「固定資産税だけ払い続けて、何も生み出していない土地がある」——相続で郊外の遊休地を引き継いだ方から、こういった相談を受けることが増えています。売るに売れず、借り手もつかない。Airbnb投資という言葉は耳にするけれど、自分の土地に当てはめるイメージが湧かない。今回は、そんな状況にあったBさんとのやり取りをモデルケースとして紹介します。

「売るのも怖い、借りるのも怖い」——Bさんはなぜ3年間、判断を止めていたのか

Bさん(56歳・会社員)が相続したのは、関東近郊の観光地から車で20分ほど、最寄り駅から徒歩30分以上の場所にある約200坪の更地です。以下はモデルケースとして再構成しており、個人が特定できる情報は変更しています。

地代収入はゼロ。年間の固定資産税は数万円単位で確実にかかり続けています。「アパートを建てるために借金するのは怖い。かといって売ると相続税の意味がなくなる気がして」——この二択の間で、Bさんは3年近く判断を止めていました。

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「取り返しがつかない投資はしたくない」という言葉が、話の入り口になった

最初にお伝えしたのは利回りの話ではなく、構造の違いでした。アパートは土地に建物を固定するため、一度建てると方針変更が難しい。一方、トレーラーハウスは車両扱いのため、移設や撤去が選択肢として残ります。

ただし「撤退が自由」というわけではありません。移設には数十万円単位のコストがかかるケースもあり、あくまで「出口の選択肢が複数ある」という意味です。この点を正確に伝えたとき、Bさんの表情が少し変わりました。

「駅から遠いのに需要があるの?」——立地の読み方が変わる前に、私が失敗したこと

Bさんが最も驚いていたのが、立地の考え方でした。「駅近でないと空室リスクが高い」は賃貸住宅の話であって、Airbnb運営では前提が変わってくることがあります。車でアクセスできる自然観光地の周辺は、宿泊施設が少ない分、Airbnb上での競合が少ないケースもあります。

ただ、ここで正直に話しておく必要があります。私自身、別の物件で稼働率の読みを大きく外した経験があります。Airbnbのデータで競合を調べたつもりが、季節変動を見落としていて、冬場の稼働率が想定の半分以下になった時期がありました。「立地が良さそう」という仮説は、データで裏付けてから判断する必要があります。

試算の前提を一緒に並べたとき、Bさんが口にした本音

Bさんとは、試算の「前提条件」を一緒に整理しました。あくまでモデルケースであり、実際の数値は物件仕様・立地・運用状況によって大きく変わります。

前提:観光需要のある郊外立地、トレーラーハウス1棟、Airbnb運営の場合。初期投資は仕様・サイズ・付帯工事によって異なり、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いとされています(物件仕様や立地によって変動します)。稼働率60〜70%のモデルケースでは、想定利回りが10〜20%程度になるケースもありますが、これは試算上の数値であり、保証されるものではありません。

試算を見せたとき、Bさんが言ったのは「利回りより、固定資産税を上回るキャッシュが出るかどうかを知りたかった」という一言でした。目線が「投資リターン」ではなく「土地の赤字を止めること」にある——地主の方ならではの現実的な発想で、私もこの視点を大切にしています。

3ヶ月後、Bさんはまだ「始めていない」——それでも何かが変わった

相談から約3ヶ月後、Bさんから連絡がありました。運用はまだ開始していません。ただ「土地を活かす選択肢の一つとして、初めてリアルに検討できている」とのことでした。融資条件の確認や行政への事前相談も、少しずつ進めているそうです。

PACOでは木造2×4構造のトレーラーハウスをベースに、Airbnb等での宿泊運営(PACO Stay)として伴走する仕組みがあります。Bさんもこの運用モデルを調べているとおっしゃっていましたが、最終的な判断はBさん自身のものです。私にできるのは、構造を正確に伝えることだけだと思っています。

最初の一歩は「決断」ではなく、土地の条件を紙に書き出すことかもしれない

遊休地を持っている方が最初にすべきことは、何かを決めることではありません。面積、接道状況、周辺の観光・宿泊需要、行政の民泊規制の有無——これらを一枚の紙に書き出すだけで、相談できる内容が具体的になります。

急いで動く必要はありません。ただ、毎年の固定資産税の請求書を見て「もう少し調べてみようか」と思えたなら、それが十分な出発点だと考えています。

よくある質問

郊外の遊休地でも、Airbnb運営の許可は取れるのでしょうか?

民泊の可否は、都市計画法上の用途地域や各自治体の条例によって異なります。市街化調整区域では建物の新築に制限がかかる場合がありますが、車両扱いのトレーラーハウスは扱いが異なるケースもあります。ただし解釈は自治体によって差があるため、事前に行政窓口や専門家への確認が必須です。一概に「できる」とは言えませんが、調べる価値がある選択肢だと思います。

トレーラーハウスへの融資は、通常の不動産融資と同じように考えていいですか?

基本的には異なります。トレーラーハウスは動産(車両)扱いのため、不動産担保融資では対応できないことが多く、事業性ローンや信販系の融資スキームになるケースがあります。自己資金の割合や金融機関の選定が重要で、融資条件によって初期負担が変わってきます。複数の金融機関に相談することをお勧めします。

相続税対策として、どの程度の効果が見込めますか?

トレーラーハウスへの投資は、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されることがあります。ただし相続税対策としての効果は、土地の評価額や個人の税務状況によって大きく異なります。「節税になる」と一般化することは難しく、税理士への個別相談が不可欠です。投資判断と節税効果は切り離して、それぞれ専門家に確認されることをお勧めします。