「また今年も税金でごっそり持っていかれた」——45歳前後の経営者の方から、決算期になると決まってこの言葉が出てきます。株や投資信託はすでに持っている。でもアパート一棟は踏み切れない。そういう方が宿泊施設投資の数字に興味を持ち始めるケースが、ここ1〜2年で明らかに増えています。

「税対策で動いた」Bさんが、最初に引っかかった数字

年商1.5億円規模、個人年収1,800万円超の経営者Bさん(40代・モデルケース、ご相談者の事例をもとに構成)から連絡をもらったのは、「所得税と法人税の両方がキツくなってきた」というタイミングでした。株・投信はすでに保有済みで、次は「現物資産で課税所得を圧縮できないか」というのが相談の入口でした。

Bさんが最初に目を留めたのが、トレーラーハウス宿泊施設の「想定利回り10〜20%(モデルケース)」という数字です。ただ、Bさんはここで立ち止まりました。「この利回り、どういう前提で出ているんですか?」——この質問が出た時点で、数字の読み方が身についている方だと感じました。正直、こちらが試されている感覚もありました。

利回りの「分母」を先に確認しないと、比較が成り立たない

利回りの計算式は単純ですが、前提条件が変わると数字は大きくぶれます。稼働率・客単価・シーズン変動・運営コストの設定次第で、同じ物件でも表面利回りが10%にも20%にもなりうる。Bさんにはまず「前提を分解する」ことをお伝えしました。

たとえば、1台あたりの初期投資は概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いとされています(モデルケース。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)。仮に初期投資1,200万円、年間宿泊売上180万円、運営費・管理費60万円とすると、実質年間キャッシュフローは120万円、実質利回りは10%という試算になります。稼働率を週3泊から週4泊に引き上げるだけで、この数字は15%近くまで動く計算です。ただしこれはあくまでモデルケースであり、実際の結果は立地・運営体制・季節変動によって異なります。

私が以前、別の相談者に「稼働率70%で試算したシート」をそのまま渡してしまい、「話と違う」と言われた経験があります。それ以来、保守的なシナリオ(稼働率40〜50%)でも成立するかを必ず先に確認するようにしています。

「減価償却」が経営者に刺さるのは、課税所得が高いからこそ

Bさんが「これは使える」と反応したのが、減価償却の話でした。木造2×4構造のトレーラーハウスは、一般的な建物より耐用年数の設定が短くなるケースがあり、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されます(税務上の扱いは物件の構造・登記方法によって異なるため、税理士への確認が必須です)。年収1,800万円という課税所得の高い方には、この仕組みが資産防衛の選択肢として検討に値すると映ることがあります。

「収入を増やしながら、課税所得を圧縮できるかもしれない」——この二重の効果が実現するかどうかがBさんの判断軸でした。アパートと比べて初期投資の単位が小さく、撤去・移動が可能な点も「まず1台で試せる」という感覚につながったようです。

Bさんが最終的に現地で確認しに行ったこと

Bさんはその後、PACOが運用するAirbnb評価4.8の施設を実際に視察しました。数字の話だけでなく、「本当に人が泊まりに来ているのか」「運営の手間はどこが担うのか」を現場で確認したかったそうです。不動産未経験の方ほど、この「現物確認」のステップを大切にされる印象があります。

最終的にBさんは「まず1台から試してみる」という方向で動き始めています。大きく賭けるのではなく、1台目を"情報収集の場"として位置づける——スピードと確実性を両立しようとする、経営者らしい判断だと感じました。

「利回りの前提を教えてください」と聞けるかどうか

利回りの数字を見たとき、「前提は何か」「自分の税率や課税構造に合うか」を確認する。そのためにはまず、試算の前提条件を開示してもらうことが出発点です。Bさんのように「利回りの分母を教えてください」と担当者に聞けるかどうかが、投資判断の質を左右します。焦る必要はなく、まず数字の構造を把握するところから始めてみてください。

よくある質問

トレーラーハウス宿泊施設の利回りは、どのくらいを想定しておけばいいですか?

想定利回り10〜20%(モデルケース)という数字が示されることがありますが、稼働率・客単価・立地・運営コストの設定によって大きく変動します。「どの前提で計算されているか」を必ず確認し、保守的なシナリオ(稼働率40〜50%)でも成立するかどうかを自分なりに試算することをお勧めします。結果には個人差があります。

法人で取得することと個人で取得することで、何が変わりますか?

減価償却の計上先や税率の適用方法が変わるため、法人・個人どちらで取得するかは税務上の影響が異なります。特に年収の高い経営者の場合は、法人と個人の税率差・資金の出どころ・出口戦略をあわせて税理士に相談されることをお勧めします。本記事の情報は一般的な説明であり、個別の税務アドバイスではありません。

不動産投資未経験でも、宿泊施設型から始めることはできますか?

運営を外部に委託できるスキームが整っている場合、不動産未経験の方が検討されるケースもあります。ただし、立地選定・融資条件・運営コスト管理など判断すべき項目は複数あります。1台目は「試して学ぶ」フェーズと割り切って小さく始めることが、複数の経験者から聞く共通のアドバイスです。