場合、集客はどう担保するのですか?

AirbnbをはじめとするOTAプラットフォームを通じた集客が基本です。掲載品質(写真・説明文・レスポンス速度)とレビュー評価の蓄積が稼働率に直結します。「自然体験」「非日常」という検索軸に合ったコンセプト設計が、都市型との差別化につながるケースがあります。開業直後は集客が最も不安定で、レビューが蓄積されるにつれて安定してくるという傾向があります。

既にアパートを持っている場合、融資はどうなりますか?

既存の融資残高や属性によって、新規案件への融資条件は大きく変わります。トレーラーハウスは固定建築物と異なる扱いになるため、通常の不動産融資とは別の金融機関・スキームを使うケースもあります。「自己資金を抑えてのスタートが可能なケースもある」という話は聞きますが、条件は個人の属性と案件によって異なります。具体的な数字は金融機関との個別相談が出発点になります。