区分マンションとアパートで一定のキャッシュフローをつくってきた方が、次の一手として民泊投資を検討するケースが増えています。利回りの見栄えがよく、運営の自由度が高い一方で、既存不動産とはコスト構造がまったく異なります。数字に慣れている方ほど「思っていた計算と違う」と感じやすい領域でもあります。
「利回り15%」の案件、コスト控除後はいくらになるか
Airbnb投資の広告に「想定利回り15%」という数字が並ぶことがあります。ただしこの数字は多くの場合「表面利回り」——年間の想定売上を物件価格で割っただけのものです。アパート経営でも表面と実質の差は意識されますが、民泊の場合はその差が特に開きやすい構造があります。
理由は運営コストの種類が多いからです。清掃費(1回あたり5,000〜1万円超)、リネン交換・アメニティ補充、プラットフォーム手数料(Airbnbは宿主側3%程度)、管理代行を使えばその手数料(売上の15〜30%が相場)、年間の設備メンテナンス。これらを控除すると、表面利回り15%の案件が実質7〜9%前後に落ち着くことは珍しくありません。アパートの実質利回りと比較するときは、この控除後の数字で揃えることが出発点です。
稼働率という「変数」を楽観シナリオで読んでいないか
アパートの空室率は年間を通じてある程度読みやすいですが、民泊の稼働率は季節・立地・競合の出方によって大きく変動します。「年間平均稼働率65%」を前提にした試算も、繁忙期に引っ張られた数字であれば、オフシーズンの実態とは乖離することがあります。
数字に厳しい方にお伝えしたいのは、まず「低稼働率シナリオでのキャッシュフロー」を計算してほしい、ということです。モデルケース(架空の試算)として、稼働率35%・1泊32,000円という保守的な前提を置くと、月の売上はおよそ34〜35万円(31日×35%≒10.8泊分)になります。そこから運営コストを引いた手残りが、ローン返済や税負担に耐えられるかどうか。この「下限シナリオ」で成立する設計かどうかが、判断の基準になります。
よくある失敗として、繁忙期の高稼働データだけを見て年間収支を試算し、オフシーズンに想定外の赤字が続くケースがあります。特に観光地の物件は季節差が大きく、月ごとの収支管理が欠かせません。
「法律が変わったら?」——出口と制度リスクをどう読むか
民泊は住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法の規制対象です。自治体によって営業日数の上限や営業区域の制限が異なり、条例改正で運営が困難になるケースも実際に起きています。既存のアパートや区分マンションと比べると、制度変更リスクは相対的に高い領域です。
出口戦略という観点では、「その物件を誰に売れるか」も重要です。民泊用途で取得した区分マンションは、規制が厳しい自治体では売却時に買い手が限定されることがあります。流動性が下がれば、売りたいタイミングで売れないリスクも生じます。
モデルケース(架空の設定)から見えること
以下はご相談内容をもとにした架空のモデルケースです。特定の個人・物件とは無関係です。
Cさん(40代・年収900万円台・不動産投資歴8年)は、都内の区分マンション3戸を保有したうえで、箱根エリアの民泊物件(購入価格1,800万円・表面利回り13%)を検討していました。当初の試算では利回りが高く節税にも使えると前向きでしたが、清掃代行・管理委託・修繕積立・固定資産税・保険を控除すると実質利回りは8%台に低下。さらに自治体の営業日数制限(年180日上限)が適用されるエリアだったため、稼働率の上限が構造的に決まっていました。Cさんは最終的にこの物件を見送り、投資先を再検討する判断をしました。
このケースで注目すべき点は、表面利回りと実質利回りの差よりも「出口の限定性」です。都市部で居住転用が可能な物件であれば買い手の幅は広がりますが、観光エリアの民泊特化物件は買い手が絞られます。ポートフォリオの流動性を維持したい方にとって、この点は慎重に見極める必要があります。
「動産」という選択肢が既存ポートフォリオに与える影響
不動産との分散という観点で、近年「動産型の宿泊施設」に関心を持つ方が増えています。編集部が関わるPACO STAYは、木造2×4工法のトレーラーハウス(車両運搬具として動産扱い)をグランピング施設の客室1棟単位で購入する仕組みで、価格は1棟1,453万円〜(プロジェクトにより異なります)。旅館業の許可取得から予約・清掃・メンテナンスまで運営はグループ会社が担い、所有者は運営に関与しません。
想定利回りは稼働率35%・1泊32,000円を前提とした試算で7.7〜14.6%(保証ではありません)。動産であるため固定資産税の対象外となる点や、車両運搬具として法定耐用年数4年の減価償却が適用される点は、既存の不動産ポートフォリオとは異なる税務の動きをします。ただし税務の取り扱いは個人の状況によって異なりますので、税理士への確認が前提です。
まとめ——4つの数字を整理してから判断する
Airbnb投資を検討するとき、数字に慣れた方ほど「表面利回りの見栄えに引きずられない」ことが出発点になります。実質利回り・低稼働率シナリオ・出口の流動性・制度リスク——この4点を整理したうえで、既存ポートフォリオへの影響を確認する順序が合理的です。
「動産型・運営委託型の宿泊施設」という選択肢に関心があれば、PACO STAYの販売中プロジェクト(https://paco-house.com/trailer/sales/)で各物件の前提条件と試算を確認していただけます。比較検討の材料としてご覧ください。
よくある質問
Airbnb投資と通常の賃貸投資、税務上の扱いはどう違いますか?
民泊(Airbnb)の収入は「事業所得」または「雑所得」として扱われることが多く、通常の不動産賃貸収入(不動産所得)とは区分が異なる場合があります。経費として計上できる項目の範囲や、損益通算の可否も異なることがあります。個人の状況によって判断が分かれますので、税理士への確認をお勧めします。
PACO STAYは自己資金なしで始められますか?
提携の信販会社による分割払い(最長10年120回・審査あり)を利用する場合、自己資金0円というケースがあります。ただし月々の支払い額が月額送金額を上回る期間が生じます。車両運搬具としての減価償却(法定耐用年数4年・定率法)による税の減少分がそれを補う設計ですが、あくまで試算であり、課税所得の水準や税理士の判断によって結果は変わります。
PACO STAYの「出口」はどのように設計されていますか?
動産(車両運搬具)であるため、不動産のように登記や抵当権の設定がなく、売却の手続きが相対的にシンプルです。モデルケース(架空の試算)では5年ごとに売却・乗り換えを繰り返す設計を示していますが、売却価格は市場環境により変動します。「残債と同額で売却できる」という仮定はあくまで試算上の前提であり、実際の売却額を保証するものではありません。